鼻パッドとは?
メガネは本来、視力を矯正する為の道具であり、鼻パッドはメガネを正しい位置に固定するための物です。また、それと同時にメガネを快適に使うための道具でもあります。
鼻パッドがきちんと鼻に当たらずに、正しい位置からズレたり、摩擦が足らなくてずるずるズレ落ちたりしていませんか?
また、メガネがズレることで本来得られるはずの視力が得られていない=損をしているということはありませんか?
今回はメガネを快適に使っていただくための豆知識をマニアックにご紹介していきます。
鼻パッドの種類は?
大きく分けて2種類。一つは金属の支えがついた一般的な「鼻パッド」です。
そしてもう一つがプラスチック枠についている「鼻盛り」です。鼻に当たる部分が盛り上がっていますよね。それが鼻盛りです。
どちらも「鼻パッド」と呼びますが、「鼻あて」や「ノーズパッド」と呼ぶ方もいらっしゃいます。
鼻パッド … クリングスアーム(金属の支え)
一般的な鼻パッドを支えている金属の事を「クリングスアーム」と言います。アームを除いて「クリングス」という事もありますし、日本語で「箱足」と呼ぶ方もいらっしゃいます。
一言でクリングスアームと言っても色々な形状や素材があり、調整しやすいのは「グースネック」と呼ばれている形です。
「グースネック」の特徴は、上下左右に曲がりを付けることで鼻パッドの位置を上にも下にも手前にも奥にも斜めにも、さらに開きの角度や寝かせ具合も自由に変えられることです。これにより、黒眼とレンズの中心の位置を合わせてキープする必要性が高い遠近両用や強度近視のメガネに向いているという事になります。
因みに下記右側の写真のような「U字」のアームは、正面から見た時(下記下段の左右比較)に目立たないので、ブランドフレームやデザインを重視するフレームに多いのですが、高さに関してはあまり細かい調整が難しいので、メガネを試し掛けした時に、ある程度良い位置に掛かることを確認してから購入したほうが安全です。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、英語だと「腕」なのに日本語だと「足」になり、さらに調整しやすいのは「首」、デザイン重視は「字」と、もう滅茶苦茶ですよね。昔からそう呼ばれているので気にしないでください。
鼻パッド … 取り付け方式
鼻パッドの取り付け方式は大きく分けて2種類+αあります。
一つ目は一般的な「ネジ止め式」で、アームの先端についている「鼻箱」に鼻パッドの突起を差し込みネジで止めるものです。
因みに前記した「箱足」は「鼻箱」に由来するものです。
鼻箱の外側には大きめ穴で、内側を小さくしてネジが締まるような穴の切り方をしており、途中までネジ山が無いネジを使って止めています。
二つ目は少数派の「ワンタッチ式」です。アームの先端が2つに分かれていて、その中に鼻パッドの突起を差し込み止めるものです。
ネジを使わない分、パーツの数は減りますし、取り外しの手間も減ります。見た目もスッキリしますので良いのですが、パッドの種類が少ない為に少数派になっています。
眼鏡店で在庫しているワンタッチ式のパッドも種類が少ないので、同じ形や大きさのものが手に入らないという問題点もあります。
上記にお伝えした方式以外では、巻き付けるようにして止める「巻式」、抱きかかえるようにして止める「2本ダキ足式」等もあります。
因みに「2本ダキ足式」は皆さんもご存じのレイバン(Ray-Ban)のメタル系フレームに大昔から使われています。 パッド交換が少ない乾燥したアメリカで育まれたブランドたる所以でしょう。
鼻パッド … 効果
全ては紹介しきれないので代表的なものでご紹介していきます。
● ハード or ソフト
ハードは読んで字のごとく硬いものになり、硬化プラスチックを使ったものが多いです。透明感が高く、長持ちするのが最大のメリットです。
デメリットはソフト系より吸着性が落ちることですが、フィッティングをキチンと合わせれば、ずるずるメガネがズレ落ちるということは避けられます。
ソフトは見た目がハードと同じですが、肌あたりが優しい柔らかいものと、肌への吸着性に優れたシリコンに分かれます。
特にシリコンパッドはズレにくいというメリットから、スポーツ用のサングラスやメガネに使われることも多いのですが、デメリットとして耐久性が低いことが挙げられます。
● 形状、サイズ
代表的なものは昔から使われている逆三角形のような形のもの。設置面積が広いことから、特に大きめの紳士淑女フレームに使われることが多いです。
