遠近両用を買い替える時のポイント
「ズバリ!今、使っている遠近両用より、ハイグレードなレンズを選択することです!」
いきなり最上級のレンズが良いという話ではなく、今、使っている遠近両用レンズより、最低でも1ランク上、出来れば2~3ランク上の方が良いという話です。
あくまでも一般論ですが、その理由についてご説明していきましょう。
遠近両用を“同じランク”で作ると起こること
今、掛けている遠近両用メガネと“同じランク”のレンズで、近くを見る度数だけ強くすると、個人差はありますが次のようなことが起こります。
①“同じランク”で作ると、視野が狭くなる。
近くを見る度数を強くしたので近くにピントが合うようになりますが、今まで掛けていた遠近両用メガネと比べると、遠くも近くもクリア見える視野が狭くなってしまいます。
特に近くの視野は狭く感じやすく、これにより使いづらさを感じる方が多くなります。
②“同じランク”で作ると、ユレ・ユガミが強くなる。
遠くも近くもクリア見える視野が狭くなるということは、今まで掛けていた遠近両用メガネと比べて、周辺部の見づらい部分の面積が増え、ユレ・ユガミも強くなってしまいます。
これは1~2週間程度で慣れてしまう方もいらっしゃいますが、見づらさを訴える方もいらっしゃいます。
③“同じランク”で作ると、度数変化が激しくなる。
今まで掛けていた遠近両用メガネより、遠くを見る度数と近くを見る度数の差が大きくなりますので、急激に度数が変わるようになります。
これにより中間距離が見づらくなる事や、目線や顔の角度などの再調整が必要となる場合があります。
※備考
同じランクで作った場合、一般的に①~③の中で一番多く言われるのは、①番の「視野が狭くなる」です。
せっかくメガネを新しくして近くが見えるようになったのに、遠くも近くもハッキリ見える視野が狭くなって使いづらくなってしまったら本も子もありませんよね。 そこで、今、使っている遠近両用より、ハイグレードなレンズを選択することがお奨めとなるのですが、次にレンズのランクを上げるとどうなるのかを見ていきましょう。
遠近両用レンズのランクを上げるとどうなるの!?
遠近両用レンズには設計のランクと言うものがあり、ランクを上げれば上げるほどクリアに見える視野が広くなるという特徴があります。
具体的には下記のイラストの左側の写真を縦方向に見比べてみてください。
スタンダードからミドルクラス、ミドルクラスからハイグレードとランクが上がるたびに視野が広くなるのがお分かりいただけると思います。
それならば、今すぐ一番上のランクにすれば良いのでは?と思われるかも知れませんが、ランクを上げれば上げるほどお値段も高くなってしまいますので、お財布とのご相談が必要になります。
また、老眼の進行が激しくお仕事も忙しい50代は2~3年ごとにメガネを作り替える方が多くなりますので、ご予算とレンズランク、及びお仕事内容や使用頻度とのバランスが必要になると思います。
そこで賢いレンズの選択方法としてお奨めなのがイラスト中の赤矢印の方法です。
度数アップのタイミングで、最低でも今まで使ってきたレンズと同じくらいの視野をキープ出来るようにレンズのランクを上げていくことです。
そうすれば近くにピントが合いやすくなりつつ、今までと同じくらいの視野を確保したメガネが作れるようになります。
実際にどれくらいの視野になるのかは、眼鏡専門店でサンプルレンズを使って体験できますので、ランクの違いを実感しながら作成して頂ければ後悔も少なくなると思います。
遠近両用を買い替える時に追加したい機能 ①
買い替え時のポイントはご理解頂けたとして、次にレンズコートによる追加機能をご紹介していきましょう。
今時のメガネレンズは、昔は有料だった「UVカット」「撥水コート」「反射防止」が標準装備されていることが多いので、ある程度の品質は確保できていますが、さらに「裏面UV低反射コート」「耐キズコート」「ブルーライトカット」「帯電防止コート」「抗菌コート」「くもり止めコート」等の機能的なコートを追加することも可能です。
有料オプションとなりますが、目的に合わせてご利用頂きたいものもありますので、簡単にご紹介しておきましょう。
●裏面UV低反射コート
レンズの前方から入ってくるUVだけでなく、レンズの後面に当たって反射して眼に入ってくるUVを95%も抑えるコートです。UV対策を強化したい方に有効です。
