レンズのはなし疲れ目対策

可視光調光偏光レンズは、夜の屋外でも反応しますか?

可視光調光偏光レンズ体験記をご覧になった消費者の方から「夜間」に関するご質問を頂きました。今回はその内容と追加の写真等も交えてご報告させて頂きます。可視光調光偏光レンズが気になっている方は是非、参考にしてください。

可視光調光偏光レンズの体験記はこちらから

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可視光調光偏光レンズに関する消費者からのご質問

えんきんドットコムに対して「夜の屋外では反応する事は無いのでしょうか?」というご質問を頂きました。

その段階で詳しいことは判りませんでしたが、「自転車、ウォーキング等」と記載されていましたので、可視光調光偏光レンズが夜間にどのような状態になっているのかを気にされているようでした。

また、可視光調光偏光レンズにご興味を持たれているという事は、「調光」機能と「偏光」機能の両方を希望されていることが分かります。

●「調光」に対する期待は

・色の濃さが変化することで、メガネとしてもサングラスとしても使える

・色の濃さが変化することで、昼でも夜でも使える

・色の濃さが変化することで、快晴でも曇天でも雨天でも使える

・色の濃さが変化することで、屋外でも室内でも使える

●「偏光」に対する期待は

・ギラギラした反射光をカットすることで、視認性を良くしたい

・ギラギラした反射光をカットすることで、目の疲れを和らげたい

・ギラギラした反射光をカットすることで、目を保護したい

・ギラギラした反射光をカットすることで、安全性を高めたい

あくまでも予測ですが、明るい時間帯から自転車に乗り始めるが、終わりに関しては薄暗くなってしまう事もあるという状況下で使えるのかを心配されているのだと思います。

可視光調光偏光レンズのご質問に対する回答

結論:夜であっても反応します。

今回の可視光調光偏光レンズは「紫外線」で調光するコーティング層と「可視光線」で調光するコーティング層の2種類の調光コーティング層があるレンズです。

よって、紫外線が降り注がない夜は、紫外線で調光する層の反応はありませんが、可視光線で調光する層は、夜でも何がしらかの光があれば反応してしまうからです。

結果として、光が何もない真っ暗な状態以外では夜でも着色してしまうのです。

可視光調光偏光レンズ

また、同じように紫外線が降り注がない室内でも可視光線に反応して着色します。

ご質問を頂いた時間帯が夕方だった為、室内でどれくらいの色になるかを写真撮影したものが下記の写真となります。

左上:ケースから取り出した直後

右上:LED式の蛍光灯の真下30cmの所で1分間反応させている様子

左下:蛍光灯の光に反応した色の付き方

右下:机の上に置いて放置し、15分後に私が掛けた時の色味

可視光調光偏光レンズ 室内の色

写真からも分かるように室内では「うっすら」と濃くなるだけで、一般的なサングラスのように濃くはなりません。お仕事でも使える範囲かと思われます。

また、ご心配されている夜間の「自転車、ウォーキング等」であれば、問題なく使えると思われます。

可視光調光偏光レンズの追加実験

室内の明るさは眩しく感じない程度の明かりの為、あまり参考にならないかもしれないと思い、メールにて回答させて頂いた後、自宅に戻ってから車のヘッドライトを照射して、強い光を受けるとどれくらい濃く変化するかを追加で実験してみました。

左上:夜間に日常生活の光を浴びた状態の写真(掛けたまま帰宅)

右上:車のLEDヘッドライトを約90秒間照射

左下:照射直後にボンネットの上で撮った写真

右下:10数秒後に自宅に入って私が掛けた時の色味

可視光調光偏光レンズ 夜間の色 強い光

ご想像の通り、室内でLED蛍光灯を照射した状態と比べ、かなり濃くなっています。

濃度的には30~40%位に感じますが、写真から見ると50%位あるかもしれません。

これで街中を歩けるかと言うと、自宅前の慣れた環境だったからかもしれませんが、少し暗く感じる程度で問題なく歩けました。

ただし、スピードが出る自転車等は避けた方が安全かと思いますし、濃度チェックをした訳ではありませんから正確なことは言えませんが、夜間運転に適合しない濃さまで変化していると思います。

