レンズのはなし目のケア・メガネのお手入れなど

「くもらないレンズ」メリットとデメリット

マスクの使用によって再び注目を集めている防曇(ぼうどん)レンズ。(くもりどめ付レンズ) 一般的なメガネのケアで使う『くもりどめ』もありますが、元々、『くもりどめ』の機能を備えたレンズもあります。マスク需要に加え花粉の季節が始まりますのでご紹介します。

メガネが「くもる」メカニズム

冬の寒い日やマスクの着用によるメガネの「くもり」にお困りの方が増えていますが、なぜレンズがくもってしまうのでしょうか?

温度差のある場所への移動や自分自身の呼気が原因ですが、レンズ表面の空気中の水分が冷やされることで出来る結露が細かな水滴を作り出し、その水滴で光が乱反射することで透明性が低下して「くもり」を発生させるのです。

もうひとつのメガネが「くもる」理由

最近のメガネレンズは技術開発によって透明度が高く、キズや汚れに強くなっています。

20~30年前のプラスチックレンズと比べて何が違うのかというと、レンズ表面のコーティングの技術が格段に進歩しています。

レンズ生地を守るハードコートは標準装備されることがほとんどですが、その上に掛ける多層膜コートの組み合わせで、目的やお困りごとによっていろいろな方に対応できるようになっております。

・視界を明るくする反射防止コート

・水分の中に含まれる不純物を侵入させない為の水やけ防止コート

・ブルーライトから目を守るブルーライトカットコ-ト

・擦りキズに強い防キズコ-ト

・汗や皮脂などの汚れがつきにくく、ついた汚れも落としやすい防汚コート

・お仕事や地域によって、レンズのくもりが気になる方向けの防曇コート

・ほこりや花粉を集めてしまう静電気を抑える帯電防止コート

・レンズの裏面の反射を抑える裏面UV反射カットコート

・しわやしみの原因のひとつになると言われている赤外線をカットするコート

・表面を鏡のようにキラキラさせるミラーコート

・目元が明るく目元を引き立たせるパールコート

防汚コートは撥水コートと呼ばれることもありますが、非常に便利で消費者も使いやすいことから、最近の一般的なレンズには標準装備されている場合も多くなっています。

撥水性と親水性の違い

男性で車好きの方ならご存じの方もいらっしゃいますが、撥水性と親水性は水弾きのしかたの違いです。

撥水は水がかかったとき、キレイな水玉ができ、コロコロ弾くタイプのコーティングとなります。

親水は水がかかっても馴染むように、ゆっくりと水が引くコーティングとなります。

共にメリット・デメリットがあります。

防曇(くもりどめ付)レンズのメリット

最近の一般的なレンズには標準装備されている撥水性の防汚コートを外し、親水性の防曇(フォグレス)コートを装着することで、くもりにくさを実現します。

下図①のレンズの表面に馴染むようについた水分を、下図②のメンテナンスセリートやメンテナンスクリーナーを使うことで、下図③のようにムラの無い均一な面に整えてあげることによって効果をアップさせます。

防曇(くもりどめ付)レンズはこんな人におすすめです

●お仕事で料理をされる方

●入浴施設や入浴介助などで湯気を浴びる方

●冷蔵・冷凍庫への出入りなど、温度差のある室内と屋外を頻繁に出入りする方

●ウインタースポーツ、釣り、剣道などをする方

●地域的に寒冷地にお住まいの方、寒冷地でお仕事の方

●近視や遠視の度数が強く、レンズのくもりによって視界が遮られ危険を感じることのある方

防曇(くもりどめ付)レンズのデメリット

①他のコートが付けられない

防曇コートを付けることで、水分の中に含まれる不純物をレンズに侵入させない水やけ防止コートが付けられなくなります。

雨に濡れたまま放置しますとシミが出来てしまい取れなくなってしまいますし、まかり間違って赤ワインが引っ掛かるなどした場合、レンズに赤いシミが出来て取れなくなってしまいます。

また、汗や皮脂などの汚れがつきにくく、ついた汚れも落としやすい防汚コートが無くなっていますので、比較的汚れが落としにくくなります。

②専用メンテナンスクリーナーでのケアが必要

防曇コートは普段のお手入れとして週に一回程度、専用のメンテナンスクリーナーでのケアが必要となります。

メガネが汚れた時は一般的なメガネ拭きで拭いていただいても大丈夫ですが、拭いた後に専用のメンテナンスクリーナーでのケアをお奨めします。

また、「くもりどめ」の効果が無くなってきたときにも専用のメンテナンスクリーナーでのケアをお奨めします。

他社の防曇コートメンテナンス剤や、市販の「くもりどめ」の塗布は防曇効果を保証しかねますのでご注意ください。

尚、眼鏡店の店頭にある超音波洗浄器で洗浄した後は、専用のメンテナンスクリーナーでケアしてもらえるように販売員に依頼することも忘れずに行ってください。

③取り扱っているレンズメーカーが少ない

日本のメガネレンズメーカーのトップ3であるHOYA・Nikon・SEIKOの中で、現在、防曇レンズを販売しているメーカーはSEIKOのみとなります。

SEIKOの防曇コートは日本国内のみならずEU諸国でも販売中との事で、EU諸国では爆発的に売れているそうです。

実は、数年前まではHOYAでもNikonでも販売していたのですが、撥水系の防汚コートが主流になり、要望が減ったことで販売中止となっていました。

そこで起こりうる問題点ですが、近視や乱視などの単焦点の方はメーカーが違うレンズを使ってもそれほど影響がないのですが、遠近両用に代表される累進レンズに関しては、各社、設計思想が違いますので見え方に差が出てくる場合があります。HOYAのレンズが見やすい、使いやすいという方もいればNikonの方が見やすい、SEIKOが一番好きといった形で見え方・使い方・見え心地には個人差が出てしまいます。

これらの見え心地をクリアに出来るようであれば、他社のレンズに変えても問題がないので、テストレンズで体験されてからご購入されることをお奨めします。

防曇(くもりどめ付)レンズの使用感についてご紹介します

▼快適に使っている人の感想

Q.使い始めた時の印象は?

A.全く「くもらない」わけではありませんが「くもり」がサッと引きます。普段の電車通勤や、屋内外の気温差程度ならば快適に使えています。

▼使用をやめてしまった人の感想

Q.使用をやめてしまった理由は?

A.レンズの表面が少しネバネバするような気がした。

ケアが面倒になって使わなくなってしまった。でも、コロナ禍でマスクが必須の時ですから、今は必要かもしれませんね。

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