レンズのはなし疲れ目対策

色が変わるレンズ『調光レンズ』のデメリットと注意点<後編>

前回お伝えした「調光レンズのデメリットと注意点」の後編です。調光レンズは大変便利なレンズですが、デメリットも多いレンズですので、是非、メリットとデメリットを比較して検討して頂きたく情報提供させて頂いています。

調光レンズのデメリット-6 経年変化で、徐々に色が発色・退色しなくなる

調光レンズには、いわゆる寿命があります。

あるメーカーの説明では1日に4時間紫外線を浴びたと仮定して約6年間で色が変わらなくなるそうです。また、発色した状態が長いほど、早く色が変わらなくなるそうです。

実際には薄い方を1、濃い方を10とすると、購入直後は1~10の変化量だったのが、1年後には2~9、2年後3~7、8といった感じで、徐々に変化の幅が少なくなっていくような感じです。

筆者が使ってみた感じでも、1~2年後に「あれ?もうちょっと濃くなるんじゃなかったっけ?」とか、「なんかクリアに戻らなくなってきたなぁ~」という感じでした。

ただし、夏の濃さと冬の濃さに違いがある為、よく分からないというのが正直言った感想でした。

調光レンズ 色変化 経年変化

調光レンズのデメリット-6の考察

調光レンズの寿命について「短い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、プラスチックレンズに関しては、通常3年以内に新しいメガネに買い替える方やレンズ交換される方が多いので、普通のレンズとあまり変わらないと考えて頂いて良いと思います。

因みに、メガネ買い替えの理由は度数の問題かキズの問題が多いです。

調光レンズのデメリット-7 キズが付くと色が変わらなくなる

レンズの前面にキズやコートの剥離が発生すると、その箇所は調光機能が失われてしまいます。もちろんキズがつきにくいようなコーティングは施してありますが、プラスチック素材は柔らかいので、キズが付いてしまうことがあります。色が変化しなくなると、通常のクリアなメガネでも目立つキズがもっと目立つようになってしまうので、お取り扱いには十分に気を付けて頂きたいです。

尚、ついてしまったキズは取ることが出来ませんので、予め、ご了承ください。

調光レンズ キズ

調光レンズのデメリット-8 片玉交換ができない

何らかのトラブルで片方のレンズにキズが付いて使えなくなってしまったとしても、色の濃度がバラバラになってしまう為、片方のレンズだけ新しいものに入れ替えるということはお断りしています。

調光レンズ 片玉交換

調光レンズのデメリット-7、8の考察

調光レンズの構造をもう少し詳しくご説明すると、調光の成分はレンズの外側にコーティングされており、その他のコーティングより厚く塗られています。

これによりクッション効果が生まれ、面での圧力に対しては耐久性が高まっているのですが、点や線での圧力にはコーティングが陥没してしまいひび割れの原因となってしまいます。表面のひび割れはコート剥離の原因になりますので、レンズの表面の取り扱いには十分な注意が必要です。

調光レンズ 構造

尚、キズがつきやすい環境でのご利用をお考えの場合は、ガラス素材の調光レンズを選択することも可能ですが、下記のデメリット-9をご確認ください。

調光レンズのデメリット-9 キズがつきにくいガラス素材は色抜け&種類が少ない

ガラスの調光レンズの場合、ガラス素材に調光機能を練り込んで作っていますので、レンズの厚みによって色の濃さが変わります。具体的には、近視の場合は中心部の色が薄く、遠視の場合は周辺部の色が薄くなります。

ガラス調光 調光ガラスレンズ 色抜け

また、プラスチック素材のものと比べると色の変化量が少なく、ご希望されるほど薄くならず、思っていたほど濃くもなりません。対応されるレンズの種類もかなり少なくなっています。それでもガラスレンズをご希望の場合、遠近両用プロショップにご相談ください。

調光レンズのデメリット-10 女性向きの綺麗な色は限定される

国内大手3社のレンズメーカーの調光レンズは、下記の図のような色の種類になっています。基本的に調光レンズは眩しさ対策や紫外線対策が目的の為、色が濃くなるものが中心となっています。

デメリットと言えるかどうかわかりませんが、女性にお奨めして喜ばれるとなると、実質、左下の4種に限定されるかもしれません。

調光レンズのカラー種類 大手レンズメーカーの調光レンズ HOYA Nikon SEIKO

調光レンズのデメリット-10について

左下の4種はHOYAから発売されている「サンテック-ミスティ」という種類で、女性のために開発されたレンズカラーです。

一番濃くなっても、一般的な調光レンズの半分程度しか濃くなりませんので、周りにキツイ印象を与えることなくお洒落にカラーを楽しめ、眩しさ対策と同時に紫外線対策をしてくれる人気のレンズです。

実際にミスティロゼ(ピンク)を使ったことがある方に聞いたところ、目の周りの血色がよく見えるウォーム効果があって普段使いには良かったそうです。

ただし、他の調光レンズと比べると色が濃くならないので、サングラス的な眩しさ対策に関しては期待したほどではなかったそうです。また、10年以上前に購入したものなので、今では発色も退色もすることも無く、常に薄いピンク色のレンズになっているそうです。

調光レンズのデメリットは許容範囲ですか?

いかがでしたでしょうか?多くのデメリットをご紹介させて頂きましたが、デメリットは許容範囲でしたでしょうか?

これまでにお伝え出来なかった事を補足として書き足しますので、ご検討いただく時の参考にして頂けると幸いです。

<調光レンズのメリット>

・紫外線量に応じてレンズ濃度が変化し、眼に入る光を自動調節します。

・まぶしさを軽減する事で、眼の疲れを和らげてくれます。

・色がついていても、ついていなくても紫外線をほぼ100%カットします。

・一本のメガネで掛け替える必要が無く眼を守れます。

・サングラスを持ち歩く必要が無く、手荷物を減らせます。

・一般的な調光レンズはコーティング対応の為、多種多様なプラスチックレンズにつけられます。

・プラスチックはガラスレンズと比べ、レンズの厚みによる濃度差が出ません。

・プラスチックはガラスレンズより変化スピードが速くなりました。

・プラスチックは軽量で割れにくいので安全度もアップしました。

・プラスチックならお洒落なフチ無しメガネも作れます。

・メガネを作る時に色の濃さでお悩みの場合は、調光レンズがお薦めです。

<調光レンズのデメリット>

・調光の成分はレンズ表面につけられていますので、裏面から紫外線を浴びても発色しません。

・水滴が付着した状態で発色した場合、ついていないところとの差が出ます。この場合は水滴を拭き取ることで改善します。

・光の種類によっては干渉縞が見えることがあります。

・障害物が少ない環境で太陽が真上から降り注いでいるときはレンズの表面に当たる紫外線量が減る為、色が濃くならない場合があります。

・日傘や帽子を被っていると色が濃くならない場合があります。

・染色によるカラー付けは出来ません。

・可視光調光レンズは蛍光灯の光でも発色してしまう為、室内でも色がクリアになる事はありません。

・ガラスの調光レンズや可視光調光レンズは作製可能なレンズが限られます。

調光レンズのデメリットと注意点<前編>はこちらから

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