“楽に見える”とは?
老眼は一定の年齢が来るといきなり発生するものではなく、加齢と共に近くにピントを合わせる力が弱くなり、目からの距離を徐々に離さないと見えなくなっていくものです。
個人差はあるものの20歳では眼前約10cmの所まで近づけても見えていたものが、45歳で約33cm、50歳になると約40cmとなってしまいます。
この近くにピントを合わせる力のことを調節力と言い、調節力を使えば使うほど疲れを感じるのですが、一般的に自分自身の調節力をあまり使わずに見る事が出来れば“楽に見える”ということになります。
ですので、45歳で約33cmまで見える方なら、限界値の33cmで見るのではなく、もう少し離した40 cm位で見た方が“楽に見える”という事になります。
次に、老眼鏡や遠近両用などのメガネで調節力を補ってあげることでも“楽に見える”という状況を作り出せます。
最後にもう一つ、忘れてはいけないのが“楽な“姿勢”で見る”という事。実はこれを軽く見てしまっている方が多いのです。
確かに、老眼鏡や遠近両用などのメガネで調節力を補うことで“楽に見える”ようになるのですが、それはあくまでも見えるか見えないかの話でしかありません。
本当に大切なのは、“楽な“姿勢”でも見える”という事なのです。
そこで筆者が実践している“楽な“姿勢”でも見える”方法をご紹介させて頂きますので、是非、一例としてご参考にして頂ければと思います。
老眼でも“楽に見える”筆者のメガネのご紹介
先ず前提として筆者は中~強度の近視であり、遠くを見る為のメガネが必要になります。年齢は今年54歳とバリバリの老眼世代であり、調節力を補う度数を入れないと近くは見えません。よって、遠近両用メガネが普段のベースとなっています。
写真手前の青いレンズで黒いテンプルのメガネが遠近両用で、その奥のカーキ色のテンプルのメガネが中近両用、一番奥の赤いテンプルのメガネが近々両用です。そして右奥に1本だけで写っているのが可視光調光偏光機能を付けた遠近両用です。
全部、同じようなメガネでは?と思われた方、正解です。フロントの形が同型のものを使っていて、テンプルの色と形を変えて見分けています。
あえて同型を使っている理由は、レンズ交換がしやすいようにする為と、常に同じ掛け心地にしたかった事、そして同じ視野にしたかった事などが挙げられますが、仕事柄、体験レポートを書くために同条件で比較したかったからという理由もあります。
そして、少しでも楽に過ごせるよう、仕事内容によって3本のメガネを掛け替える生活をしています。
老眼を抱えた筆者のメガネの使い方
筆者が普段、どのような使い方をしているかをご説明します。
① 黒いテンプルの遠近両用メガネ
遠近両用は日常生活と通勤用として使っています。朝起きたらケースから出して遠近両用を掛けて起き上がり、朝食を取り、身支度を済ませて家を出て、電車で通勤して会社に着くまで掛けています。
退社時には遠近両用に掛け戻して、自宅に帰り寝る直前まで掛け続け、ケースに保管し枕元に置いて寝ています。このように生活のベースとなっているのが遠近両用です。
② カーキ色のテンプルの中近両用メガネ
会社に着くと遠近両用から中近両用に掛け替えて、一般的な事務作業やワードを使うようなパソコン業務にも使っています。
また、中近両用は社内を歩き回る事も可能ですし、ランチ程度なら徒歩での外出にも問題なく使えていますので、社内にいる時はずっと使っています。
③ 赤いテンプルの近々両用メガネ
老眼になると数字って見分けがつきにくくなりませんか?特に6と8は同じに見えますよね。ですので、文章のように前後の文字で識別することが出来ない数字を見る仕事の時は、中近両用よりもさらに近くが楽に見やすい近々両用に掛け替えます。
具体的にはデスクトップパソコンでのエクセルやアクセスを使った数字関連の作業や、プリントアウトされた細かい数字の確認作業時に使っています。
④ 右奥の可視光調光偏光の遠近両用メガネ
可視光調光偏光の遠近両用メガネは主に休日用です。休日は平日のように細かい数字を見続けることもありませんので、遠近両用のみで事足りています。 ただし、外出することや車の運転も多くなりますので、紫外線と可視光線でレンズの色が変化する可視光調光偏光の機能が付いた遠近両用を使い、メガネとサングラスの両方の役割を持たせています。
備考)遠近・中近・近々のレンズが青い理由
平日に使っているメガネは「眩しさ対策」、「コントラスト向上」、「色の再現性向上」の機能が付いた「ネオコントラスト」というレンズを使っていて、ネオコントラストをベースとして遠近両用、中近両用、近々両用の設計を使い分けています。
⇒ ネオコントラストに関して詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
筆者がメガネを掛け替える理由
前段で“楽な“姿勢”でも見える”方法とお伝えしましたが、何が楽なのかと言うと、それぞれのレンズの設計によって「見たい所が見える位置」や「視線の角度」、「見る時の姿勢」が異なるので、それを作業内容や作業距離と合うようにしているのです。
具体的には下記のイラストを見てください。
遠近両用は言わずと知れた、遠くから近くまで1本のメガネで見る事が出来る大変便利なメガネなのですが、あくまでも遠くを見るのがメインとなっており、中間距離と近くを見る場所が狭くなっているのが特徴です。
しかも近くを見る位置は、かなり低い所に設定されている為、思いっきり目線を下げ続けるか、見たい物を体に近づけるか、アゴを突き出すような姿勢で見なければなりません。
これが意外と疲れるのですよね。特に遠近両用でパソコンの画面を見ると、かなりアゴを突き出すような姿勢になってしまうので首が痛くなります。
では、どうすればよいかと言うと、イラストの中近両用や近々両用の視線の角度を見てみてください。
今、お使いのパソコンの種類やキーボードの位置や距離によって異なりますが、遠近両用より見やすい角度で対象物までの距離感が合っていませんか?
