前編の記事について
遠近両用の選び方をご説明する前に、メガネレンズの種類に関して詳しくお伝えしましたので、まだ、ご確認いただいていない場合は下記のリンクからご確認ください。
遠近両用の選び方 … 元の眼の状態で選ぶ
●遠くが見づらい方の場合
遠くが見づらくて「近視・乱視・遠視用」のレンズを使っていた方は、近くが見づらくなったからと言って、近くだけが見える『老眼鏡』を購入してしまうと、遠くが見えなくて不便になりますので、基本的には一本のメガネで遠くも近くも見える『遠近両用』レンズが常用となります。
ただし、遠近両用は使いたくないという事であれば、遠くを見る時は『近視・乱視・遠視用』のレンズを使い、近くを見る時は『老眼鏡』に掛け替えるという方法がありますが、常に掛け替えが必要となりますので、その手間はご了承頂くしかありません。
また、『近視・乱視・遠視用』のレンズの度数にもよりますが、メガネを外せば近くが見える方もいらっしゃいます。
外せば見えるので意外と便利な方法ですが、見たい物まで近づく必要がありますし、メガネをズラす仕草は“老け見え”の原因になりますので注意が必要です。
●遠くが良く見えている方の場合
今までメガネが必要なかった方が、近くが見づらくなってきた場合には『老眼鏡』が一番手軽で安価なので宜しいと思いますが、極力、視力測定を行ったうえオーダーメイドで作製するメガネのほうが良いと思います。
何故なら、100均やスーパー等で販売されている既製品の老眼鏡は、お試し程度に使う事は問題ないと思いますが、個人の眼に合わせて作ったものではないので長時間の使用はお奨めできないからです。
尚、オーダーメイドで作る『老眼鏡』より少しお値段が高くなりますが、『老眼鏡』より見える範囲が広くて使いやすい『近々両用』もお奨めです。
因みに、老眼鏡を掛け外しする仕草は“老け見え”の原因になる事から、特に女性からは嫌がられることがあります。このような場合は、例え遠くが見えていても掛けっぱなしでいられる『遠近両用』や、お仕事の時だけ使う『中近両用』もお奨めします。
遠近両用の選び方 … 年齢で選ぶ
●「近視・乱視・遠視用」のレンズを使っていた方の場合
遠くが見づらくて「近視・乱視・遠視用」のレンズを使っていた方が、30~40代となり疲れ目を感じ始めた時は『調節力サポート』レンズを使う事をお奨めします。
同じように遠くが見づらくて「近視・乱視・遠視用」のレンズを使っていた方が、40代半ばになり近くが見づらくなってきた場合は『遠近両用』レンズをお奨めします。
この二つの違いは年齢と、疲れを感じているか、それとも近くが見づらくなってきたかの差です。
さらに、遠くも近くも見づらくて『遠近両用』レンズを使っているという方が年齢を重ねて50代半ばになった時は、お仕事用やご自宅用として『中近両用』や『近々両用』レンズを作製し、外出時は『遠近両用』で、室内では『中近両用』や『近々両用』レンズを使うといった併用をお奨めします。
●今までメガネを使う必要が無かった方の場合
基本的には『元の目の状態で選ぶ』でご紹介した「遠くが良く見えている方の場合」と同じですが、既製品の老眼鏡に関して少し補足しておきます。
既製老眼鏡はアクリル系の安いレンズを使っていることが多く、度数が強くなると非常に分厚くなり、さらに重さも増してきます。
さらにフレームも非常に安価なものを使っており、きちんとしたフィッテング(掛け心地の調整)を行う事が出来ません。
それでも良いという事であれば問題ないのですが、鼻や耳にかなりの負担が掛かりますので、ある程度の度数となった場合は、やはりオーダーメイドの老眼鏡を作製することをお奨めします。
遠近両用の選び方 … 使用シーンと使用時間で選ぶ
●お仕事で
・外出が多い方、車の運転が多い方
外出中に近くを見る必要が全くないという場合は『近視・乱視・遠視用』レンズや、近くを見たい時だけ使う『老眼鏡』でも良いと思いますが、ある程度、遠くも近くも見えるようにしたいという事であれば『遠近両用』レンズが便利だと思います。
また、車の運転ではカーナビやメーター類が中間距離になりますので『遠近両用』レンズが使いやすいと思います。
・接客業の方
店舗や施設の広さにもよりますが、ある程度、遠くも見えて近くも見たいという事であれば『遠近両用』レンズが便利でしょう。
接客もするけど細かい作業が多いという場合は『中近両用』の方が使いやすい場合もあります。因みに、細かい作業が多い眼鏡店の店員さんは『中近両用』を併用される方が多いようです。
・事務仕事の方
普段の事務作業で見たい距離は意外と近く30~80cmといった所がほとんどになります。会議やミーティングでもだいたい2~3mといったところでしょう。
この距離感から考えると、老眼の度数が弱いうちは『遠近両用』レンズでも大丈夫なのですが、50代半ばになったら『中近両用』や『近々両用』の方が使いやすいかもしれません。
また、『老眼鏡』を仕事に使用すると掛けたり外したりという動作が生まれ、非常に面倒ですし、“老け見え”の原因となる事がありますのでご注意ください。
・ノート型のPC
パソコン作業と言っても事務所内を歩き回る事や打ち合わせや会議もあるので、ある程度、遠くが見えることも必要になると考えられます。
それを前提として考えた時、ノート型のPCはキーボードと画面が近くにあり、視線の角度的にも大きく違わないので、老眼の度数が弱いうちは『遠近両用』レンズ、老眼の度数が強くなってきた時は『中近両用』レンズがお奨めとなるでしょう。
・大型画面のデスクトップPC