因みに、実験ではヘッドライトから20~30cm位のところで90秒間照射していますが、実際にメガネを掛けている状態ではヘッドライトの光には耐えられません。これほどの強い光をこれだけ長く浴びる可能性は低いと思われますので、一般的にはこれが夜間のMAXの濃さと考えて頂ければ良いと思います。

また、実験時の外気温は車の温度計で17度でしたが、調光レンズは寒い方が色は濃くなるという性質を持ち合わせていますので、冬場はもう少し濃くなる可能性があります。

可視光調光偏光レンズのご購入前に知っておくべきこと

昼間と夜間の両方で掛け替え無しに使いたいとなると、調光レンズが便利だと思います。

視認性を上げたり、疲れ緩和や目の保護には、個人差はありますが偏光レンズが便利だと思います。

両方の機能が欲しいとなると、今回ご紹介したNikonの可視光調光偏光レンズ「トランジションズ・エクストラアクティブ・ポラライズド(Transitions Xtractive Polarized)」がその候補に上がるのですが、可視光調光偏光の偏光機能は、一般的な偏光レンズに使われている偏光膜ではなく、フォトクロミック化合物の化学結合の組み換えによって発生する偏光機能の為、紫外線調光の層が紫外線を浴びて調光した時のみ現れる偏光機能となっています。

よって、可視光線のみで調光している夜間は『偏光機能が無い』という事になりますので、今回、ご質問頂いた消費者が求める条件は満たせないことになります。

ただし、偏光膜を使っていないが故に、ほぼ無色に近い状態まで退色するというメリットもありますので、これによって昼間から継続的に夜間も掛けていたいというご希望は満たされる形になります。

また、最大着色時の偏光度が90です。偏光膜を使った偏光レンズですと偏光度99%というものが多く、比べてしまうとたかが9%ですが確実に偏光機能は落ちますので、偏光膜を使った偏光レンズに慣れている方からすると、少し物足りなさを感じる可能性があります。

偏光機能と偏光度の件は消費者にとってデメリットになる可能性もありますが、事前に知っておくことである程度、ご理解いただける内容かと思われます。

可視光調光偏光レンズの追加撮影

今回のご質問に対して数回のメールをした結果、お問い合わせいただいた方はNikonの可視光調光偏光レンズのご購入を決断なされたそうですが、お問い合わせいただいたことで私自身「どれくらい濃くなるのか?」に重きを置きすぎて「どれくらい薄くなるのか?」を疎かにしてしまったような気がしました。

そこで、いろいろな環境でどのくらいの色になるのかを追加で撮影してみましたので、参考にして頂ければと思います。

尚、メガネを掛けている状態から外して撮影していますので、多少のピンボケやレンズの汚れはご了承くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。

①夕暮れ時の街中

時間帯からして紫外線による調光より、可視光線による調光だと思われますが、どちらにしても徐々に視認性が悪くなり事故も増える時間帯ですので、あまり濃くなって欲しくないと思いつつ撮影してみました。

左上:人も車も多く、明りも灯された商店街

右上:商店街から細い脇道に入った場所で撮影

左下:車の通行量が多い国道15号線で撮影

右下:駅のホームの比較的明るい環境で撮影

可視光調光偏光レンズ 夕暮れ時の色 夕方の色

結果として、色が付いているのか分からない程度でしたので、後ろに白い紙をかざして撮影してみましたが、環境を変えても色が薄いままでした。

最後に駅のホームで撮影した写真から、肌に合わせるとほとんど無色に感じると思いますが、掛けている本人も色が付いているという意識は全くなかったです。

②電車通勤の様子

昼と変わらないくらいに明るい駅の構内と、もしかしたら昼間より明るいかもしれない電車の中でどれぐらいの色になるかを撮影してみました。

左上:駅の構内で撮影

左下:電車の車内で撮影

右上:電光掲示板をそのまま撮影

右下:電光掲示板、可視光調光偏光を通して撮影

可視光調光偏光レンズ 夜間の明るい場所での色

結果、駅の構内でも電車の車内でも色が付いているか分からないくらいの色にしか変化しませんでした。

また、右側の電光掲示板は、何故かそのまま撮影したものより、可視光調光偏光を通して撮影した方が、白い文字が明るくなって見やすくなっている気がます。(度数が入っているのでユガミはご了承ください)

