レンズのはなし疲れ目対策

「調光レンズ」と「偏光レンズ」の違い

一口にサングラスと言っても、お洒落目的か、眼の保護を考えたいのか、疲れ目対策なのか、利便性なのか、人それぞれ目的はいろいろあるはずですね。今回は機能サングラスの代表ともいえる「調光レンズ」と「偏光レンズ」の違いに関してご紹介します。

「調光レンズ」と「偏光レンズ」の違いは

単純に言うと機能や目的の違いです。

紫外線を浴びる量に対して色の濃度が変わるのが調光レンズで、眩しさを感じやすい反射光をカットするのが偏光レンズです。

たまに調光レンズのことを色の濃度が変わるので“変光レンズ”と勘違いしている方がいらっしゃいますが文字が違います。文章を書いていても誤変換しますので、これが原因なのかもしれませんが…。

室内灯で明るさを変えられる機能を調光機能と言いますし、映画館で渡される3D用のサングラスは偏光レンズ入りです。これらと関連付けて覚えると簡単かもしれません。

では順に機能や目的、メリット・デメリット、最新情報等をご紹介していきましょう。

調光レンズと偏光レンズの違い

「調光レンズ」とは

基本的には紫外線を浴びる量に対して、色の濃度が変わるレンズのことを調光レンズと言い、室内では無色に近い透明な色になり、紫外線が多い屋外では色が濃くなります。

眩しさ対策や紫外線対策に最適なレンズで、眼の保護や疲れ目対策にもなります。

色味の選択も可能で、フレームの色や洋服の色に合わせてコーディネイトを楽しめます。

しかも、メガネとサングラスを掛け替えることなく、一本のメガネで一日中過ごすことが可能なことなど利便性が高さから、近年、世界規模で人気が高まっています。

大手メーカーも進化した新しいレンズを発売して、その人気の後押しをしていることは確かですが、健康志向の高まりもその要因と言えます。

調光レンズの色の種類

「偏光レンズ」とは

路面やビル、車体やフロント(リア)ガラス、水面、雪面、芝生等で反射したギラギラとした眩しい反射光をカットしてくれるのが偏光レンズです。

眩しさ対策には最高のレンズで、ストレス対策や疲れ目対策にもなります。

視認性やパフォーマンスを向上させるために、目的やシーンに合わせて色味や濃度、偏光する量を選択することが可能なくらい色も種類も豊富です。

キングオブサングラスとも言われることもあり、一度使ったら色がついているだけのサングラスには戻れなくなるくらいの効果を感じることが出来るレンズです。

偏光レンズのシーン別の見え方
左:サングラス無し 中:色を付けただけのサングラス 右:偏光レンズ

「調光レンズ」のメリット・デメリット・色を着けただけの一般的なサングラスとの違い

●メリット

・メガネとサングラスを掛け替える必要が無く、一本で一日中過ごすことが出来る

・曇りの日は薄く、晴天の日は濃く変化するので、TPOに合わせたサングラスとして使える

・眩しさ対策が自動で出来る

・紫外線対策が出来る

・荷物を減らせる

・メガネを作る時に色の濃さの選択で悩むことが無くなる

・周りの人を驚かせることが出来る(知らない人は色が変わると驚きます)

●デメリット

・濃くなるのは早いが、薄くなるのは遅い

・トンネルや地下駐車場に入る時は光量不足で危険になるので使用禁止

・気温が高いと濃くならないので、真夏のサングラスとしては物足らない人もいる

・気温が低いと思ったより濃くなるので、梅雨時や冬場に驚くことがある

・車の中や日傘、帽子などで紫外線を遮ると色があまり濃くならない

・キズが付くと調光機能が弱くなる

・調光機能は変化回数と共に徐々に鈍くなり、寿命が来るとほとんど変化しなくなる

・偏光レンズのように反射光を遮ることは出来ない

調光レンズの装用イメージ

●色を着けただけの一般的なサングラスとの違い(生活の中での違い)

