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「利き目」がスポーツや趣味に与える影響について

前回、利き目に関してご説明させて頂きましたが、今回は利き目がスポーツやご趣味にどのような影響をもたらすかをご紹介していきたいと思います。もしかしたら貴方のパフォーマンスを上げることが出来るかもしれませんので、是非ご参考にしてください。

野球など方向性が一定のスポーツに関しては、左右の目の視野と利き目がどちらの目なのかを事前に知っておくだけで、パフォーマンスに差が出る可能性があります。今回は、競技やシーン別にご紹介しますので、是非、参考にしてください。

尚、ご自身の利き目の調べ方や視野に関しては、前編をご参照ください。

<関連記事・前編>
「利き目の調べ方」「視野」に関してはこちらから →

野球・ソフトボール

利き目と視野が影響しやすいのはバッティングと言われています。

一般的にボールの出どころや、ボールの軌道が見える方が打ちやすいということで、利き目をピッチャー側にする方が有利と言われています。お子様が小さいうちなら早めに利き目を調べて、右打ちにするか、左打ちにするかを決めてあげたいですよね。

ただし、諸説あって、最後まで引き付けてボールを見る事が出来るから、利き目はキャッチャー側が良い言う理論もあるようですし、利き手で押したほうが球は飛ぶから利き目より利き手を優先するという理論や、オープンスタンスにすれば対応できるからとか、いろいろ言われているようです。

確かに往年の選手の中には落合さんや八重樫さんなど極端なオープンスタンスを取っていた方もいらっしゃいますし、松井さんのように左の利き目をピッチャーに向けるために、顎を右肩に乗せるようなルーティーンを行っていた選手もいました。

覚えている方も多いと思いますが、イチローさんのバットを立てる独特なルーティーンは、利き目の右目をこれから使うぞという準備運動だったそうです。スコアボードに書かれた名前と自分のバットを重ね合わせ、遠くから近くの順で見ながら利き目を意識していたそうです。

実は、人は近くの物から遠くのものにピントを合わせるのは比較的得意なのですが、逆の遠くから近くにピントを合わせることはあまり得意ではなく、玉の動きは遠くから近くなので、ピントを合わせる準備だったという話もあるようです。

ホームランバッターを育てるか、アベレージヒッターを育てるかにもよりますので、お子様の希望や監督、コーチのアドバイスに従って検討してみることをお奨めします。

因みにソフトボールに関しては、足の速い左打者が行うスラップという独特な走り打ちがあります。野球より塁間が近く、ほんの少しでも守備がもたつくとセーフになる確率が高い事から行われる打法ですが、右目が利き目の左打者には強い武器になります。

女の子は部活に入ってから初めてバットを振る子も多いとの事で、入部後すぐに利き目を調べて右目が利き目の場合、一塁に近い左打者になるように指導される子も多いそうです。

サッカー・バスケットボール

サッカーやバスケットボールにおいては、ボールの位置だけでなく味方の位置や相手ディフェンダーの位置も瞬時に確認する必要がありますので、利き目とポジションの関係が重要になると思われがちなのですが、実は攻める時と守る時で向いている方向が違う事から、あまり関係ないという意見もあるようです。

実際にサッカーをやっていた方に聞いた話でも「常に顔(頭)を動かして、視野を広く保つように」と指導されていたとの事でした。

方向性が瞬時に変わるスポーツに関しては、利き目と言うより、視野の広さの方が重要になるようです。

バレーボール・バトミントン・卓球

バレーボール、バトミントン、卓球等のネットを挟んで対戦する競技がバスケと違うところは、方向性がある程度一定なところです。

バトミントンや卓球の場合、1打で打ち返すスポーツが故に真横より後方からシャトルが飛んでくることは無いので、利き目や視野に関しては頭を回転させる(首を回す)ことでカバー出来るように思われますが、バレーボールの場合、3打以内に相手コートにボールを返す競技なので、プレイ内容によっては後ろからボールが来ることもあります。

一般的に右利きでレフト側からスパイクを打つ選手は、右側の真横からトスが上がるように思われますが、レベルが上がれば上がるほど、Aパスがセッターに入った時はクイックやコンビ等が多くなり、サイドアタッカーはレシーブが乱れた時にやや後方から上がったトスを打つ機会が多くなります。こういった時は利き目が右目の方が有利です。 ただし、相手ブロックの位置や手の出し方、守備の位置を見る時は、左目が利き目の方が有利かもしれませんので、正直言ってレベル次第かもしれませんね。

ゴルフ

ゴルフはサッカーやバスケのようにポジションが変わることは無いので、利き目の影響が大きくなるようです。実際にコーチング系のYOU TUBEの中でも利き目の事を取り上げているものがありますので、詳しくはそちらをご参照ください。

先ずはティーショット。利き目が左だとバックスイング中もティーが見えるのですが、利き目が右目だとバックスイング中はティーから外れることになります。でもそれが正しいそうで、右目が利き目の方が無理にボールを見ようとすると捻転が浅くなるので、ミート率が悪くなり飛距離も短くなるそうです。右目が利き目の方はボールを見るとか顔を残すとかはあまり気にしないで、顔の向きに添って回転するほうが正しいスイングになるそうです。

左目が利き目の人はバックスイングでも球が見やすいので深いトップが作れますが、ダウンスイングで体が開きやすくなるので注意が必要との事です。

因みに、右目が利き目の人でスライスが多い方は、体が開き気味になっている可能性が高いそうなので、開かないように意識すると良いかもしれません。逆に左目が利き目の人でフックが多い方は、頭を残すように意識すると良いようです。

