クラシック!? 実は昭和の始めぐらいまでは一山がほとんどでした。
鼻パットがついていない、鼻筋にブリッジを乗っけるようにして掛ける眼鏡を一山(いちやま)メガネと言いますが、戦前の金属枠にはそのほとんどに一山のブリッジがついていました。今は鼻パットがついているメガネが普通ですが、鼻パット付が普通になったのは戦後になってからです。白黒やセピアの写真に写っている偉い人に多いです。これが理由で「一山=クラシック」というイメージなんですよね。
一山は最近流行り始めたものではなく、20~30年前にもいわゆるメガネ好きの人が使っていました。当時からジョン・レノンのメガネが販売されていましたが、ビートルズファンが多かったように思います。最近は知ってか知らずか分かりませんが、若い女の子が掛けていることも目にするようになりました。既にファッションの一部になっているのかもしれませんね。では次に、一山のメリットとデメリットをご説明していきます。
一山(いちやま)フレームのメリットは?
1.鼻パッドの変形が無い
厳密に言うと、鼻パッドを止めているクリングス(金属の棒)の変形の事を指しますが、使用しているうちに、徐々に押される、ぶつける、引っかかる等のことから変形してしまうことがあります。しかし、鼻パッドが付いていないので、変形することなく常に同じ位置でレンズと眼の距離を一定に保ったままメガネを使えるというメリットがあります。
2.鼻パッドの跡がつかない
重いメガネを掛けると、鼻パッドの跡がついてしまうことがあります。最近はプラスチックレンズが主流になっていますので、えぐれているような跡がついている人はほとんど見かけなくなりましたが、女性に関して言うとファンデーションが剥がれてしまうことを嫌う場合もあります。
一山は鼻パッドが付いていませんので、単純にこのような問題は無くなります。
3.鼻パッドの違和感が無くなる
初めてメガネを掛ける方にとって、鼻パッドが鼻に当たること自体が違和感になってしまいます。また、摩擦係数が高いシリコンパッドを使うと鼻をつままれているような違和感を覚える方もいらっしゃいます。
一山は鼻パッドが付いていませんので、こういった違和感はありません。
4.スッキリとした見た目
お顔の中心部となる鼻の周りに鼻パッドやクリングスが無くなりますので、スッキリとした印象になります。
また、クラシックな作りからお洒落なイメージにもなり、愛好家を生み出しています。
5.レンズが拭きやすい
鼻パッドを止めているクリングスがありませんので、障害物が無く、引っかかることもなく、単純にレンズが拭きやすいです。
逆に、一山(いちやま)フレームのデメリットは?解決方法は?
1.細かい調整が難しい
メリットの部分でご紹介した「鼻パッドが付いていないので、鼻パッド(クリングス)の変形が無い」は、逆に個々に合わせた細かいフィッティングは難しいということになります。
実は、掛け心地の面でも問題になる場合がありますが、それよりも問題となるのが目とレンズの距離になります。目とレンズの距離を頂間距離と言いますが、この頂間距離が変化すると見え方が変わってしまいます。近すぎても遠すぎても良い視力は得られません。
<解決方法>
・頂間距離がちょうど良さそうなフレームを選んでください。
・初めからある程度、お顔とメガネのサイズが合っているものを選択してください。
・鼻の部分の抵抗が少なくなりますので、顔幅にもご注意ください。
・一山の裏側にあてるセルのパーツもありますが、このパーツを付けると頂間距離が変化して、見え方が変わることがあります。事前に販売員にご相談ください。
・遠近両用レンズをご使用の場合は、頂間距離だけでなく、前傾角と呼ばれるフロントの傾きの角度も重要になりますので、販売員にご相談頂いた上でのフレーム選択をお奨めします。
2.重量に注意
鼻パッドが無いのでパッドの跡は付きませんが、重いメガネを掛ければ鼻筋に一山ブリッジの跡がつきます。
また、鼻パッドの違和感は無くなりますが、鼻筋に違和感を覚える方もいらっしゃいます。
<解決方法>
・軽めのメガネを作ることをお奨めします。
例)チタン製のフレームを選ぶことをお奨めします。
例)玉形が小さめのフレームを選ぶことをお奨めします。
例)比重が軽いレンズを選ぶことをお奨めします。
3.ファッション優先の低価格フレームに注意