最近増えているのは上下が細い俵型や、上が細いしずく型。カジュアルなフレームは小さめのものが多く、昔からある形ですとバランスが悪く、鼻パッドが目立ってしまう為、これらのものが使われることが多くなりました。
変わっているところでは丸型やツインパッド。特にツインパッドは鼻筋が未成熟のお子様用で、シリコン素材の左右のパッドが繋がっています。
それぞれ大中小とサイズがありますので、もの凄い数になります。
● 色
パッドの色は基本的に透明ですが、トウモロコシを原料とするコーンパッドは少し白く濁っていたり、女性用のハイロンパッドは肌なじみの良いクリアベージュだったり、男性用に彫りが深いハンサムな印象を演出するクリアブルーの鼻パッドもあります。
また、肌に当たる部分が金属で出来ているチタンパッドは、クラシックな雰囲気にピッタリですし、セラミック製のパッドもアレルギー対策にもなります。
因みにネジを通す金属の芯金は、通常、金色か銀色の2種類で、クリアなプラスチック系のものもあります。
● 効果
・シリコンパッド
肌への吸着性に優れたシリコンパッドは、ズレにくいという事が最大のメリットです。
デメリットは耐久性の低さで、眼鏡店で交換する回数が増えがちです。
・チタン、セラミック、コーンパッド
金属アレルギーの方にお奨めなのがチタンパッド、セラミックパッド、コーンパッドです。ただし、完全に金属アレルギーを起こさないと保証するものではありませんので、悪しからずご了承ください。
・ハイロンパッド
通常のハードパッドは新品でもミクロレベルのキズがありますが、ハイロンパッドは表面をミクロレベルでツルツルに仕上げた結果、お化粧移りが少ない、パッドの跡も付きにくいという女性に嬉しい効果を生み出しました。さらに、肌馴染みの良いクリアベージュ色にしたことで見栄えも良くなっています。
男性用には、鼻パッド周辺を影のように見せ、彫りが深いハンサムな印象を演出するクリアブルーもあります。
・クッションパッド、クッションエアーパッド
ネジ止め部の軸とパッドの間に空間が開いていることでクッション性を生み出すクッションパッドや、パッド内部にエアーが入ることでクッション性を生み出すエアーパッドがあります。共に肌あたりが良くなりますが、耐久性の低さがデメリットです。
・形状記憶パッド
体温に反応して顔の形にフィットするようにカーブが変化する形状記憶パッド。メリットはズレ落ち防止、デメリットは特にありませんが、あえて言うなら、形状記憶パッドを付けていることを忘れてしまう事や効果が目に見えにくい事です。
・遠近Vパッド(アップダウンパッド)
遠近両用をお使いの方で、近くを見るとき、メガネを少し持ち上げてみると見やすいという方にお奨めです。遠近Vパッド(アップダウンパッド)を使えば上にあげた状態で固定できるのがメリットですが、やはりこれも耐久性が低いことがデメリットです。
・アンチビエンパッド
花粉症などのアレルギー性鼻炎の改善予防にと作られたアンチビエンパッド。
ネオジム磁石にメッキ加工を施し、パッド樹脂で磁石を包み込んで成型したハードパッドです。
着用する方によって効果・効用には差異がありますが、メガネを掛ける事で、鼻腔内粘膜や鼻腔周辺に磁石が持つ各種特性の作用により、鼻腔内粘膜の炎症・鼻腔周辺の有害微粒子の鼻腔内侵入を改善・予防する磁石・磁気の特性を発揮します。
因みに、花粉症を感じている30代・40代・50代の男性3人が同時期に着用実験を行った結果、1人は「もの凄く効果を感じる。目頭の血行が良くなって鼻が通った。このままずっと着けていたい。」という感想。1人は「確かに目頭がムズムズするので血行が良くなったのかも。でも花粉症に効いたかと言われるとハッキリは分からない」という感想。そして最後の1人は「何も効果を感じない。普段と一緒。」でした。
磁力・磁気系のものは凄く効く人とそれなりの人、全く効果を感じない人と分かれるようです。
価格は3,000円+消費税というそれなりの価格ですが、お困りの方はお試しいただくのも良いと思います。
・力学パッド
皮膚にかかる荷重や目頭付近の負担を少なくするために作られたパッドで、軸より上が小さく、下が大きくなっています。
強度近視の方やガラスレンズ、重いフレームを使っている方にお奨めですが、デメリットとして角度次第ではパッドが目立ってしまう事があります。
遠近両用プロショップでは、お客様の用途に合わせた快適なレンズをご提案させていただいております。特に遠近両用レンズを初めてご使用になる方。もしくは、一度試したが慣れなかった方など、是非、遠近両用プロショップへお気軽にご相談ください。