鼻盛りとは?
プラスチック枠(セル枠)の鼻に当たる部分が盛り上がっているのを見たことはありますよね?これが「鼻盛り(はなもり)」と呼ばれるプラスチック枠(セル枠)の鼻パッドです。
鼻盛りはプラスチック枠(セル枠)と同質の素材で作られていることがほとんどですが、一部のスポーツフレーム等ではシリコンやゴム系の素材で作られていることもあります。
また、大きく分けるとワールドフィットとアジアンフィットの2種類があり、ワールドフィットの方が圧倒的に低いです。何なら「これだけ?」というものまで存在します。
理由は簡単です。骨格や鼻の高さの違いです。
でも、低いことがメリットになっていることもあるんです。それがブランド物の輸入サングラスで、女性がカチューシャのように使っているのを見たことがありますよね?
実は鼻盛りが低いから、カチューシャのように使っても髪の毛が引っ掛かりにくいのです。
とは言え、一般的には鼻盛りの低さから、メガネがズレ落ちてしまうという症状にお悩みの方が多いので、どう対処するかをお伝えしていきましょう。
●セルシールを貼る
一番簡単でご自分でもできる対処方法が、セルシールを貼る方法です。
鼻盛りの部分を挟み込むようにシリコン素材のシールを貼るだけで、高さを出し、肌への吸着性も良くなります。高さもS(1.3mm)、M(1.8mm)、L(2.5mm)、LL(3.0mm)の4種類から選択可能です。価格も660円(税込)とお手頃です。
ただし、シールを貼っただけですので耐久性は高くありません。剥がれたら貼るを繰り返して頂くことになります。
●鼻盛り加工① … セルフレームの鼻盛り
今ついている鼻盛りの上に貼り付ける方法と、今ついている鼻盛りをヤスリ等で削って平らにし、新しい鼻盛りに付け替える方法の2種類です。
メリットはいろいろな高さや形を選べ、しかも、接着剤で貼り付けますので簡単には剥がれないことです。
デメリットは加工に時間が掛かるため、フレームをお預かりする必要がある事と費用が掛かる事です。
費用的には10,000円以内で出来ますが、低価格のセット等をお買い上げの場合、元々の購入費用を超えてしまう事も考えられますので注意が必要です。
尚、低価格のセット品に多い樹脂系のフレームの場合は加工できないことが多いです。
●鼻盛り加工② … 金属のパッド足を取り付ける方法
メタル枠の所でご紹介した金属のクリングスを取り付ける方法もあります。
一つ目は「アイアーム」というパーツで、今ついている鼻盛りをヤスリ等で削って平らにし、金属のクリングスをフレームに埋め込みます。
二つ目は「ピターム」というパーツで、同じように削って平らにし、金属のクリングスの先端についたプラスチックをフレームに貼り付けます。
メリットは共にサイズがあり、しかもβチタンを使っているので、クッション性に優れているところです。また、簡単に剥がれることもありません。
デメリットは鼻盛り加工①と同じようにお預かりする必要がある事と費用が掛かる事です。
●鼻盛り加工③
鼻盛り加工①、②と同じような加工を福井にある修理センターに送って“綺麗”に加工してもらう事も可能です。
修理センターに送る場合、多少ですが色も選べます。
鼻盛りはフレームと同じ色合いにすることも可能ですし、クリングスはピンクやシルバー等の色選択も可能です。
遠近両用と鼻盛りについて
一般的に“遠近両用メガネを作る際”は、鼻盛りタイプのフレームをお奨めしていません。
理由はクリングスタイプの鼻パッドに比べ、鼻盛りは「メガネを正しい位置に固定する」機能が低いからです。また、鼻盛りは細かい調整が出来ませんし、目とレンズの距離が近くなることが多いのもデメリットとなります。
これらの理由によりお奨めしないことが多いのですが、カジュアルなフレームが欲しいという場合、プラスチック枠でも最初からクリングスタイプの鼻パッドが埋め込まれているフレームもありますので、そちらを選択することをお奨めします。
鼻パッド … トラブル
余談ですが、鼻パッドの所になかなか落ちない緑色の汚れが付いたことはありませんか?
これは緑青(ろくしょう)と呼ばれるもので、銅が酸化することで生成される錆(さび)です。鼻箱の内側や鼻パッドの芯は、汗や皮脂汚れにより錆が発生しやすい部分です。
ただし、緑青(ろくしょう)は銅合金の着色に使用されたり、銅板の表面に皮膜を作って内部の腐食を防ぐ効果や、抗菌効果があると言われています。
鎌倉の大仏様や名古屋城の屋根、各種銅像が緑色なのはこのためです。
因みに、緑青は昔、猛毒とされていましたが、その後の研究によって他の金属と大差ないことが証明されておりますのでそれほど心配する必要はありません。とは言え、色が目立ちますので、早めに眼鏡店に行って変えてもらった方がスッキリします。
鼻パッドが無いメガネ!
これも余談になってしまうかもしれませんが、鼻パッドが無いメガネというものがいくつか発売されています。
最初に発売したのが「NEOJIN(ネオジン)」というブランド。「鼻パッドの跡が残る」「鼻が低くてメガネが下がる」というユーザーの不満を解決するために開発されました。
構造的には鼻パッドのようなものが頬の所についていて頬骨で支える状態になります。
鼻パッドが無いためパッドの跡が残ることもなく、鼻骨への負荷が少ないのがメリットになります。
デメリットは掛けてみると分かるのですが「不思議」なところです。慣れてしまえば大丈夫なのかもしれませんが、筆者は試し掛けしかしたことがなく、購入経験がありません。
でも、思ったよりホールド感があり、メガネがズレ落ちるという感覚はありませんでした。
続いて発売されたのがエアフライ(Airfly)というサングラス。前記のネオジンが別ブランドとして立ち上げました。
汗をかいてもメガネがズレにくいというメリットも加わりました。
その次に発売されたのが、日本の最大手の眼鏡フレームメーカーから発売されたメガネフレーム「ちょこしー(ChocoSee)」とサングラスの「ちょこさん(ChocoSun)」。
他には大手卸問屋が発売した「ウクル(Ukuru)」や大手眼鏡チェーン店が発売したものもいくつかあります。
構造を含めメリットやデメリットはどこの物も大差はありません。ただ、発売から随分時間が経っていますが、現在でも主流にはなっていませんので、今後、爆発的に伸びることもないと思われます。
ご興味のある方は導入店舗を探して試し掛けされてみるのも良いでしょう。
鼻パッドに関するご相談は、お近くの遠近両用プロショップまで!
これまでいろいろとご説明してきましたが、鼻パッドに関しては種類も豊富ですし、個人個人の顔の形、ご希望、フレームの種類、レンズの種類によってどんなものを付けるべきかが変わってしまいます。
よって、現在、ご不満に思っていることやお困りごとを直接、眼鏡専門店にご相談いただくのが正解と思われます。
また、これから新しいメガネを買いたいという場合も、これまで使っていたメガネでご不満に思っていることやお困りごとを伝えて、メガネ選びを手伝ってもらうことをお奨めします。
遠近両用プロショップでは、お客様の用途に合わせた快適なレンズをご提案させていただいております。特に遠近両用レンズを初めてご使用になる方。もしくは、一度試したが慣れなかった方など、是非、遠近両用プロショップへお気軽にご相談ください。