・近視や遠近両用で一日中メガネが必要な方で、眩しさに敏感な方が「外出する時」

⇒ メガネからサングラスに掛け替える必要があるのが一般的なサングラス

⇒ 掛け替えずに外出できるのが調光レンズ

・上記の方が「室内に入る時」

⇒ サングラスからメガネに掛け替える必要があるのが一般的なサングラス

⇒ 掛け替えずに室内に入れるのが調光レンズ

・色が濃い一般的なサングラスは、曇りの日には暗くなりすぎて使えない。

 色が薄い一般的なサングラスは、晴天の日には物足りない。

 よって、人によっては2本必要となるが、調光レンズなら一本で賄える。

・一般的なサングラスとメガネを掛け替えには保管用のケースが必要で荷物が増える。

 調光レンズは掛け替えが無いので荷物が増えない。

「偏光レンズ」のメリット・デメリット・色を着けただけの一般的なサングラスとの違い

●メリット

・反射光を遮ることで見えなかったもの(見づらかったもの)が見えるようになる

・眩しさ対策が出来る

・目の疲れ対策が出来る

・反射光をカットすることでストレスが減り、事故防止などの安全対策にも役立つ

●デメリット

・角度によってカーナビ、スマホ、パソコン等の液晶パネルの画面が見えなくなる

・水分、熱、衝撃に弱い

・トンネルや地下駐車場に入る時は光量不足で危険になるので使用禁止

・天候や時間帯、使用目的によって、色や濃度の違うレンズに掛け替える必要がある

・目が悪い人は、メガネと偏光レンズの掛け替えが必要

・掛け替える際は荷物が増える

・調光レンズのように色の濃度は変化しない

偏光レンズの装用イメージ

●色を着けただけの一般的なサングラスとの違い(生活の中での違い)

・眩しい時に

⇒ 濃い色で光を遮り、眩しさを抑えるのが一般的なサングラス

⇒ 濃い色で光を遮り、さらに反射光まで抑えるのが偏光レンズ

・運転時、一般的なサングラスは視界全体を暗くして眩しさを抑えるが、偏光レンズは視界全体を暗くするだけでなく、フロントガラスへの映り込み、路面の反射光、対向車の反射光も抑えられるので運転に集中が出来、事故防止に役立てられる。

・一般的なサングラスは水面のギラつきを抑えることは出来ないが、偏光レンズは水面のギラつきを抑えられるので浮きや目印も見やすく、透明度が高ければ水中まで見えるようになる。

・一般的なサングラスは視界全体を暗くするだけだが、偏光レンズは雪面や芝生の反射光も抑えられるので、コントラストがアップし、ストレスが減り競技を純粋に楽しめるようになる。

結局のところ、どちらを選べば良いですか?

個人的なアドバイスとなりますが、近視や遠近両用で一日中メガネを掛けている方に関しては、メガネとサングラスを掛け替えることが面倒か、平気か、もしくは荷物が増えるのが嫌か、平気かで選択が分かれると思います。

面倒な方は調光レンズがお奨めですが、平気な方には偏光レンズの方がサングラスとしての機能は上かと思います。

ただ、掛け替えを意識することなく、一本のメガネで一日中過ごせるメリットは非常に大きいので、目の健康が気になるミドル~シニア層が調光レンズをご購入される件数が増えているのは確かです。

費用面もあるかもしれません。

フレームとレンズの選択によってお値段が変わりますので具体的な金額はお店によって異なりますが、単純に1本か2本かでコストは2倍になります。

サングラス お出掛け

逆に普段、メガネを掛けていないという方が眩しさ対策をしたいという事であれば、単純に偏光レンズが入っているサングラスをお求め頂くのもお奨めです。

曇りの日と快晴の日など、明るさに合わせたサングラスが欲しいなら、調光レンズもお奨めです。

最終的にはご自身のお困りごとによって選択して頂くことになりますが、遠近両用プロショップの店頭でレンズを体験して頂くことが出来ますので、販売員に相談しお試しいただいてからご購入されることをお奨めします。

「調光レンズ」「偏光レンズ」の最新情報

2022年の春にレンズメーカー大手のHOYAとNikonから、新世代の調光レンズ、可視光調光レンズ、可視光調光偏光レンズが新発売となりました。

大手レンズメーカーから発売されたメリットは、普段使っている大手メーカーの遠近両用と同じ設計で機能を付加することが出来るようになったことです。

実は過去にも可視光調光レンズや調光偏光レンズは販売されていましたが、機能レンズが得意なメーカーから販売されているレンズであった為に、累進世代にはご提案しづらかったのです。

