プラスチックフレームの修理に関して
プラスチックフレームは修理出来る素材と、出来ない素材があります。また価格的な問題もあります。先ず、素材に関してですが下記のようになります。
・セルロイド … 修理可能
・アセテート… 修理可能
・TR … 修理不可の場合が多い
・ウルテム … 修理不可の場合が多い
昔から販売されているセルロイドやアセテートに関しては、ほとんどのケースで修理可能ですが、2000年代後半から日本でも販売されるようになった素材であるTR-90やULTEMといった樹脂系のフレームは修理が出来ない、もしくは修理しても同じ場所が壊れやすいといったことが発生しやすく、修理をお奨めしておりません。
また、セットで販売されているアセテート枠や、TR-90、ULTEMといった樹脂系のフレームは価格的にお求めやすいものが多く、修理するよりも新しいものに買い替えてしまった方が良い場合もあり、遠近両用プロショップとしても買い替えをお奨めすることがあります。
因みにTR-90、ULTEMといった樹脂系の見分け方は、テンプルの内側に記載されていることが場合がありますので、それをご確認いただくか、素材に弾力性があるかで見分けられます。
個別の修理事例や価格、修理日数に関しては下記をご参照ください。
尚、価格幅と納期幅に関しては、全国にある遠近両用プロショップの店舗からサンクス・メンテナンス・センターに修理品を送っている為、往復送料や距離によって違いがございます。詳しくは店頭でのお見積りにてご確認ください。
ブリッジの修理
ブリッジは他の部分より厚く作られている部位なので、数的には多く発生する修理ではありませんが、稀に真ん中からポッキリ折れてしまうことがあります。
こういった場合、素材に熱を加えて接着し、綺麗に磨いて元の状態に近づけます。
料金は7,700円~11,000円で、修理に掛かる日数はおおよそ15~17日間ですが、お買い上げ頂いた時のお値段との相談になると思います。
尚、TRやウルテムは修理不可です。
テンプルの修理
テンプルの修理で多いのは、耳にあたる部分のひび割れや折れ、飾り近辺の芯折れです。 掛け心地の調整等で曲げ伸ばしを何度もする耳の部分は、どうしても負担がかかるのでこういった症状が発生します。飾り近辺に関しては力が集中する部分でもあり、極端な力が加わると折れてしまうことがあります。
また、わんちゃんを飼っている方に限っての修理なのですが、わんちゃんがテンプルの先端を噛んでボロボロにしてしまう時があります。人の耳の後ろはフェロモンが出ているそうなので、たぶん大好きなご主人様の臭いがするメガネの耳の部分が好きなんだと思います。
これ本当の話で、レンズが入っているフロント部分を噛まれるという事例は少なく、耳の所の先端部分ばかりなのです。もしかしたら、ただ単純に先端部分が噛みやすいだけかもしれませんけど。
ブリッジ同様、料金は7,700円~11,000円で修理に掛かる日数はおおよそ15~17日間ですが、お買い上げ頂いた時のお値段との相談になると思います。 また、TRやウルテムは修理不可です。
リムの修理
プラスチックフレームは、温度変化に対して伸び縮みする性質を持っておりますが、レンズもプラスチック製がほとんどであり、双方の伸び縮みが合わないとリム切れのような破損の原因の一つになることがあります。
前記した素材のセルロイドとアセテートのようなプラスチックは比較的伸び縮みがレンズと合うようですが、TRやウルテムといった樹脂系は曲がりに対する弾力性には優れているものの引張には弱い性質があり、あまり伸び縮みしません。よって、リム切れに関しては樹脂系の方が多く感じます。
