疲れ目対策

「ブルーライトカットレンズは逆に疲れる!」って本当?

メガネに関する検索キーワードに「 ブルーライトカットレンズ 逆に疲れる 」というキーワードを見かけました。ブルーライトカットレンズをお奨めする側としては、ちょっと気になるキーワードでしたので、その原因として考えられそうな点を探ってみました。気になる方がいらっしゃいましたら、是非、ご参考にして頂ければと思います。

ブルーライトカットレンズとは?

ブルーライトは可視光線の中に含まれている光の種類で、紫外線の次に波長の短い光のために長時間目に入れると、視界のちらつきや目の疲れに加え、体内リズムを崩し睡眠障害を引き起こすという報告もあり、人体に及ぼす影響が懸念されていました。

また、ブルーライト自体は元々自然光の中にも存在していたものですが、近年のパソコンやタブレット、特にスマホの普及により、昼夜を問わずに長時間、近距離でブルーライトを浴びる機会が増えたことで、その危険性に対する意識も高くなりました。 このブルーライトをカットするレンズをブルーライトカットレンズ(店舗によっては「PCグラス」「○○○PC」)と言い、メガネを作る時にレンズに対してオプションとして付加するか、既製品を買うかという選択になります。

波長とブルーライト

ブルーライトをカットする方法は一般的に2つあります。

一つ目はコーティングによるブルーライトの反射で、度付きのメガネに多い方法です。レンズ自体は透明なので普段使いをしやすいのがメリットですが、ブルーライトカット率は低めであることと、ブルーライトを反射させるために反射光が眩しく感じる時があるのがデメリットです。チラつき、ギラつきを感じる方もいらっしゃいます。

二つ目は染色によるブルーライトの吸収で、既製品に多い方法です。 ブルーライトカット率の高さがメリットですが、薄い茶色や黄色っぽい色のついたレンズになりますので、周りからはサングラスのように捉えられてしまい普段使いは難しいかもしれません。ただし、反射光はありませんので反射によるチラつき、ギラつきはありません。

ブルーライトカットレンズの種類

今回の「ブルーライトカットって逆に疲れるよね!」という言葉だけではどちらのタイプかは判りませんし、他の理由もありえるので考えられる原因をご紹介していきます。

「逆に疲れる」理由-1 裏面の反射光

一番考えられるのは裏面の反射光です。 

前記した通り、レンズ表面のコーティングでブルーライトを反射させることでレンズを通過させない構造になっているのですが、レンズの裏面(内側)でも同じような反射が発生しますので、この裏面で反射した光が目に入り疲れの原因になったことが考えられます。

状況としては、メガネの前方が暗く、メガネの後ろ側から強い光を浴びるとこのような現象が起きやすくなります。

筆者も初めてブルーライトカットレンズを使った時に裏面反射を感じましたが、裏面でブルーライトが反射することを知っていたので直ぐに慣れてしまいました。事前に知っていればあまり気にならなかったかもしれませんが、この反射が原因で疲れを感じたのかもしれません。

ブルーライトカットレンズの裏面反射

<対処方法>

理由を知った上で慣れてしまえば気にならなくなる場合もありますが、裏面反射がどうしても気になる場合は、コーティングによる反射タイプのブルーライトカットではなく、染色による吸収タイプのブルーライトカットをお試しいただくのが良いと思います。

「逆に疲れる」理由-2 ゴースト

これはレンズの構造上、どうしても発生してしまうのですが、レンズの中を通った光が、レンズの後面で反射し、それがレンズの表面に当たって反射して、さらに目に届いてしまう現象です。状況によって起こる現象ですが、チラつきを感じたり二重に見えたりしますので、疲れの原因として考えられなくはありません。

ブルーライトカットレンズのゴースト

<対処方法>

ゴーストが気になる場合も、反射タイプではなく、染色による吸収タイプのブルーライトカットをお試しいただくのが良いと思います。

「逆に疲れる」理由-3 色の変化

これは反射タイプでも吸収タイプでもいえる事ですが、ブルーライトをカットすることにより、裸眼で見たときと比べて全体的に黄色っぽく見えるようになります。 パソコンを使う仕事で、特にデザイナーさんのような色に敏感な職業の方にとっては、色の変化による違和感が疲れの原因となってしまったのかもしれません。

