目の疲れの原因は近くへのピント合わせ

普段、遠くを見るときは、目の中にある毛様体筋を弛緩（しかん：ゆるませる）させ、水晶体を薄くしてピントを合わせます。

逆に、近くを見るときは、目の中にある毛様体筋を収縮させ、水晶体を厚くしてピントを合わせます。

この毛様体筋を収縮させるという行為は、重い荷物を持ち上げる時に筋肉を使うのと同じような行為となりますので、長時間、近くにピントを合わせようとするのは、ずっと重たい荷物を持ち上げ続けているのと同じようなものなのです。

さらに、昔は本や新聞を読んだり、勉強したりというのが近くを見る代表的な行為で、距離的には25cm～35cmといったところでしたが、スマートフォンに関しては15cm～30cmほどと距離も近くなっています。

しかも、本や新聞は頭上から照らされる光によって文字を読むのですが、スマートフォンはそれ自体が発光している為、目への刺激も強くなっています。

これらの要因が絡み合って、目が疲れてしまうのです。

スマホ老眼の仕組みと症状

長時間、本を読み続けたり勉強し続けると肩が凝りますよね。

それとスマホ老眼は同じような状態です。

長時間、毛様体筋の収縮が続くと筋肉疲労を起こして凝り固まったような感じになります。

その状態で遠くを見ようとしても水晶体を弛緩させ、薄くすることが出来なくなり、遠くにピントを合わせることが出来なくなってしまうのです。

さらに、緊張状態が続くと近くにピントを合わせる力（調節力）も低下してしまい、近くも見づらくなってしまう場合があります。近年、この状態をスマホ老眼と呼ぶようになりました。

また、年々、この症状を訴える方が増え続けているのも問題となっています。

スマホ老眼を予防するには

一般的には目を休めるのが一番だと思いますが、なかなかそうもいかない場合もありますよね。

そういった場合のメガネでの対処方法をご紹介します。

それは調節力サポートレンズ、もしくは調節力アシストレンズと呼ぶちょっと特殊な設計のレンズです。

遠近世代にとっては、何となく遠近両用の簡易版に思えるかもしれませんが、設計的にはかなり近いものがあります。

ただし、目的が異なります。

遠近世代の老眼鏡は、年齢と共に衰えた調節力（毛様体筋を使って近くにピント合わせをする力）を補って近くにピント合わせをするためのレンズですが、調節力サポートレンズは調節力をサポートして毛様体筋の緊張を少なくするためのレンズです。

無いものを補うのと、あるけど使う量を減らすの差です。

近視の方を例にしてもう少し分かりやすく説明しますと、レンズの上部は遠くを見るための近視を補正する為の度数。レンズの下部は少し弱い近視の度数となります。

近視の方は分かるかもしれませんが近視の度数を強くすると、近くを見づらくなったり、近くを見ると疲れやすくなったりしますよね。

その逆の発想で、意図的にレンズの下部の度数を弱くしているのです。意図的に弱くすることで目の疲れを軽減させようというものなのです。

調節力サポートレンズの使用経験談

このサポートレンズ、筆者も若い頃に使っていました。

使ってみた感想なのですが、先ず、遠くの見え方は何も変わりません。見え方が悪くなるのが嫌だという方でも安心して使っていただけます。

次に近くですが、初めてかけた時は何が違うのか全く分かりませんでした。度数が変化しているのかもわからなかったです。

実は近視の弱い度数と言っても、設計を理解している業界人ですら分からないほど、ほんの少ししか変化していないので自覚できない程度なのです。

これが消費者なら、眼鏡店で体験したくらいでは差が分からないと思います。販売員のお奨めを信じてご購入いただいたとしても、メガネのお渡し時は何も感じることが出来ないかもしれません。

ただし、使い始めてから2週間、私の場合は肩こりが治まりました。

ブルーライトカットのコーティングも合わせて付けましたので、両方の効果があったのではないかと思いますが、圧倒的に楽になったので驚いたのを鮮明に覚えています。

もちろん、人によって効果は異なるでしょうし、スマートフォンなんてない時代ですので、目の疲れ方が違うと思いますが、その後、遠近両用レンズを使うようになるまでずっと使い続けていました。

その場では差が明確に出ないレンズですので、ちょっと分かりにくいのですが、疲れ目を感じている方にはお試しいただく価値があるレンズだと思います。