次にパター。昔は左目の下にボールを置いて打つように言われていましたが、今は利き目の下にトップエッジ(フェイス)を持ってくるのが正しい位置と言われているそうです。確かに右目が利き目の人が左目の下にボールを置くと、パターに被さってしまいインパクトの瞬間が見えません。

また、グリーン上ではラインを読む必要がありますが、右目が利き目の人が顔を真下に向けた状態でラインを見ると、カップ側の視野は60度しかありませんので、距離があればあるほど本当はカップが見えていないことになります。この場合、ボールの後ろからラインを読んで、その時の感覚を基に打った方が良い場合もあるようです。

ただし、これらは個人差があるようですので、先ずは練習場で試してみて頂くことをお奨めします。

アーチェリー・ダーツ

的を狙うようなスポーツでは、的の後ろから一直線に狙いを定めて打つ必要があります。

アーチェリーに関しては利き目が右目なら右打ち、左目なら左打ちを選ぶのが基本ですが、競技人口が多くない競技においては道具の問題が発生します。どうしても左打ち用の道具が少ないのが現状です。アーチェリーや射撃用の目隠し板のアイブラインダーを使って利き目を隠す方法もありますが、実際に左目が利き目で右打ちをしていた人によれば、最初の頃に利き目をつぶって練習していたので、競技を行うときだけ利き目が入れ替わるようになったそうです。

因みにダーツで利き目と利き手が違う場合は、顔や体を傾けて一直線になるようにするそうです。

フィギュアスケート

フィギュアスケートの場合は、空間を捉えながら着地点を見て演技することが必要なことから、回転の方向は利き目側に回る方が有利と言われています。

ただし、実際には日本のフィギュアスケート選手は左回転が多く、最初に指導を受けた時に左回転で指導を受け、その後もずっと左回転を続けているみたいです。

趣味の世界では

趣味の世界で利き目に関して言われているのはカメラです。単眼の顕微鏡や望遠鏡も同じなのですが、特にカメラの場合は右目でファインダーを覗き、レンズの下を左手で持ちながらピント合調整を行い、右手でシャッターを押す構造で作られています。

この時、左目でファインダーを覗くと右手に顔が当たりますし、当たらないようにするとファインダーとの距離が出来てしまったり、直線にならずに操作しにくいです。

このように手が右利きで、目も右利き用に作られていますので、利き手や利き目が左の場合は操作しにくいのです。

さらに最近は、モニターにタッチパネルを内蔵したカメラが多く、画面に触れることでその部分にピントを合わせたり、シャッターを切ったりできるカメラもありますので、左目でファインダーを覗くと誤操作に繋がりやすいという話もあるようです。

因みに過去には利き手が左利き用のカメラもあったようですが、左利きの人口比ほど売れずにコスト高になってしまった為、継続的に販売されず今は生産が終了しているそうです。

顕微鏡に関しては面白い話をお聞きしたことがあります。その方は某企業で研究職をしていた方なのですが、右目が利き目なのに顕微鏡をのぞく時は左目を使い、同時に右目と右手でメモを取ることが可能だそうです。慣れるまでに少し時間が掛かったそうですが、利き目が瞬時に入れ替わるのか、両目が利き目になったのか、どちらにしても凄い得意技をお持ちの方でした。

利き目のまとめ

競技によって有利・不利が出やすい場合は、ある程度利き目を意識する必要があると思いますが、利き目は入れ替わることもありますし、意識して使い分けることが出来る方もいらっしゃいます。

また、右目が利き目の方は、言語能力・論理的な思考・複雑な道具の使用のような左脳の働きが良いことに対して、左目が利き目の方は、直感力・空間認識力・図形や映像の認識・記憶力に優れた右脳の働きが良いことが挙げられます。

競技によっては、ある程度のレベルになると利き目より脳の働きの方が結果を左右することもあるようなので、何とも言えないというのが答えなのかもしれませんが、意識して使って見るのは良いことだと思います。

因みに、意識して使い分けられる方限定の老眼対処法なのですが、片方の目で遠くを見て、もう一方の目で近くを見るという方法があります。このような目の使い方をモノビジョンと言います。

老眼対策のモノビジョンについて

モノビジョンは白内障やレーシック手術時に度数を調整して作る場合が多いです。

手術でモノビジョンを作った場合のメリットは、メガネやコンタクトレンズ等の老眼に対処する道具が不要になることが挙げられます。

デメリットは、お手元の細かい作業を集中して長時間出来ない事、距離感がつかみにくく運転に向かない事、慣れることが出来ない方も多い事などが挙げられますが、さらにレーシックの場合は水晶体が残っている状態なので、老眼の進行や白内障の進行によって見え方が低下することも考えられます。

また、左右の見え方の違いに慣れられない方の中には、酷い頭痛や体調不良の原因になる事もあり、お医者様の間でも賛否両論ある老眼対処方法のようです。

若い時から近視でコンタクトレンズを使っているという方の中で、軽度から中度の近視の方なら片眼のみコンタクトレンズをしてみるとモノビジョンの状況が作れますので、お奨めするわけではありませんが体験することは可能です。(筆者の母が30年ほど前、出かける時だけコンタクトレンズでモノビジョンをやっていました。)

また、メガネでモノビジョンの状態にすると、左右の像の大きさが異なり脳内で見え方を融合することが出来ませんので、残念ながらメガネでモノビジョンを作れません。

もし、それでもモノビジョンに関してご興味があるという場合は、眼科様にご相談されるのが良いと思います。


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