ブルーライトカットレンズによる色の変化イメージ

<対処方法>

色の変化が気になる方は、反射タイプ、吸収タイプを問わずブルーライトカットに向かないかもしれません。 

この場合、ちょっと考え方が違うのですが、ネッツペックコートと呼ばれる特殊なコーティングレンズをお試しいただく方法があります。

b.u.i. ビュイ ネッツペックコート

ネッツペックコートを装着したB.U.I.(ビュイ)は、外観は無色透明でありながら光のまぶしさを軽減させコントラストを高める機能があります。まぶしさの軽減と視認性の向上により、目の負担を緩和する効果が期待できます。実際にデザイン関係のお仕事の方に人気で、他にもスポーツカメラマンや、プロドライバーの方々にも喜ばれています。

ただし、感じ方は人それぞれで、その効果をもの凄く実感できると答える方が全体の3分の一、何となく感じると答える方が3分の一、よくわからないと答える方が3分の一という話もありますので、店頭で体験してからのご購入をお奨めします。

「逆に疲れる」理由-4 度数UPが原因かも

メガネは買い替えのタイミングで度数を強くする方が多く、ブルーライトカットの有無に関係なく疲れるといった症状が出てしまう方がいらっしゃいます。 この度数UPを伴う買い替えの時にブルーライトカットのコーティングを着けた場合、度数UPが原因なのか、ブルーライトカットが原因なのか判断が難しいです。

<対処方法>

もしかしたらこの度数UPが原因かもしれませんので、ご購入いただいた眼鏡店でご確認いただければと思います。

「逆に疲れる」理由-5 話題のスマホ老眼

度数UPにも少し関係することなのですが、最近話題になっているスマホ老眼が原因かもしれません。 スマホ老眼はスマホを長時間、目の近くで見続けることで年齢に関係なく、若い人でも老眼と同じような症状を訴える場合があります。

サポートレンズの仕組み アシストレンズの仕組み

<対処方法>

度数UPやスマホ老眼に関しては、サポートレンズ、もしくはアシストと呼ばれる種類のレンズをお奨めします。

このレンズは上図のようにレンズの下側に、近くを見る時に使う目の筋肉の動きをサポートするような度数が設定されています。具体的に言うと、近視の方の場合、レンズの上半分が遠くを見るための度数、下半分が近くを見るための度数として、上に入っている度数より弱い度数が設定されています。 スマホを見る時は下目線になりますので、ちょうど良い角度で使えます。

「逆に疲れる」理由-6 年齢的な問題-1

これも度数UPに関係することなのですが、特に近視の方が遠くを見る度数を強くすると、年齢が上がれば上がるほど近くが見にくくなったり、疲れるようになってしまいます。

具体的には40代半ば以降に多くなります。

一般的に老眼の対処方法としては+方向のレンズ(凸レンズ)を使います。逆に近視の方が遠くを見る時の度数は-方向のレンズ(凹レンズ)を使います。

このタイミングで近視の度数を強くすると、+-の関係で近くが見にくくなったり、疲れを感じるようになることがあります。 表題のブルーライトカットとは異なりますが、これも原因のひとつかもしれません。

<対処方法>

45歳以下の方であれば、スマホ老眼の所でご紹介したサポートレンズ、もしくはアシストと呼ばれる種類のレンズをお奨めします。 また、45歳以上、特に50歳以上の方であれば、遠近両用をお奨めします。

「逆に疲れる」理由-7 年齢的な問題-2

筆者の体験談ですが、私の目の場合、40代前半まではブルーライトカットレンズが合っていましたが、40代半ばくらいからイエローライトカットレンズの方が見やすく感じるようになりました。 これは黄変と言って歳を重ねると徐々に目の中にある水晶体と呼ばれるレンズが黄色く濁ってくる症状が原因で、ブルーライトカットよりイエローライトカットの方が見やすく感じるようになってくる場合があるのです。

