レンズのはなし疲れ目対策

色が濃いサングラスの体験談<前編>

最近はライトカラーとかソフトカラーと言われる薄い色のサングラスが流行っていますが、サングラスと言えばやっぱり濃い色のサングラスでは!という事で、あえて色が濃くて偏光機能も備わった度付のサングラスを作ってみた体験談をご紹介します。

色が濃いサングラスをもう一度、使ってみたくなって

普段、筆者が使っているのは「可視光調光偏光レンズ」という紫外線と可視光線の両方でレンズの色の濃度が変化し、紫外線による調光時には偏光機能も発揮する遠近両用メガネ&サングラスです。

これ、凄く便利なので気に入っています。

普段、室内にいる時はメガネとして使え、外に出ると紫外線と可視光線に反応してレンズの色が濃くなってサングラスとして使えるので、わざわざメガネからサングラスに掛け替える必要がなく、しかも、予備のメガネやサングラス、もしくはケースを持ち歩かなくて済むという優れものだからです。

とは言え、決して万能とは言えないので、その理由を色変化と共にご紹介します。

※この記事はあくまでも個人の体験からの見解となります。メガネ・サングラス選びの参考材料のひとつとなれば幸いです。

先ずは、普段のメガネの状態の色味です。

下記の左上の写真は、19:30頃にかなり明るい駅の構内で撮影したものです。

可視光線による調光は多少あるものの、紫外線による調光はなくなりますので、見た目はほぼ無色になっています。これなら室内や夜間はメガネとして使用することに、私はまったく問題なく使用出来ました。

次は、調光レンズの問題点の一つでもある「寒いと想像以上に色が濃くなるのに、暑いとあまり色が濃くならない事」について実験してみた左下と右下の画像です。

左下の外気温4度の時の濃さと、右下の外気温38度の濃さを比べて頂くと、気温が低い方が色は若干濃くなっていますが、実際に使ってみた感じでは、暑いと濃くならないというより「寒い時期は真っ黒になるなぁ」といった感想でしたので、これについてはそれほど問題にならない範囲かと私は思います。

可視光調光偏光 メガネ&サングラス 色の濃さが変化するサングラス 度付サングラス 遠近両用サングラス 体験談

濃淡の話より、絶対に知っておいた方が良いなと感じたことが、通常の調光レンズでは「車の中では色が濃くならない」ことです。

フロントガラスには紫外線カットが施されているので、紫外線による色の変化がほとんど起こらないのです。これにより一般的な調光レンズは車内で最大でも30~40%の濃さにしか変化しません。

しかし、私が使っている「可視光調光偏光レンズ」は紫外線だけでなく可視光でも変化しますので、車内での最大値が40~50%となっており、右上の写真の様に、車内でも流行りのソフトカラーのサングラス程度には濃くなるのです。

まあ、年齢的に反応速度が落ちてきているので、運転で使うサングラスの色が濃すぎるのはどうかと思い、自分を納得させていたのですが、やはり真夏の強い日差しではもう少し濃くなって欲しいというのも、私の正直な感想でした。

これが「色が濃いサングラス」をもう一度、使ってみたくなった理由です。

その後、いろいろ考えたのですが、やはり『自分から老け込むのは良くない』という思いもあり、若い頃に使っていたRayBan(レイバン)のサングラスを思い出して、色が濃いサングラスに挑戦することにしました。

近視で遠くが見えず、老眼で近くも見づらいことから、ベースとなるレンズは、やはり遠近両用レンズを使いますが、あくまでも運転を主とした使い方が出来るように、次のような選択と設定を私は、行なってみました。

度付サングラス用レンズの選択(主に運転用)

先ずはサングラスとしての機能ですが、色を付けただけのものでは反射光まではあまり防げないそうなので、きちんと反射光を防いでくれる偏光レンズをベースとし、人が眩しさを感じやすい黄色い光を集中的にカットしつつ色彩感度も上げるNeo Contrast(ネオコントラスト)と、目への経年ダメージを抑制するCOMPLETE UV(コンプリートユーブイ)という3つの機能が付いているというKodakの最高峰レンズ『Polar Max Pro(ポラマックスプロ)』を選択しました。

※製品情報等の詳細はこちらから、メーカーサイトも参照いただけます。→

PolarMax PRO ポラマックスプロ 色が濃いサングラス
画像提供:エスエイビジョン㈱

色味は、使い勝手が良いといわれる濃度70%台のカラーはあえて選択せず、色が濃いNeo Blackというカラーを選択しました。レンズ濃度は83%、可視光線透過率は17%、偏光度99%というスペックになります。

