可視光調光偏光レンズとは?
調光レンズや偏光レンズのことは知っている方も多いと思います。「まぶしさ対策」という点では同じなのですが、それぞれが別の機能であり、別々のレンズでした。
しかし、今回ご紹介させて頂く「トランジションズ・エクストラアクティブ・ポラライズド(Transitions Xtractive Polarized)」というNikonから発売された可視光調光偏光レンズは、調光レンズと偏光レンズが一緒になっています。
さらに「可視光」という新たな機能までついている為、ちょっとややこしいレンズに聞こえてしまいますが、実は最新の特許技術を取り入れた高機能レンズですので、先ずはその機能について詳しくご説明していきたいと思います。
可視光・調光・偏光を分解して解説 … 先ずは「偏光レンズ」
偏光レンズとは、眩しさを感じやすいギラギラとした反射光をカットする機能を持つレンズの事で、通常は前後のレンズの間に偏光膜を挟み込んだ有色の“サングラス”レンズです。
その効果は、路面やビル、車体やフロント(リア)ガラス、白線、水面、雪面、芝生等で反射した眩しい光をカットすることで、眩しさを和らげてくれるだけでなく、ストレス対策や疲れ目対策にも役立ちます。
ただし、欠点と言うより特徴と言った方が良いかもしれませんが、偏光膜を挟み込んでいる都合上、無色透明なレンズは作れません。よって、基本的にサングラスとして使用されており、日本ではお仕事中には使えないケースも多くあります。
とは言え、キングオブサングラスとも言われるくらい効果の高いレンズで、一度使うと手放せなくなるくらい愛用される方が多いレンズです。
可視光・調光・偏光を分解して解説 … 次は「調光レンズ」
一般的な調光レンズは、紫外線を浴びると化学変化を起こして、レンズの色が変わる機能を持ったレンズの事を言います。
室内では無色に近い透明な色ですが、紫外線が多い屋外に出ると色が濃く変化し、眩しさ対策や紫外線対策になるだけでなく、眼の保護や疲れ目対策にもなることから、近年、世界規模で人気が高まっているレンズです。
調光レンズの最大のメリットは、メガネとサングラスを掛け替えることなく、一本のメガネで一日中過ごすのが可能な事です。
また、掛け替えた後のメガネを保管したり、持ち歩いたりと言う手間や荷物も省けるところも大変喜ばれています。
ただし、注意点が2つあります。
一つ目は、発色と退色の時間差です。発色は数十秒で濃くなるのですが、色が薄く退色するまでには数分間かかります。外に出ると直ぐに色が濃くなるのに対して、室内に入ってもなかなか薄くならないという事です。
二つ目は、気温が高いと色が濃くならないのに、低いと思ったより濃くなってしまうことです。夏場の日差しが強い時に思ったほど色が濃くならないのに、雪が降った後の快晴時は真っ黒に変化してしまいます。
この辺りをご理解の上、ご使用いただくレンズです。
可視光・調光・偏光を分解して解説 … 最後に「可視光」
可視光線とは人の眼で光として感じることが出来る約380nm(ナノメートル)から780nmの波長のことを指します。因みに、可視光線より波長の短いものを紫外線、長いものを赤外線と呼びます。
先程、一般的な調光レンズは紫外線を浴びると色の濃さが変わる機能とご説明しましたが、「可視光調光」は紫外線だけでなく可視光線でも色の濃さが変わる機能の事を言います。
太陽光だけでなく室内灯でも色が変わるということですから、単純に明るければ色が濃くなり、暗ければ薄くなるという事です。
ただし、可視光調光レンズにも注意点や欠点があります。
注意点は紫外線調光レンズと同じで、発色と退色の時間差と、気温が高いと色が濃くならないのに、低いと濃くなってしまう事です。 欠点に関しては、無色に近い透明な色までは色が退色しない事です。
上記の写真は、ケースから取り出して20秒程度の写真なのですが、室内でもほんのり色が付いていますので、身なりに厳しい職場では使えないかもしれません。
ただ逆に、パソコンの画面や蛍光灯が眩しい方には、ちょうど良い色味かもしれませんので職場環境に合わせて選択いただく必要があります。
多くの機能を持った「可視光・調光・偏光」レンズ
偏光、調光、可視光と順を追ってご紹介してきましたが、可視光調光偏光レンズの「トランジションズ・エクストラアクティブ・ポラライズド(Transitions Xtractive Polarized)」はこれらの機能が全て含まれたレンズなのです。
ただし、一部違っているところもあります。
それは偏光膜を使っていないところです。偏光膜を使っていない為、メガネとしても使えるくらい色が薄くなるのです。
では、どうやって偏光機能を生み出しているのでしょうか?
実は紫外線に反応して調光した色が、偏光膜と同じような配列に変化して偏光機能をもたらすのです。
よく偏光膜のイメージとして「ブラインドカーテンのように光を遮る」と紹介されていますが、Nikonの可視光調光偏光も「ブラインドカーテン」のような配列に変化するのです。
これは最新の特許技術の偏光調光層ダイクロイック染料によるものであり、偏光調光層と可視光調光層の2種類の調光層を用いることで、メガネとして使えるくらいの色の薄さを実現させたのです。
これによりNikonの可視光調光偏光レンズは、普段はメガネとして、外出時は調光と偏光機能を持ったサングラスとして使えるのです。
余談ですが … ①
実は過去にも可視光調光偏光レンズは販売されていました。
それはドライブウエア(DRIVE WEAR)というサングラスレンズで、偏光膜を使っている都合上、曇りの日用のサングラス(薄黄緑)から、運転用のサングラス(薄茶)、屋外晴天用のサングラス(濃茶)への3段階の色変化をするサングラスでした。
メガネとして使えるほど薄い色にはならなかった為、日本ではあまり数は売れなかったようです。
下記の写真は、棚の奥の方で20年近く眠っていたサンプルなので、既に調光機能が失われ茶色に固定されていましたが、1枚だけ残っていた現物です。
余談ですが … ②
偏光レンズと調光レンズが混ざってしまう方がいらっしゃいます。
色が変わるから変更 = 変光 = 偏光になってしまうみたいです。
因みに、偏光レンズは反射光を取る「サングラス」であり、調光レンズは色の濃度が変わる「メガネ」です。根本的に「サングラス」と「メガネ」という違いがあります。
詳しく知りたい方は、以前「調光レンズ」と「偏光レンズ」の違いをご紹介させて頂いておりますので、そちらをご参照ください。
可視光調光偏光レンズの体験記<後編>
実際に使ってみた感想をまとめました。是非、参考にしてください。
「可視光調光偏光レンズ体験記 … 半年以上、使ってみた感想」はこちらから →
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