ネオコントラスト シーコントラスト

<対処方法>

イエローライトカットのレンズにはいくつかの種類があり、初心者向けで価格もお手頃なCool View(クールビュー)、普段使いしやすく薄めの色のSee Contrast(シーコントラスト)、色は濃くなりますが効果が一番高いNeo Contrast(ネオコントラスト)に対していろいろな設計のレンズが発売されています。

これらのレンズはまぶしさをカットしてくれるだけでなく、コントラストも高まりますので文字がハッキリ見えるようになる方が多いです。また、レンズによって効果の強弱はありますが、小さい頃に見ていたようなスッキリとした色を再現してくれますので、ある意味世界が変わります。 見え方やその効果は店頭で体験可能ですので、是非、体験して頂くことをお奨めします。

「逆に疲れる」理由-8 生活環境の変化

学業やお仕事で一定の時期に急に眼を酷使するようになることがあると思います。このような生活環境の変化が原因で、疲れるといった訴えになっているのかもしれません。

また、ブルーライトカットの効果では不足してしまうくらい眼を酷使されたことが原因かも知れません。こういった原因も考えられなくないのですが、「逆に」の言葉には合っていないかもしれませんね。

<対処方法>

眼の酷使に関しては症状が悪化する前に、十分な休息を取っていただくことが一番なのですが、身近にできる対処として、一時間に一回5分程度、遠くを見るようにして頂くだけでも違いが出るのでお試しいただくと良いと思います。

また、これまでにご紹介した度数やレンズの設計等の対処方法もお試しいただくと良いと思います。

「逆に疲れる」理由-9 初めてのメガネ

初めてメガネを使う場合、掛けていること自体が煩わしくて疲れる場合も考えられます。

鼻がつままれるようだと訴える方や、耳が痛いと訴える方、テンプルの締め付けが辛いと訴える方など様々です。

また、メガネの取り扱いに不慣れな為、汚れがレンズに付着したまま使っている方もいらっしゃいます。新しい生活様式の中ではマスクによるレンズの曇りも発生しやすくなっています。レンズの汚れや曇りは目線に入ると非常に邪魔でとても気になりますし疲れの原因にも繋がります。

<対処方法>

掛け心地に関しては、店頭でのフレームの調整で改善することが可能ですが、メガネを掛ける煩わしさに関しては慣れて頂くしかありません。使用時間を徐々に伸ばしていくことをお奨めします。

また、レンズの汚れに関しては、メガネ用のクリーナーとメガネ拭きでのお手入れをお奨めし、レンズの曇りに関してはくもり止めのご利用をお奨めします。

因みに、レンズのキズも乱反射や視界を邪魔することになり、疲れの原因や見え方の不具合等も引き起こします。レンズについたキズは消し去ることができませんので、くれぐれもキズをつけないよう、十分にご注意ください。

まとめ

大手レンズメーカー3社と機能レンズが得意なレンズメーカー、及びレンズメーカーの消費者センターにも確認を取りましたが、「ブルーライトカットレンズは逆に疲れる!」という情報は現時点では寄せられていないそうです。

その為、「ブルーライトカットレンズは逆に疲れる!」という言葉だけでは原因を判断できないのですが、どのメーカーからも一番考えられるのは「裏面反射」との回答がありました。次いで考えられるのは「色の問題」、その次が「度数や設計の問題」でした。

「生活環境の変化」に関しては考えられなくはないという回答で、「年齢的な問題」に関しては、通常、メガネを購入するときに眼鏡店が説明するはずなので可能性は低いかもとの回答でした。

因みに、最近は見かけなくなりましたが、既製品のブルーライトカットメガネが流行っていた頃、超低価格の粗悪品が出回っていたこともありました。レンズ自体のブルーライトカット率も怪しかったのですが、フレーム自体が粗悪品であり、長時間の使用には適さなかったのも事実です。 人によって感じ方が違うこともあり、「ブルーライトカットレンズは逆に疲れる!」という文言だけでは明確な答えは出せないのですが、気になる方がいらっしゃいましたら、文中でご提案させて頂きました対処方法をお試しいただくか、症状やご不満点を遠近両用プロショップの販売員に伝えてご相談いただくことをお奨めします。


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