コリジョンコース現象って聞いたことがありますか?
畑の中を通る一本道。視界を遮るものが一切無く、はるか先まで見通せる直線道路で、青空の元、運転したらさぞ気持ちが良いことでしょう。
でも、こんな環境だからこそ起こる事故があるとしたら、どう思いますか?
「いやいや、こんな見通しが良い交差点で、事故なんて起こるはずないよ!」と思う方がほとんどだと思いますが、実は田園型交通事故とか十勝型交通事故とも呼ばれている「コリジョンコース現象」が発生すると、写真のような見通しの良い交差点でも出合い頭の衝突事故が起きてしまうのです。
コリジョンコース現象が発生する条件とは?
コリジョンコース現象が発生する条件は
・昼間
・背景がほとんど変化しない平地
・田畑の中で見通しが良く、直角に交わる交差点
・直行する車が同じ速度で交差点に進む
と言われています。
では、次にコリジョンコース現象が発生する要因についてご説明していきましょう。
コリジョンコース現象が発生する要因…人間の視野
コリジョンコース現象を知る上でとても重要になるのが「人間の視野」の話です。
人間の視野は片目で見た時に、水平方向は鼻側が約60度、耳側が約100度と言われており、両目で見た時は左右に約200度になります。
また、両眼で見た時に、物の色や形がハッキリ認識できる「中心視野」が前方に30~35度、その外側の35~100度は色・形・動かないものは認識しづらい「周辺視野」となります。
<ココがポイント!>
●中心視野
真っすぐ見たところから35度以内
物の色や形がハッキリ認識できる
●周辺視野
35度から外側の100度まで
色・形・動かないものは認識しづらい
つまり、35度から外側の100度までの周辺視野にある“動かないもの”は認識しづらいというのが人間の視野の特徴であり、この特徴がコリジョンコース現象を引き起こす要因の一つなのです。
コリジョンコース現象が発生する要因…車の角度
次にコリジョンコース現象が発生する環境と車の角度の話をしましょう。
コリジョンコース現象が発生する条件は、先程ご紹介した「昼間」に「背景がほとんど変化しない平地」の「田畑の中の見通しが良い直角に交わる交差点」という環境なのですが、そこで衝突事故が起きる場合、「直行する方向から同じ速度で交差点に車が進入する」ことがもう一つの要因となります。
因みに、同じ速度で交差点に進入して衝突事故を起こすという事は、下記のように常に45度を保った状態で進んでいるという事になります。
コリジョンコース現象が発生する瞬間
ちょっと想像してみてください。
昼間は周りが見えていると誰もが思っていますよね?
背景の変化が無い場所では周りに気を取られることがないので、遠方を見ていますよね?
田畑の中の見通しが良い交差点では前方を直視しますよね?
そうなのです。こういった条件の下では、人は視線をあまり動かさなくなるのです。
さらに、中心視野と周辺視野の境目は約35度とお伝えしましたが、常に45度の位置にある車は『動かないものは認識しづらい周辺視野で捉え続けている』ことになります。 これにより中心視野に入るほど近づくまで車が来ていることに気づくことが出来ず、気付いた時には回避不能な状態となってしまう為、「突然車が飛び出してきた」、「止まっているように見えた」、「動いているとは思わなかった」という言葉が出てくるのです。
因みに、車の形状や座席の位置によっても多少は変わりますが、横から来る車がフロントピラーに隠れてしまって見づらいという事も要因の一つとして挙げられることもあります。
コリジョンコース現象の影響や危険性
ここまで読んでいただいた方は既に恐怖を感じていると思いますが、コリジョンコース現象の影響や危険性として最も大きいのが、「お互いに気付いていない可能性が高いので、ほぼノーブレーキで衝突してしまうこと」や「平地で見通しが良い一本道では、ついついスピードを出してしまうこと」により大事故に発展する可能性が高いことです。ちょっとした怪我じゃ済まなくなることも考えられるのです。
コリジョンコース現象の回避方法
自分自身で出来るコリジョンコース現象の回避方法もありますのでご紹介しましょう。
① 目線だけでなく、顔を動かして左右を確認する
物や色がハッキリ認識できる中心視野で確認する為に、目線だけでなく、顔を動かして左右を確認するようにしてください。
② 道路標識や停止線を確認する
コリジョンコース現象が徐々に有名になってきている為、行政も交差点の手前に標識を設置したり、信号が無いのに停止線を引くなどの対策を講じ始めてくれているようです。ちょっと気になる場所では、標識に目線を送るなど確認するようにしてください。
③ スピードを落とす