真っすぐ見た状態、もしくは少し目線を下げた状態で見る姿勢が一番楽ですので、その目線や姿勢と見たい距離が合っているレンズを選択すると、“楽に見る事が出来る”ようになるのです。
確かにメガネを複数掛け替えるのは面倒だというご意見もありますが、掛け替える手間を掛けてでも楽に見える方を取るか、掛け替えの手間の削減を取るかの話であり、筆者は掛け替える手間を掛けてでも楽に見える方を選択した形になります。
複数使用で「掛け替えの手間」以外にデメリットは?
当たり前ですが一般的にはお金の問題が一番大きいでしょう。調節力がたくさん残っていた若い頃は、近視用のメガネ1本のみだったので単純に3倍です。
でも、私の場合いろいろ使ってみた感じでは、遠近両用1本では目の疲れや首の痛みはどうすることも出来ず、最低でも遠近と中近が必要だと感じましたし、前向きに仕事に取り組む為には、ある程度は必要な投資だと思うようにしています。
あと、もう一つ、掛け替えるのを忘れてしまう懸念があります。これに関しては、次の項目で対処方法をご説明します。
複数使用者の保管&持ち運び方法
もし、筆者のように掛け替え生活を行うようであれば、ご自身に合った保管と持ち運び方法を決めた方が宜しいでしょう。
筆者は黒いテンプルの遠近両用メガネを掛けている状態を基本として、通勤バッグの中にはカーキ色のテンプルの中近両用メガネと可視光調光偏光の遠近両用メガネの2本を2本入るケースに入れて持ち歩いています。
中近両用を持ち歩く理由は“社内を歩き回る事が可能”な為、逆に遠近両用に掛け替えるのを忘れて帰宅しようとしてしまうからです。
ただし、一歩会社を出たとたん遠近両用に掛け戻すのを忘れていることに気付きますので、駅についてから掛け替えられるように持ち歩いているのです。
また、可視光調光偏光の遠近両用メガネは、室内ではほぼ無色に近い薄い色に退色してくれますので、いざと言う時は仕事用としても使う事が可能であり、強度近視の私にとっては予備メガネとして持ち歩いていると安心できるからです。
因みに、近々両用はケースに入れて机の上に置きっぱなしにしていて、必要時は中近両用から掛け替え、作業終了後にまた中近両用に戻しています。
老眼でも“楽に見える”メガネ…まとめ
いかがでしたでしょうか?
これはあくまでも筆者の個人的な方法ですので、人によっては違う方法の方が良い場合もあります。例えば、接客業などでお客様と会話する時間が長い方なら、見える範囲が広い最新式のオーダーメイド遠近両用を使う事もお奨めとなる場合があります。
また、あなたが使っているパソコンの種類によっても変わってくるでしょう。
下記の写真でも分かるように、デスクトップの画面とノートPCの画面では高さ(位置)が違います。高さが違えば視線の角度も異なってきますので、遠近・中近・近々のどれが良いかは違ってきます。
ですので、この記事を読んで遠近両用や中近両用、近々両用を作ってみようと考えた方は、遠近両用プロショップの店員さんに「最近、近くが見づらくなった」だけでなく、「お仕事の内容」や「パソコンの種類」、「パソコンを使う時間」、「パソコン画面までの距離」などを詳しく伝えて、レンズ選択のお手伝いをして頂けるようお願いしてみることをお奨めします。
メガネやメガネレンズにお困りの方はお近くの「遠近両用プロショップ」へ。こちらの「ご相談・お問い合わせフォーム」からお気軽にご相談ください。