見た目重視でファッション優先の低価格フレームは、チタンより柔らかくて重い合金で作られている場合が多くなりますが、その柔らかさゆえに変形してしまったり、その重さゆえに鼻筋に一山ブリッジの跡がついてしまったりといったことが発生します。
また、これらは、ブリッジとリムの接合部分の強度が低く、ねじれや開きが発生してしまう事も多々あります。
さらに、若い方の間ではフロントの玉型が大きいものが流行っていますが、大きければ大きいほど重くなりますし、負荷も掛かりやすくなってしまいます。
<解決方法>
・ファッション優先の低価格フレームは出来れば避けてください。
・特に、近視の度数が強い方や遠近両用などを使われている方にとって、フレームの歪みは見え具合の低下に繋がりますので、出来るだけきちんと作られたフレームを選択してください。
4.日焼けに注意
実際に一山を使っている方からお聞きしたことですが、金属やプラスチックが鼻筋にずっと当たっていることで、当たっている部分が日焼けしないで白く残ってしまうそうです。地味なデメリットかもしれませんが、リアルに嫌な思いをしてしまいそうです。
最近は日焼けを避ける方が増えましたが、特に夏場は違う眼鏡を掛けられなくなってしまいますので注意してください。
<解決方法>
・夏場は日焼けにご注意ください。
・掛け替えるメガネや予備メガネも一山で統一する方法もあります。
ジョン・レノンの丸メガネで一山(いちやま)のフレームをご紹介します。
1.玉型小さめのフルメタル
丸メガネは一般的なボストンやウェリントンより小さめに作られていますが、その中でも特に小さい40~42mmの玉型のフルメタルです。
レンズが小さい分、軽く仕上げることが可能なのが最大のメリットです。
しかし、レンズが小さい為に顔幅が狭くなってしまうという問題が発生します。そこでヨロイやテンプルの構造で顔幅を作り出しカバーしています。
これだけ小さいメガネに遠近両用レンズを入れるには、流石に視野が狭くなりすぎる気もしますのでお奨めできませんが、近視の度数が強い方には、レンズ中心の薄い部分だけでメガネが作れますので近視用のメガネとしてはお奨めです。
筆者の個人的な趣味が殆どですが、上記の3本の中ではJL-1086(上の銀色)がお奨めです。その理由は、パーツとして原価が高い事から作製数が少なくなった割智(左上)、割智から顔幅を出す為の曲線的なテンプル(右上)、割智だからこその折りたたんだ時の薄さとスッキリしたフォルム(左下)、バチ先にあしらわれたジョン・レノンのサインとロゴ(右下)。どれを取っても玄人好みの作りです。
2.玉型中くらいのリムレス
ハーフリムレス&ツーポイントのリムレスは、お洒落度がグッとアップしますが、フルメタルに比べると若干強度が下がりますので、どちらかというと上級者向きです。とは言え、特にツーポイントは雰囲気バッチリですので、一度、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
全体的に反射するシルバーやゴールドのフレームはちょっと~という方にお奨めなのが、JL-1048、俗に言うツーポイントフレーム。ネジの部分だけキラっと反射するため、嫌みにならずに顔に光を当てられます。結果的にお洒落な感じや知的な感じがアップしていい感じにしてくれますよ。
3.玉型大きめ(一般的なフレームよりは小さめ)のフルメタル
1番でご紹介した特に小さい40~42mmのフルメタルは、軽さという点ではピカイチですが、遠近両用を入れるには小さすぎてしまいます。よって、遠近両用には45~46 mmのフルメタルの方をお奨めします。
玉型が少し大きめのションレノンは、若い方のファッション志向にも最適です。特に女性が掛けると凄く可愛らしくなってしまうのも面白いところです。
個人的には写真中央のJL-1043がお奨めです。
リムに巻き付けたセルとテンプルの長モダンを茶色いふの入ったセルで統一している部分や、フレームの外側は艶消しの金色にクラシカルな模様を入れて雰囲気を作り、裏側は艶在りの金色で肌に光を当てるという手の込んだ作りも魅力的です。
4.『ジョン・レノンの生誕80年の限定コレクション』にも一山があります。
レンズ自体は真円に近い丸レンズですが、リムの外側は丸みを帯びた8角形という独特なデザインが魅力的です。
一山以外の『ジョン・レノンの生誕80年の限定コレクション』は下記からご覧ください。
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