ノート型のPCと同じように、ある程度、遠くが見えることも必要になると考えられますが、ここではあえて長時間、集中して仕事が出来るように、距離や角度的に何が一番使いやすいかと言う視点で考えるとデスクトップPCには『近々両用』レンズが良いと思います。
ただし、『近々両用』レンズは中間や遠くはボケてしまいますので、パソコンの前を離れる時は『遠近両用』レンズに掛け替えることも合わせてお奨めします。
●ご自宅で
家の中は距離があると言っても5m以内の事がほとんどで、実際にハッキリ見たい物はだいたい2~3mの範囲に収まります。(鏡を見る時は倍の距離になるので注意)
近くはスマホを見る時、ハガキや請求書を読む時、書類を書く時、薬の注意書きや賞味期限を確認する時、ツメを切る時など25~40cmと言ったところでしょう。
両方の距離が見やすいレンズは何かとなると、絶対的に『中近両用』レンズがお奨めとなります。
ただし、『中近両用』レンズは車の運転が不可ですので、お買い物に出かける時は『遠近両用』に掛け替える必要があります。
尚、ダッシュボードに『遠近両用の予備メガネ』を入れておくと、家を出る時に掛け替えることを忘れても大丈夫です。
遠近両用の選び方 … ご予算で選ぶ
元の眼の状態を問わず金額だけで考えると『老眼鏡』が一番安価で、眼鏡店にて測定して制作しても大抵1万円前後で購入可能ですが、目の良し悪しによって使い方が限定されてしまいますので手元だけよく見える老眼鏡は万能な眼鏡ではありません。
次は『遠近両用』『中近両用』『近々両用』などのレンズとフレームがセットになった商品でしょう。これならご自身の眼の状態や使用スタイルによって選ぶことが可能ですし、ご予算的にも2万円前後でご購入が可能です。
ただし、初めての方向けのスタンダードクラスのレンズが付いたセット商品の為、老眼の度数が弱いうちは良いのですが、老眼の度数が強くなってくると視界が狭くなるのであまりお奨めできません。眼の状態だけでなく、体の感覚もありますので一概には言えませんが、年齢的には50歳前後まででしょう。
それ以降は『遠近両用』『中近両用』『近々両用』共に、レンズだけで30,000円~50,000円程のミドルクラスのレンズがお奨めとなり、老眼の度数が強くなるにつれレンズだけで50,000円以上のハイグレードレンズがお奨めとなっていきます。
ただし、全ての人が年齢を重ねるとハイグレードレンズじゃなければいけないのかと言われるとそういう訳でもなく、元の眼の状態やご自身の使い方によっても異なり、『遠近両用』と『中近両用』の併用や、『遠近両用』と『中近両用』と『近々両用』のシーン別の使い分けなどでカバーすることも可能ですので、この辺りは遠近両用プロショップにご相談することをお奨めします。
遠近両用の選び方 … 見た目で選ぶ
レンズは設計に関係なく基本的には無色透明なので、見た目での選択に意味はありません。
逆に、見た目となるとレンズにお洒落な色を付けるか、レンズに調光や偏光等の機能を付けるかになります。
また、見た目に大きく関係するのはフレームであり、メガネフレームは素材、色、形、ブランド等の選択の幅が多くあり、さらに生産地でも価格が大きく違ってきますので、店舗で選ぶときに販売員にご相談してみるのが宜しいと思います。
遠近両用の選び方 … いちばん使いやすいものを選ぶ
朝起きてから夜寝るまでずっと、一本のメガネで掛け外しや掛け替えをすることなく過ごそうとするなら、フルオーダーのハイグレード遠近両用がお奨めです。
ハイグレード遠近両用は、レンズの設計が最新式と言うだけでなく、メガネとして顔に掛けた状態を計測して、最適な度数設定を行うフルオーダーのレンズとなりますので、視野が広くてユレ・ユガミ・ボケを感じやすい部分が非常に少なく使いやすいです。
眼鏡店の店員さんは『中近両用』を使っている方が多いと記しましたが、実は『中近両用』を使っていない方はこのフルオーダーレンズを使っている場合が多いです。
お値段もそれなりとなりますが、それだけの価値があるレンズです。
遠近両用の選び方 … まとめ
近くが見づらくなってきたと言っても、見づらい状況は人それぞれです。そこで選ぶコツをお伝えしましょう。
それは【距離】と【時間】です。
どれくらいの距離をどれぐらいの時間見たいのか?それが一日の中でどれくらいの割合を占めるのかが重要です。
また、仕事と余暇では重要度も異なりますので、何を優先するかによっても違いが出ます。
単に、近くが見づらくなってきたから老眼鏡を購入するのではなく、さらに、遠くも近くも見たいから遠近両用を作るのでもなく、ご自身がどれくらいの距離をどれぐらいの時間見たいのかを整理したうえで遠近両用プロショップにご相談いただくと良いでしょう。
また、それぞれのレンズの【見え方や使い方を体験・体感】するのも非常に大切です。
「遠近両用」を使う時の視線の角度やユレやユガミの体感、「遠近両用」の中間や近くの見え方と「中近両用」の中間や近くの見え方比較、「中近両用」の遠くの見え方の体験、「中近両用」と「近々両用」の視野の広さと奥行きの違い、「遠近両用」「中近両用」「近々両用」のそれぞれでパソコンを見た時の姿勢や視線の角度などです。
これらを体験・体感した上で、ご自身に何が一番合っているかを試してからご購入することをお奨めします。
遠近両用プロショップでは、お客様の用途に合わせた快適なレンズをご提案させていただいております。特に遠近両用レンズを初めてご使用になる方。もしくは、一度試したが慣れなかった方など、是非、遠近両用プロショップへお気軽にご相談ください。