レンズのはなし疲れ目対策

色が変わる「調光レンズ」+「遠近両用レンズ」で眩しさ対策をしてみませんか?

遠近両用メガネに調光レンズを付けることで眩しさ対策と紫外線対策が可能になります。しかも、外出するたびにメガネからサングラスに掛け替える手間も省けて大変便利です。陽射しの強い日の散歩や、洗濯物を干す時などにもバッチリです。

色が変わる「調光レンズ」+「遠近両用レンズ」おすすめの理由

遠近両用プロショップとしては、日々の生活の中で使いやすいメガネや、お客様の不満・不具合の解消、目の健康に関してメリットがある情報提供を行っておりますが、外出する機会も増える季節にはそれに合わせたご提案として、「調光」と「遠近」の組み合わせをご提案させて頂いております。

理由としては、眩しさを訴える頻度が上がるシニア層にピッタリだからです。

「調光レンズ」は紫外線が当たる屋外に出ると色が濃くなり、室内に戻ると色が薄くなり元のほぼクリアなレンズに戻る特殊なレンズですが、「調光レンズ」を利用すれば一本のメガネで室内でも屋外でも使えるので・・・

 ① わずらわしい掛け替えが無く便利

 ② 眩しさによる目の疲れを和らげられる

 ③ 紫外線から眼を守れる

   といったメリットがあります。

実際にご旅行やお出掛けの際にサングラスをご利用いただく方は多いのですが、ちょっとしたお買い物や犬の散歩、洗濯物を干す程度では掛け替えが面倒という方が多く、また、サングラスは外した時に持って歩かないといけないという煩わしさもあり、普段からメガネを掛けている方ほどサングラスを利用しない方が多いようです。

また、年齢と共に眩しさを感じる方、眩しさが苦手になる方も増えるため、普段からご利用の遠近両用にハーフカラーの染色をされる方も多くいらっしゃいますが、色が濃すぎると室内では暗くなりすぎてしまいますし、逆に色が薄すぎると眩しさを防ぐことが出来ずにご満足いただけない場合もございます。この悩みを解決するには調光レンズがピッタリなのです。

以上の理由から、普段から遠近両用メガネを使っている方ほど、紫外線の量に応じて色が変わる調光レンズでメガネを作る事をお薦めしたいのです。

調光レンズのおすすめシーン 調光+遠近両用

「調光レンズ」と「紫外線」に関してQ&Aにてご説明します。

詳しく情報提供させて頂きますが、項目が多くご説明が長くなるので興味のある方はご確認ください。

Q.「調光レンズ」って何ですか?

A.紫外線量に応じて色の濃淡が変化するレンズです。

調光レンズは室内では、ほぼクリアなレンズですが、外出先やテラス、光の差し込む窓辺などでは紫外線量に応じて色の濃淡が変化するレンズです。

よって、紫外線が当たる屋外に出ると色が濃くなり、室内に戻ると色が薄くなり元のほぼクリアなレンズに戻ります。 また、眼の健康を考えて、白内障を引き起こす要因の1つと言われる紫外線をほとんどカットしてくれる特徴もあります。

調光レンズの色変化

Q.「調光レンズ」の色にはどんな種類がありますか?

A.現在、日本国内で流通している大手メーカーの調光レンズは写真の通りとなります。

HOYAの調光レンズは、ほぼクリアな色から濃い色に変化するレンズがグリーン、グレー、ブラウンの3色に今後ブルーも加わります。ほぼクリアな色から淡い色に変化するレンズがミスティパープル、ミスティロゼミスティブルー、ミスティアッシュグレイの4色、合計8色あります。特に淡い色に変化するレンズは、ライトカラーブームもあり人気があります。

Nikonの調光レンズは人気の『トランジションズ』というレンズになります。基本的な色としてグレーとブラウンの2色と、ファッショナブルでお洒落なスタイルカラーが4色加わり、合計6色となっています。GEN8と呼ばれる進化した次世代の調光レンズは、屋外での着色、室内でクリアに戻るスピードが改善され、快適になったと評判です。

SEIKOの調光レンズは、濃い色に変化するレンズがグレー、ブラウン、グリーン3色と淡い色に変化するレンズがライトブルー、ライトバイオレット、ライトロゼ、ライトグレイの4色でHOYAと似た色展開になりますが、淡い色の一番濃くなった時の濃度がHOYAよりも濃くなるようです。

調光レンズの種類

Q.「調光レンズ」は度数が強いメガネや薄型レンズでも作れますか?

A.もちろん作れます。

高屈折1.60と超高屈折1.67で作れます。バリエーションが豊富なのは高屈折1.60で、遠くを見ることがメインの近視用と遠近両用で数多く発売されています。

また、一部の1.50と言われる通常の屈折率の近視用や、室内用の中近でも発売しているメーカーもございますが、硝種追加や販売終了等もありますので、詳しくは遠近両用プロショップまでお問い合わせください。

Q.「調光レンズ」の色の濃さは紫外線の量で変わるのですか?