③夜の住宅街

ある程度、暗い環境でどのように見えるかを確認する為に、夜の住宅街で撮影しました。

また、可視光調光偏光以外の機能レンズを通して見た時の状態も撮影もしてみました。

左上:レンズを何も通さず撮影

中央:可視光調光偏光で夜間の日常生活で浴びる光を受けたで状態で撮影

右上:可視光調光偏光にヘッドライトを60秒程度照射した状態で撮影

左下:ネオコントラスト … 日常使いの眩しさ対策レンズ(夜間運転可能)

中央:ナイトアシスト … 夜間の眩しさを防ぎつつ、視界を明るくするレンズ

右下:ポラマックスプロ … 偏光+ネオコン+UV420の色が濃いサングラス

上段が今回の可視光調光偏光レンズなのですが、ヘッドライトを60秒程度照射した後は、暗い部分がより暗くなる感じになってしまうので運転には危険という事がお分かりいただけると思います。

でも、夜間の一般的な光を受けたで状態で撮影したものは、レンズを何も通さず撮影したものとほとんど変わりが無く、普通に使えることを実感して頂けると思います。

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因みに、下段は参考までに撮影したものですが「眩しさを防ぐレンズ」という共通点はあるものの、使い方や時間帯、明るさ等の状況に合わせて使うレンズですので、ご興味のある方は下記の記事をご確認ください。

⇒ ネオコントラストのご紹介はこちらから

⇒ ナイトアシスト体験レポートはこちらから

⇒ ポラマックスプロ体験レポートはこちらから

④調光レンズの欠点の確認

調光レンズの欠点として挙げられる2つの項目、「暖かいと思ったより濃くならない」「UVカットが施された車内では色が濃くならない」を実際に撮影してみました。

左:外気温28度の晴れている屋外で撮影

右:車内の運転席で撮影

可視光調光偏光レンズ 暖かい日の色 車の中での色

快晴とまではいかない天候でしたが、外気温28度の晴れている屋外で撮影してみた感じでは、かなり色が濃くなっていました。本人的には有り難い濃さでした。

また、UVカットが施された車内での色付きですが、写真で見た感じでは40%前後でしょうか。紫外線調光レンズの最大値が30~40%に対して、可視光調光レンズの最大値が40~50%ですので、まあ、こんなもんでしょう。でも、これも本人的には運転にちょうど良い濃さに感じていました。

結果、共に欠点と言われていますが、事前に知っていれば許せる範囲ではないかと思います。

可視光調光偏光レンズ_最後に

いろいろな場所で撮影した結果、夜間はかなり強い光を浴びない限り、色が濃くなって使いづらいという事は無いように思います。

ただし、トンネルや地下道、山の北側で木々が生い茂っているような急に暗くなる環境では注意が必要です。

これは調光レンズ全般に言えることなのですが、色が濃い状態から色が薄くなるのには時間が掛かる事から、暗い場所に濃い色のサングラスで入ってしまうような状態となり、結果的に光量が不足して危険ですので使用は不可となります。

万が一、そういった環境になってしまった場合は、安全な場所で止まってメガネを掛け替えるか、安全を確保した上で色が薄くなるまで待って頂くようにしてください。

また、夜間は可視光線による調光のみとなりますので『偏光機能』は発生しません。その点はご理解の上、ご利用いただくしかないです。

逆に、昼間、どれくらい濃くなるかを確認したい場合は、可視光調光偏光レンズの体験記の後編をご確認ください。

⇒ 昼間の色の付き方の確認は後編の体験リポートへ

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