●耐キズコート メガネを買い替える理由で「見づらくなったから」と常に上位を争う「キズが付いたから」という理由。耐キズコートは過去のキズ防止コートと比べ格段に進化しています。
●ブルーライトカット
ブルーライトは眩しさやチラツキの原因と考えられており、これを適度にカットすることで暗くなり過ぎずに、眩しさやチラツキを軽減することが可能となります。
●帯電防止コート
静電気を貯めないようにすることで「ホコリ」や「花粉」を引き寄せない効果がある帯電防止コート。特に静電気が起きやすい冬から、花粉が多い春にかけて有り難いコートです。
●抗菌コート
今の時代だからこその機能で、細菌の増殖を抑える抗菌コートをレンズに施すことで、レンズの表面を衛生的に保つことができます。安心をプラスする考え方です。
●くもり止めコート
HOYAのコートを例に挙げると、メンテナンスフリーで通常のレンズと比べ3倍もくもりにくいコートというものが発売されています。
※コートに関して詳しく知りたい方は こちら をご参照ください。
遠近両用を買い替える時に追加したい機能②
フレームの色に合わせてレンズにも色を入れて楽しむ「お洒落カラー」や、レンズの色による見え方サポート的な「機能カラー」も有料オプションとして追加することが可能です。
●お洒落カラー
レンズのカラー染色は、オプティカルカラー協会の「アリアーテ トレス」という各メーカー共通のカラーをお奨めしております。アリアーテ トレスは肌の色にもトーンがあるという発想に基づいて提案していますので、特に女性がメガネを作る時はカラー選びで楽しめると思います。
●機能カラー
UVと同様に人体に対する影響が大きいと言われているブルーライトは、シニア世代にとっては眩しさやチラツキの原因となると考えられており、これを適度にカットすることで暗くなり過ぎずに軽減することが可能となります。また、ブルーライトを適度にカットすることでコントラストを上げる効果も期待できます。
注)見え方や効果は人によって異なりますので、必ず店頭で試してからご購入下さい。
遠近両用を買い替える時に追加したい機能③
眩しさ対策や目の疲れ軽減にはサングラスと考える方が多いと思いますが、普段から遠近両用を使っている方にとっては、サングラスとメガネの掛け替えが必要になり、意外と面倒と言われることも多いのが事実です。
しかし「調光レンズ」は紫外線に反応して色の濃さが変化してくれますので、日中の屋外では色が濃くなり、室内に入ると薄くなるので面倒な掛け替えが必要なく、1本のメガネで一日中過ごすことが可能です。
注)紫外線カットされた車の中では、色はあまり濃くなりません。
遠近両用を買い替える時に追加したい機能④
運転用のサングラスとして使いたいなら、遠近両用の偏光レンズがお奨めです。
偏光レンズは調光レンズのように色の濃さが変化するレンズではありませんが、路面や水面で反射したギラギラとした光をカットしてくれますので、眩しさ対策や目の疲れ軽減には最適なレンズです。
また、HOYAの偏光レンズ「ポラテック」は、従来の偏光フィルム挟み込みタイプではなく、コーティングによる偏光となりますので、様々なランクの遠近両用レンズにつけられるだけでなく、色も豊富で、ハーフリムやリムレスタイプのフレームで作る事も可能です。
遠近両用を買い替える時に検討して頂きたいレンズ
遠近両用を買い替える方は50代が多くなると思われますので、50代の方にお奨めしたいレンズとして、遠近両用の仲間の「中近両用」と「近々両用」をご紹介しておきます。
上段の遠近両用で見える距離感や、設計と目線の角度の使い方はご理解頂いていると思いますが、もし、長時間パソコンを使ってお仕事をされているという場合は、中段の中近両用や下段の近々両用の方が見やすい場合があります。
イラスト中の右から2番目の設計比較や、一番右の目線の角度比較を見て頂くと想像しやすいのですが、中近両用や近々両用はパソコンの画面を見る時に自然な目線で見る事が出来るのです。
もちろん、中近両用や近々両用では車の運転は出来ませんので、屋外では遠近両用、室内では中近両用や近々両用という掛け替えが必要になりますが、もしかしたら目の疲れや首の痛み、肩こり等に関しては楽になる可能性があります。
中近両用や近々両用もテストレンズを使って試してみることが可能ですので、遠近両用買い替えの際は、遠近プロショップにご相談いただくことをお奨めします。