A.はい。紫外線の量で変わります。ただし、気温も関係します。

調光レンズは紫外線量と同時に、温度が低いほど着色濃度が濃くなるという性質があります。よって、同じ紫外線量なら気温の高い夏場より、寒い冬のほうがより濃い色に着色します。特に雪山など紫外線量が多く気温が低い場所では予想外に色が濃くなります。

調光レンズ 紫外線と気温による濃度変化例

Q.「調光レンズ」の寿命は?

A.計算上は6年で色が変わらなくなるそうです。

メーカー曰く、使用状況によって異なりますが、1日4時間ほど紫外線を浴びたと仮定して、計算上は6年間で色が変わらなくなるそうです。また、発色した状態が長いほど、早く色が変わらなくなるそうです。

実際に使用した経験上では、徐々に変化の幅が狭くなる(濃さが薄れ、無色に戻らなくなる)感じがしました。 とは言え、一般的なメガネの使用年数から考えれば充分な長さかと思われます。

調光レンズ 経年変化イメージ

Q.「調光レンズ」ってどうやって作るの?

A.レンズの基本設計に対してオプションとして付けられます。

調光レンズはコーティングの一種なので、近視用にも遠近両用にもオプションとして付けられます。もちろん、度無しも可能です。

ただし、今お使いのメガネに付けることは出来ませんので、新しいメガネを作る際にご検討ください。

Q.「調光レンズ」はお洒落なフチ無しメガネも作れますか?

A.もちろん作れます。

ツーポイントと言われるフチ無しメガネでも、ナイロールと言われるナイロンの糸で吊ったハーフリムレスでも作れます。ただし、フルメタルやセル枠より耐久性は落ちますので、取り扱いには注意が必要です。

Q.「調光レンズ」って昔からありましたよね?

A.はい。1970年代に流行りました。当時の調光レンズは調光成分を素材に練り込んだガラスレンズでした。

ガラス製ですので重く、割れる危険性も高く、さらにレンズの厚みによって近視用は中心部の色が薄くなり、遠視用は周辺部の色が薄くなるなど色の濃淡差が出ていました。

ガラス調光レンズの色抜け

しかし、現在のレンズはプラスチック製が主流になりましたので、軽く、割れにくく、さらに調光成分を練り込みではなくコーティングにしたことで、中心部が薄くなるなどの色抜けが無くなりました。

また、発色・退色のスピードがアップし使いやすくなりました。

Q.「調光レンズ」はプラスチック製。キズには弱いの?

A.キズが付きにくいコーティングを掛けていますが、キズが付かないというものではありません。

調光成分のコーティングは柔らかいという欠点がある為、その上にキズが付きにくいコーティングを掛けています。これにより、安価なプラスチックレンズよりキズが付きにくくなっていますが、キズが付かないというものではありません。普通のメガネと同様に大切に取り扱ってください。

尚、レンズ前面にキズやコート剥離が発生すると、その箇所は調光機能が失われ、色が変化しなくなります。

調光レンズ コーティング

Q.「紫外線」の人体に対する影響って?

A.紫外線の種類によって、影響が異なります

紫外線は人の眼に見える可視光線より短い波長を持ち、光のスペクトルで紫の外側 (英語でultraviolet=紫を超えたという意味=略してUV)の為に紫外線と呼ばれるようになりました。

また、波長により近紫外線(波長380~200 nm)、遠紫外線(200~10nm)、極紫外線(10~1nm)に分類され、さらに人体や環境への影響の観点から近紫外線を3つに細かく分類しています。

紫外線 UV-A UV-B UV-C

・近視外線の中の315~380nmの波長を「UV-A(サンタン)」と呼びます。

大部分が地球に降り注ぎ、皮膚のたんぱく質を変性させることで有名です。UV-Bによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させることも知られています。

眼に関しては、長時間浴びると白内障や黄斑部障害の原因になると言われています。

・近視外線の中の280~315nmの波長を「UV-B(サンバーン)」と呼びます。

オゾン層で大部分がカットされますが数%は地球に届き、色素細胞にメラニンを生成させます。角膜炎や皮膚ガンの原因になると言われています。

・近視外線の中の200~280nmの波長を「UV-C」と呼びます。

普段はオゾン層でカットされるので地球上には届きません。ただし、近紫外線の中で生体に対する破壊性は最も強く、オゾン層破壊による問題は深刻です。

Q.「紫外線」に対する眼の保護って本当に必要ですか?