コリジョンコース現象は同じスピードで交差点に進入するときに起こる現象なので、スピードが異なれば相手の角度が変わり、周辺視野でも認識できるようになります。
よって、スピードを落としたり変化をつけることも回避方法の一つになります。
④ 優先道路と過信しない
コリジョンコース現象が発生する場所では、相手の車も貴方の事を認識していませんので、優先道路を無視して侵入してくる可能性があります。優先道路だからと過信するのは危険です。
⑤ 雪原にも注意する
田畑の中だけでなく、雪原でも同じようにコリジョンコース現象が発生しているそうです。あたり一面真っ白で風景の変化が少ないからだと思われます。
コリジョンコース現象とメガネ
えんきんドットコムは疲れ目・老眼・メガネに関する情報サイトですので、メガネで出来る対策をご紹介したかったのですが、コリジョンコース現象は人間の視覚特性と発生しやすい道路環境が偶然重なったときに起こるものなので、メガネによって何かの対策が出来るという明確な根拠はありません。
よって、一般論として運転に対してメガネやサングラスで出来ることをご紹介させて頂きますので、ご参考にして頂けたら幸いです。
① 遠近両用メガネの場合
遠近両用メガネを普段から使っている方ならご存知かもしれませんが、遠方がハッキリ見える度数は、真っすぐ見た時より少し上に設定されていることが多いです。これにより遠くをハッキリ見たい場合は少しアゴを引き気味で見て頂くと見やすくなります。
疲れたからと言ってふんぞり返ると、近くを見る度数が入っている部分を視線が通ることになり、視力が低下することがありますのでご注意ください。
また、昨今の遠近両用には遠く重視の設計や、中間距離を重視した設計など、いろいろなタイプのものが発売されていますので、ご旅行や長時間の運転には遠くの視野が広い設計を選ぶ方が良いでしょう。
お求めやすい価格のスタンダードレンズとハイグレードのレンズでは、ハッキリ見える視野の広さが異なりますので、もし、ご予算的に許されるようならハイグレードのレンズをお奨めします。
② 近視用のメガネの場合
近視用のメガネレンズに関しては、球面設計、非球面設計(片面)、両面非球面設計などの設計グレードがありますが、特に度数が強い方と乱視が強い方の場合、球面設計より非球面設計、非球面設計より両面非球面設計の方がハッキリ見える視野が広くなります。
ハッキリ見える視野が広い方が見やすいレンズとなりますので、ご検討いただくのも良いと思います。
③ サングラスの利用
眩しさ対策として色が付いているサングラスを利用される方が多いですが、最近は目的に合わせた機能サングラス(レンズ)を利用される方が増えています。いくつかご紹介させて頂きますので、ご興味のある方は是非、遠近両用プロショップにご相談ください。
・偏光サングラス
路面、水面、雪面等で反射したギラギラした反射光を遮ってくれるので、単なる眩しさ対策だけでなく、視認性の向上や疲れの軽減にも役立つレンズです。偏光レンズは一度使うと色を付けただけのサングラスには戻せなくなるくらいの優れものです。
・調光サングラス
紫外線や可視光線を受けることで色の濃さが変わるレンズです。室内ではほぼ無色になる事から普段はメガネとして利用し、外出時にはサングラスとしてご利用いただけます。 掛け替える必要もなく、持ち運びの荷物も減らせることから、1本のメガネでメガネとサングラスの両方の使い方が出来ると喜ばれています。
・夜間運転用レンズ
ヘッドライトにLEDを採用する車が増加し、夜間運転にて疲れ目を訴える方が増えております。「対向車のヘッドライトがまぶしい」という方には夜間運転用の「ナイトアシスト」という濃い黄色のレンズがありますので、試してみる価値はあると思います。
・眩しさ対策が出来るメガネレンズ
ネオコントラストは、サングラスというよりはメガネとして利用する方がほとんどですが、人が最もまぶしさを感じる585nm付近のイエローライトをピンポイントでカットすることで、眩しさだけを減らし、赤・緑・青・白・黒などの色彩感覚はアップすることが可能なレンズです。夜間運転も可能ですので、一日中使えるレンズです。
・無色なのに防眩対策が出来るレンズ
仕事柄、色が付いているレンズは使いにくいという方には、無色透明なのに眩しさ対策が出来るレンズがあります。販売元によって「ビュイ」や「レクアメッシュ」と名称は変わりますが、効果を感じやすい方と感じにくい方がいらっしゃいますので、体験してからご購入されることをお奨めします。
メガネやメガネレンズにお困りの方はお近くの「遠近両用プロショップ」へ。こちらの「ご相談・お問い合わせフォーム」からお気軽にご相談ください。