老眼対策

遠近両用メガネ、中近両用メガネ、近々両用メガネの基礎知識 <前編>

「遠近両用ってどういうメガネですか?」「遠近両用は使いづらいの?」「遠近両用は疲れるって本当?」「遠近とか中近とか近々って何ですか?」といった疑問をお持ちの方が多いので、遠近、中近、近々の基礎知識をご紹介します。

「遠近両用」ってどういうメガネですか?

「遠近両用」とは、老眼によって近くが見にくくなってきた方が掛けるメガネの一種で「1本のメガネで遠くも近くも見える大変便利なメガネ」の事を言います。

バイフォーカルレンズ 累進多焦点レンズ

現在、50代の方が社会に出た頃、レンズの上下で境目のあるバイフォーカルタイプの遠近両用メガネを掛けた方が周りにいらっしゃったのではないでしょうか?

実際に40年前まではバイフォーカルレンズしかありませんでしたが、1980年に国産の「累進多焦点」レンズが発売され、境目が無く見栄えの良いことを理由に遠近両用の主流は徐々に「累進多焦点」へと入れ替わっていきました。

今ではお仕事等の理由による特別な方を除いて、累進多焦点レンズがほぼ100%近くになっています。

「累進多焦点の遠近両用」ってどういうレンズですか?

累進多焦点は徐々に度数が変化するレンズです。

遠近両用レンズの使い方イメージ

前記のバイフォーカル遠近両用は「遠く」と「近く」の2種類の度数しか設定されていませんが、累進多焦点の遠近両用は徐々に度数が変化する為に、「遠く」と「近く」以外に「中間」に関しても見る事が可能です。 イメージ的には「遠く」は屋外、「中間」は屋内や室内、「近く」はお手元にピントが合うような感じです。

「累進多焦点」のピントが合う場所って?

遠くはレンズの上半分のブルーの部分でピントを合わせます。屋内や室内などでは黄色に塗られた中間視の部分でピントを合わせます。細かい文字やお手元を見る時はピンク色の近方視の部分を使ってピントを合わせるようにします。

また、レンズの鼻側下と耳側下の部分はユレ・ユガミが発生してぼやけて見えます。

遠近両用レンズの設計イメージ

累進多焦点の遠近両用のメリットは、1本のメガネで遠くも近くも見える大変便利なメガネであり、しかも境目が無いので見栄えが良いことが挙げられます。

しかし、累進多焦点のデメリットとしては、中間距離と近くはピントが合う場所が狭くなっていることや、レンズの鼻側下と耳側下の部分はユレ・ユガミが発生してぼやけて見えてしまうことが挙げられます。

また、度数が強くなると視野(横幅)が狭くなり、ユレ・ユガミを感じる部分が広くなってしまいます。これを解消するには上位ランクのレンズにランクアップして頂く方法になります。

「遠近両用」って使いづらいんでしょ!

遠近両用は老眼の度数が弱いうちに慣れてしまえば、普通に使いやすいメガネです。

遠近両用レンズの視野 加入度数による視野の変化

日本で累進多焦点レンズが発売されたのが1970年代後半、国産に関しては1980年の事で今から40年以も前の話です。当時としては画期的な新製品でしたが、今の累進多焦点レンズと比べると設計的にも技術的にも未熟なものでした。

国産の累進多焦点レンズが発売された後、それまでバイフォーカルを使っていた方が累進多焦点に切り替えたのですが、既に老眼の度数が強くなっている状態で累進多焦点に掛け替えた為、「ユレる」「ユガむ」「慣れにくい」「使いづらい」「見づらい」と言ったご意見を頂きました。

さらに当時は「レンズに合わせて体を慣らしてください」という考え方が基本でしたので、メーカー側も販売店舗側も“慣らしてください”とご説明させて頂いておりました。

この時代にお買い上げいただいた方々には大変申し訳なく思いますが、こういった状況が重なり「遠近両用は使いづらい」という話が広まったのだと思います。 しかし、今は技術開発がどんどん進み、比較的お求めやすい初心者用の累進多焦点レンズから、個人個人の度数や眼の動きに合わせた最高級フルオーダーレンズまで幅広い種類が販売されるようになり、レンズのグレードを選択することが可能になったことで「遠近両用は使いづらい」というご意見は減ったように感じます。

「累進多焦点」レンズの種類は?

遠くから近くまで見える遠近両用、中間と近くを広くした中近両用、お手元からちょっと先まで見えるようにした近々両用の3種類が代表的です。

累進多焦点レンズの種類と設計

遠くから近くまで見える遠近両用は、一日中メガネを掛けている方や掛け外しが面倒という方にお奨めです。特に近視の方は遠くが見えないと不便ですので、老眼の対照年齢となった場合、普段掛けのメガネが遠近両用になる方が多いです。

中間と近くを広くした中近両用は、事務仕事や主婦の方など室内で過ごす時間が長い方にお奨めで、イメージ的には室内用の遠近両用といったレンズです。

お手元からちょっと先まで見えるようにした近々両用は、老眼鏡より見える範囲が広いので新聞を読むときや読書が趣味の方、ノート型のパソコン作業にもお奨めです。 また、それぞれのレンズに対して遠く重視か近く重視かなど、細かい設計が用意されていますので、普段の過ごし方、お仕事、ご趣味等に合わせて選択すると良いでしょう。

遠近両用・中近両用・近々両用の中で、どれが人気ですか?

圧倒的に遠近両用が多くなっています。

大手眼鏡レンズメーカーの出荷ベースでは、下記のように遠近両用が断トツで1位です。

A社_1位…遠近両用60%、2位…中近両用30%、3位…近々両用10%

B社_1位…遠近両用76%、2位…中近両用19%、3位…近々両用5%

理由は下記のようになっています。

 ① 近視の方は遠くが見える遠近両用が必要

② 初めての方は、無難な選択の遠近両用を好む傾向が強い

 ③ 買い替え時も前回と同じ選択をする事が多い

 ④ 遠近両用が有名すぎて、中近・近々を知らない

 ⑤ 販売店側も遠近両用をメインにお提案してきたため

とは言え、昔からこうだったのでしょうか? 実は違います。過去のデータでは

A社_1位…遠近両用70%、2位…中近両用20%、3位…近々両用10%

B社_1位…遠近両用85%、2位…中近両用10%、3位…近々両用5%

順位こそ変わっていませんが比率的には中近両用が増えています。これはリモートワークの影響やおうち時間の増加も理由に挙げられますが、外出時に遠近両用を使い、室内では中近要用を併用される方が増えているのも理由として挙げられます。

尚、A社とB社で比率が微妙に違うのは元々の設計思想が異なるためであり、大きな意味はありません。

≪中編≫につづく


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