また、一部の低価格が売りとなっている眼鏡店では、レンズが外れることを恐れ、少し大きめに加工して枠入れするところもあったようですが、大きめのレンズが伸びると枠を通常より大きな力で引っ張ってしまう為、リム切れしてしまうことがあったようです。ただ、最近はこういった店舗は減ってきたようにも思います。 尚、リム切れの修理も7,700円~11,000円で、日数も15~17日程掛かってしまいます。TRやウルテムは修理不可ですし、元々のご購入金額も修理価格以下の場合もありますので、新しいものをご購入頂くことをご検討頂いた方が良いかもしれません。
ヨロイの修理
プラスチック枠に関して言うと、ヨロイは太く天地も広く作られているので、破損は滅多にありません。稀にあるのはヨロイが湾曲しているデザインのもので、かなり強い力が加わった時に破損するようです。
破損部分を熱で溶かして接着しますので完全には綺麗にならず、特に下の写真のようなクリアな素材の場合は跡が見えてしまいますので、ご検討して頂いた方が良いでしょう。
また、ヨロイの修理も7,700円~11,000円で、日数も15~17日程掛かってしまいますので、ご購入時の価格と相談された方が良い場合もあります。
尚、TRやウルテムは修理不可です。
丁番の埋め込み
プラスチックフレームの修理で一番多いのが、この丁番の埋め込みです。
メタル枠の修理の所でもご説明しましたが、受け側が2枚、差込側が1枚の合計3枚丁番の場合、上下方向に力が加わると力が集中するのが丁番部分になりますので、どうしても破損しやすくなります。
テンプルの天地が広い一部のゴッついフレームには、受け3枚、差込2枚の合計5枚丁番というものもあり、力が加わっても折れることが減ります。とは言え、ある程度の高さが必要なのでメタルフレームと同様に通常は3枚丁番が多くなっています。
丁番が折れた場合は、折れたパーツを外し新しいものに取り換えますが、プラスチックフレームの中に埋め込まれているものがほとんどですので、熱を加えて折れたパーツを外し、再度、熱を加えて新しいパーツを埋め込みます。また、不足したプラスチックを追加して、角度を整えてから表面を磨きますので、熟練の職人技が必要な修理になります。
丁番の埋め込みは6,000円~8,800円程度になります。日数はおおよそ11~13日間です。
TRやウルテムといった樹脂枠では修理をお受け出来ません。
鼻盛り
プラスチックフレームは、鼻あて部分が一体型のデザインのものが多く流通しています。一体型の鼻あては、お客様の鼻に合わせて調整することが出来ない為、まつ毛がレンズに当たってしまう方や、鼻筋に合わずメガネが下がってきてしまう方などのフィッティングに苦戦することがあります。その様な場合は、セルロイド・アセテートのフレームであれば「鼻盛加工」がお奨めです。
サンクス・メンテナンス・センターでは専用の鼻盛パーツを準備しており、遠近両用プロショップでは、鼻盛パーツを店頭で展示しておりますので、お客様の鼻筋にあったものをご指定いただき、鼻あて部分を付け替えることで理想のフィッティングを行うことが出来ます。
作業工程としては、フレームの鼻あて部分をヤスリで平らになるまで削ります。次に切削面をバフ研磨で綺麗にします。その後、切削面と鼻盛パーツの接地面を溶剤で溶かし、溶接します。最後に鼻盛周辺をバフ研磨で綺麗にします。
また、クリングスパーツを埋め込んで、メタルフレームのような鼻パッドを付けることも可能です。この場合、ヤスリで削った後に切削面をバフ研磨で綺麗にしてから、クリングスパーツを埋め込みます。
価格は6,000円~8,800円程度になります。日数はおおよそ11~13日間です。TRやウルテムといった樹脂枠ではお受け出来ません。
遠近両用プロショップからのお願い
一品一品、心を込めて修理させて頂いておりますが、修理はあくまでも修理であり、新品に戻るわけではございません。また、個別対応の為、どうしても時間が掛かってしまいます。時と場合によってはパーツをお取り寄せして交換したり、買い直して頂くことをお奨めする場合もございますので、予め、ご了承くださいませ。