お作りになった遠近両用メガネの度数やフィッティングが合っていない場合も考えられますが、今回のご説明ではこれらは省略させて頂きます。
遠近両用メガネを作ったけど、遠くが見づらいという理由
「遠近両用メガネを作ったけど、このレンズでは遠くが見づらい」という方がいらっしゃいますが、特に初めての方に多い理由としては、設計をご理解されていない場合があります。
遠近両用メガネは徐々に度数が変化するメガネなのですが、特に指示をしなかった場合、黒目の中心部にほんの少しですが近くを見るための度数が入り始めています。メーカーや硝種によってどれくらいの度数が入り始めるかは異なりますが、ほんの数%しか入らないので普通は自覚できない程度です。しかし、今まで遠くがハッキリ見えていた方にとっては違和感を覚える方もいらっしゃるようで、これが原因で人によっては見づらさを訴える場合があるようです。
では、遠近両用レンズの遠くを見るための度数はどこに入っているのか?
それは黒目の中心部より上の方が度数の安定している場所になっています。よって遠くを見る時は若干、アゴを引き気味で見て頂くと遠くがハッキリ見える場所を視線が通過するようになります。
「遠くを見るたびにアゴを引けと言われても…」という方もいらっしゃると思いますが、そういった場合、鼻パッドの部分を調整してメガネを少し下に下げて掛ける方法もあります。
ただし、この場合、全体的に下に下がってしまいますので、自ずと近くを見る場所も下に下がるというデメリットがあります。あまり下げすぎると近くを見る時に目線を合わせるのが難しくなりますので要注意です。
尚、鼻パッドの調整はご自身で調整すると破損する可能性がありますので、購入された眼鏡店にご持参いただき、調整の希望をお伝えください。何度でも対応してくれますのでお気軽にご相談ください。
遠近両用メガネを作ったけど、近くが見づらいという理由
近くが見づらいという理由としては、十分に視線を下げて見ていないことが考えられます。と言うのも、遠近両用レンズの場合、上の方から徐々に度数が変化し、近くを見る度数が完全な度数になる位置はレンズのかなり下の方になります。
この部分に目線を合わせないとハッキリ見えないことがあります。
こういった場合、少しアゴを突き出すような姿勢を取りつつ、目線を下げて頂ければ近くが見やすくなると思います。また、遠くを見る時とは逆にメガネを少し上に持ち上げてもらうと見やすくなる場合もありますが、持ち上げると遠くが見づらくなるのと手がふさがってしまうのがデメリットです。
こちらも鼻パッドでの調整もある程度可能ですが、遠くを見る時の視線とのバランスが必要になります。
また、近くが見づらいもう一つの可能性として見づらい部分で見ていることも考えられます。遠近両用レンズの場合、中間距離や近くを見る度数が入っている部分は遠くを見る部分より狭くなっており、それ以外の場所を視線が通過するとボケてしまいハッキリとは見えなくなります。
見たい物が側方にある場合、正面に移動するか顔を見たい物に向けるかすると見やすくなります。
メガネの高さを自分で調整できる鼻パッドのご紹介!
今回作った遠近両用メガネに対して「顔の角度調整が難しい」「目線を上げ下げしきれない」という場合、鼻パッドを自分で上下に動かせるアイテム『遠近Vパッド』を使う方法をご紹介しておきましょう。
遠近Vパッドは、遠近両用メガネを掛けながら手で持ち上げて近用部分を目に近づける姿をよく見かけるということから、パットが上下に動き、しっかり止まることで両手が空き、作業や読書などが楽にできるようにとパーツメーカーが開発した特殊な鼻パッドです。表面にシリコンコートをしていますのでメガネをかけたまま楽にメガネの上げ下げが出来る優れものです。
シンプルな構造の消耗品なので1年位で交換が必要になるようですが、1,540円(税込)ほどで購入可能なので、試してみる価値はあると思います。
因みに発売された当時、筆者も含め数人で使った結果、効果は抜群でした。新製品にうるさい業界人でも「これいいよ」と感心していました。
デメリットは慣れてしまうと、今、上にしているのか下にしているのかが分からなくなってしまう事です。人間って意外といい加減なものですよね~。
次回、遠近両用メガネを作る時のご参考に
「遠近両用メガネを作ったけど遠くが見づらい」「遠近両用メガネは近くが見づらい」というご不満を解消する方法として、万人に合うわけではありませんが次回作る時のご参考にして頂きたい方法があります。
それは累進帯を短く設定することです。
累進帯とはイラストで緑色の矢印で表示した度数が変化する部分の事を言いますが、この長さを調整することが可能です。累進帯を短くすれば目の上下運動の幅が少なくて済みます。少ない動きで遠くも近くも見えるようになるのです。
因みにこういった累進帯が短いレンズは、フレームの上下幅が狭いフレームをご希望頂いた場合にも使われるレンズです。
ただし、ユレやユガミは普通の累進帯の長さのレンズより大きくなりますし、中間距離の範囲がぐっと少なくなります。また急に度数が変化するような感覚を覚える方もいらっしゃいますので作製には注意が必要です。
ご興味がある場合は、遠近両用プロショップまでご相談ください。