もう一つの候補としてレンズ濃度84%のNeo Mocha Brownも候補に上がっていました。

Neo Mocha Brownは視界が暗くなりすぎないので、サングラスを使い慣れていない方や、山間部など光の強さが変化しやすい場所では使いやすいレンズだろうなと感じました。また、コントラスト機能はNeo Black より高いので、物をハッキリ見たい方には向いているレンズのようです。

ポラマックスプロの色の種類
画像提供:エスエイビジョン㈱

しかし、個人的に景色などの色変化があまり得意ではないことと、過去に2回ほどブラウン系のサングラスを作りましたがあまり馴染めなかったこともあり、体験用のレンズで見た時に「思ったより明るい」と感じてしまったことにより、私は選択しませんでした。

最後にコーティングは見栄え重視の白色マルチコートレンズを選択しました。

通常のメガネに施されている反射防止コートは反射光が緑色になるのですが、白色マルチコートレンズにすると普通のサングラスのような白い反射光になるので、メガネ感が弱まりカッコ良く見えるようになると私は感じております。まあ、自己満足の範囲内なんですけど、私のコダワリですね。

度付サングラス用のレンズに施した工夫

私は、遠くの見え方を重視したいので、普段使っている遠近両用より一段階、度数を強くしました。私は普段のメガネは、作成時に少し度数を下げているからです。サングラスは色が付いているので、見え方が落ちないようにするための度数アップです。

また、若干ですがレンズの位置も低めに設定してみました。遠近両用を使っている方ならご存知かもしれないのですが、遠近両用レンズは真っすぐ見た部分に数%ですが近くを見る為の度数が入り込んでいますので、遠くがボケてしまうのを避けるためです。

これは、私的には結構重要な事で、私は運転が疲れてくるとシートにもたれ掛けてふんぞり返るような姿勢になる事があります。この状態はアゴを上げた姿勢と同じようになってしまうので、疲れて判断力が鈍くなり始めている時でも、きちんと遠くが見えているようにしたいという思いがありました。因みに、この状態での近くの見え方はあまりよくありませんので、あまり参考にしないでください。

運転時の姿勢と視線

また、側方視のボケを和らげて少しでも広く視野を確保したいので、累進帯長(度数が変化する場所の長さ)を少し長めにしてみました。

これも本当に若干しか変わらないのですが、高速運転時、サイドミラーを見る時に首の振り方が小さければ小さいほど、安全だと私は感じます。近視用の両面非球面レンズのように目線移動だけで見られる方が良いのは分かっています。

しかし、遠近両用を使っているからには鼻側の下部と耳側の下部のユガミは絶対に付きまとうものですから、累進帯を短くして近くがハッキリ見えるようにしてユガミがきつくなる事より、近くの見え方は少し諦めてでも遠くが見やすいことを取りたかったというのが私の考えです。

度付サングラス用のフレームに施した工夫

枠は日本製のセルロイドフレームを使い、鼻盛りを切断してクリングスアーム(箱足)を取り付け、鼻パッド仕様に変更しました。 これはフレームの下部が自分の頬に当たることで不快な思いをしたくないという理由もありましたが、レンズが汚れる原因を排除したいという意味合いの方が強いです。

鼻盛りを鼻パッドに交換 鼻パッド交換

また、個人的には、遠近両用レンズは、ある程度、顔から離したいというのもありました。

そうした方が、私が普段使っている遠近両用のメタル枠と同じような見え方にすることが出来るからです。

サングラスの場合、顔に近づけた方が光をカット出来るので良いという考え方が一般的ですが、遠近両用の場合は顔に近づけすぎると、近くを見る時に目線を下げる角度がキツクなってしまう場合もあるので、近くの見え方は少し諦めたとはいえ、見やすい方法の考え方も残してみました。

また、写真は無いのですが、テンプルとフロントを繋げている丁番金具の埋め込み位置を少し外側に移動して、広い顔幅に合うように調整しています。

クリングスアームの取り付けと同様に、お店では有料とはなりますが、気に入っているフレームを自分仕様に変えたいというこだわりがあるならば、数千円掛かりますがやる価値はあると思います。

※ 最後に、繰り返しとなりますが、この記事はあくまでも個人の体験からの見解となります。メガネ・サングラス選びの参考材料のひとつとなれば幸いです。

⇒ 次回、中編の体験記は後日、公開させて頂きます。