A.海外では「調光レンズ」をお奨めする国が多いようです。

日本国内ではそれほど意識されていませんが、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリア等の海外では、眼を保護する日常レンズとして調光レンズをお奨めする国が多いようです。

例として地域別の調光レンズ出荷量で、ヨーロッパは日本の40倍、アメリカは30倍にもなっています。

 ヨーロッパ 20.0%

 アメリカ  15.0%

 日本  0.5%

    ※ 全世界の調光レンズ出荷枚数のシェア (HOYA調べ)

紫外線対策全般で捉えると、オーストラリアやニュージーランド等の南半球の国々では、紫外線対策を義務付ける動きもあり、小学校等にもポスターを貼って教育しているそうです。

紫外線対策

Q.「紫外線」の波長に近い短波長も眼にダメージを与えるの?

A.最近、加齢黄斑変性症という病気が増えています。

アメリカやオーストラリアでは中途失明のナンバーワンで 50代から多くなるようです。 原因は明らかではありませんが、長期にわたる光の照射・可視光線(短波長域)が原因のひとつではないかと指摘されています。

色が変わる「調光レンズ」のメリットまとめ

一本のメガネで掛け替える必要が無く眼を守れます。

まぶしさを軽減する事で、眼の疲れを和らげてくれます。

・紫外線量に応じてレンズ濃度が変化し、眼に入る光を自動調節します。

・紫外線をほぼ100%カットします。

・プラスチックの調光は、レンズの厚みによる濃度差が出ません。

・プラスチックの調光は、ガラスレンズより変化スピードが速くなりました。

・プラスチックの調光は、軽量で割れにくいので安全度もアップしました。

・プラスチックの調光なら、お洒落なフチ無しメガネも作れます。

薄く発色するお洒落なレンズが作れます

・色の濃さでお悩みの場合は、調光レンズがお薦めです。

・濃く発色するレンズはサングラスとしてのご利用がお薦めです。

・近紫外線と言われる短波長の可視光線もカットします。

色が変わる「調光レンズ」のデメリットまとめ

・プラスチックレンズですので、キズには気をつけてください

レンズ前面にキズやコートの剥離が発生すると、その箇所は調光機能が失われます

気温が高いと色が濃くなりません。逆に気温が低いと思ったより色が濃くなります。

・真夏のサングラスとしての利用はお薦めできません。

・使用環境(気温・天候・紫外線量)によって、濃度変化および色調変化が異なります。

経年変化で、徐々に色が発色・退色しなくなります

・経年変化が起こりますので、片側だけのレンズ受注はお受けできません。

・調光機能を前面にもたせておりますので、裏面から紫外線を受けても発色しません。

車のフロントガラスは紫外線カットが施されている為、ほとんど色が変化しません。

濃くなるのは早いのですが、薄くなるには時間がかかります。

トンネル内や屋内駐車場などの暗い場所や夕暮れ時の運転には不適当です。

・発色した状態でケースに保管しますと色が残りますが、再度紫外線を受けますと元に戻ります。

「調光レンズ」の進化版!「可視光調光レンズ」のご紹介

これまで紫外線の量で色が変化する調光レンズに関してご説明してきましたが、例外として、紫外線だけでなく可視光線にも反応する調光レンズもありますのでご紹介致します。

通常の調光レンズは紫外線の量で色の濃度が変化しますが、可視光調光と呼ばれるレンズは紫外線だけでなく可視光線にも反応する調光レンズです。因みに可視光線とはヒトの目で見える波長の光のことで、太陽やそのほか様々な照明から発せられる光です。

短所の所に記載しましたが、最近の乗用車のフロントガラスは紫外線カットが施されています。高級車ですと側面にも紫外線カットが施されていて、通常の調光レンズでは色変化しなくなってしまいます。しかし、可視光調光なら調光レンズに期待しがちな車内でのサングラスとしての利用が可能になる事がメリットになります。

調光レンズ 運転

ただし、欠点もあります。使用経験からお話しさせて頂くと、日本国内ではトンネルや立体交差、地下道や地下駐車場が多く運転には今一つ都合がよくありません。発色スピードは速くて良いのですが、退色スピードが遅い為、暗所に入った瞬間、特に地下駐車場では光量不足になってしまい危険が伴うことがあります。

また、可視光調光は無色にはならず、常に薄い色がついています。本当は無色に近い状態になるのかもしれませんが、明るい環境じゃないと濃淡の識別は出来ず、少しでも光があると発色してしまうので確認できません。これにより常に薄い色がついているため、お仕事柄難しい方も多いと思います。

ただ最近は、光や眩しさに弱く常に薄い色が付いたメガネをしている方が増えてきました。こういった方には最高のメガネになるかもしれませんので、是非、遠近両用プロショップにご相談くださいませ。

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色が変わるレンズ『調光レンズ』のデメリットと注意点<前編>

色が変わるレンズ『調光レンズ』のデメリットと注意点<後編>