今回、このベースとなるレンズの問題が解消されましたので、今後は益々、購入される方が増えていくと思われます。

調光レンズの種類

もう一つのポイントが可視光調光という点です。

一般的な調光レンズは不可視光線と呼ばれる紫外線のみに反応して色の濃さが変わるのですが、可視光調光レンズは紫外線だけでなく、可視光線にも反応して色の濃さが変わるレンズなのです。

文字は「可視光調光レンズ」なのですが、実際には「紫外線調光&可視光調光レンズ」になります。

単純に言うと「明るいところで色が濃くなるレンズ」となります。

下記に、大手レンズメーカーの商品をご紹介させて頂きますので、是非、参考にご検討ください。

HOYAの調光レンズ

●UV調光レンズ SENSITY-2(センシティー ツー)

これまでサンテックという名称で販売されていたUV調光レンズが、SENSITY-2(センシティー ツー)という名称になって新しく生まれ変わりました。

実はサンテックという名称は日本国内での名称であり、ワールドワイドの名称であるセンシティーに統一した為の名称変更でもあるのですが、今までのサンテックより退色スピードが2倍になるなど、機能面の進化も行われています。

色の種類:グレー、ブラウン、グリーン

●可視光調光レンズ SENSITY DARK(センシティー ダーク)

元々販売していたUV調光レンズに対して、今回新しく販売を開始するのが可視光調光レンズのSENSITY DARK(センシティー ダーク)。

今までは紫外線のみに反応していたのが、可視光線でも反応するようになったことで「いつでも」「どこでも」「どんな光でも」カラー濃度が自然に変化して、光から目を守ってくれるようになりました。

最大のメリットは「メガネとサングラスの使い分けが必要ない」ことですが、UVカットガラスで覆われた車内でも明るささえあれば色が濃くなるので、一般的なUV調光レンズよりも色が濃くなり、サングラスとしても使いやすくなりました。

もちろん紫外線はほぼ100%カットしてくれます。

色の種類:ダークグレー、ダークブラウン、ダークグリーン

Nikonの調光レンズ

●可視光調光レンズ XTRACTIVE(エクストラアクティブ)

Nikonはここ数年、眩しさが気になるシニア層に対して、オプションとしてカラー染色の代わりに調光レンズをご提案することを推奨しており、店頭で体験して頂いた結果、出荷量が5年間で約4.7倍に増えているそうです。再購入率も高く89%の方が買い替え時も調光レンズをご購入いただいているという結果も出ているそうで、人気商品となっています。

この結果から、今回、通常のUV調光レンズより色が濃く変化し、光やまぶしさに敏感な方にお奨めの新世代の可視光調光レンズが発売となった訳です。

新しい可視光調光レンズは、今までのUV調光レンズと比較して、約10%色の濃さがアップし、真夏や高温時でも約70%から80%の濃さにアップし、車内でも30~40%の濃さが限界だったのが40~50%となり、退色スピードも35%程改善されました。ブルーライトもカットされ安心です。 

色の種類:グレー、ブラウン

●可視光調光偏光レンズ XTRACTIVE POLARIZED(エクストラアクティブ ポラライズド)

可視光調光偏光レンズは、可視光調光の機能にプラスして偏光機能までもが付いたレンズです。

実はこれまでにも機能レンズが得意なメーカーから可視光調光偏光レンズが発売されていましたが、今回の可視光調光偏光は一味違い、新しい技術が沢山盛り込まれています。

その一つが二色染色料(ダイクロイック染料)と呼ばれるもので、紫外線に反応し色が付く時に、全面的な色づきではなく偏光機能を発揮する配列に色が変化するという技術です。

これにより紫外線を浴びた時だけ偏光機能が出現し、紫外線が無い環境では偏光機能は無くなり、明るさに反応した可視光調光の色変化のみとなるのです。

また、気になる偏光度ですが、最大着色時に驚異の90%という数値を誇っており、とても満足のいく数値になっています。

色の種類:グレー

是非、実際の商品を店頭にてお確かめいただき、納得のいくサングラスをお求めください。


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