お話をうかがいました
里和(さとわ)さん
帽子とメガネのスタイリスト
2006年より帽子作家として活動。銀座三越や京王百貨店(新宿)などでグループ展を行った際、「似合う帽子の選び方」を知りたいお客さまがたくさんいることに気づき、「似合う帽子を見つける3つのポイント」を帽子理論として独自で体系化。その後、帽子スタイリストとして活動を始める。同時期にメガネの相談を多く受けるようになり、現在はメガネと帽子のスタイリストとしても活動。メガネの買い物同行サービスやプロ向けの講座「メガネと帽子のプロ養成カレッジ」なども開催している。
仕事モードとお休みモードのスイッチをメガネで切り替えるには?
里和 職種にもよりますが、一般的に仕事用メガネで求められるのは「真面目さ」や「信頼感」。その場合、メガネの形は直線的で四角いカチッとした印象のメガネになることが多いと思います。
その反面、オフ用のメガネには見た目だけでなく、かけている人の気持ちがリラックスできるようなゆるやかさがあった方がいいですね。形はゆったりとラフな印象を与える、ボストンや丸みのあるウェリントンなどがおすすめ。セルフレームならクリアフレームや明るい色などカジュアルで軽い色合いのものもいいですよ。メタル素材で丸みのあるタイプなら、軽くて視界が広くなるというメリットもあります。
――視界が広くなるという点では、天地幅も影響しますよね。
里和 先ほど丸みのある形の方がリラックス感を出せるというお話をしましたが、四角いタイプでも天地幅があればスクエアフレームよりもラフな感じになりますし、視界が広くなってリラックス効果も高まります。
天地幅が狭いメガネは集中力がアップして仕事用メガネには向いていますが、リラックスしたい休日に使うと疲れやすくなってしまうかもしれません。
行きたい場所に合わせて選んだメガネは、メガネをかけた時のワクワク感がずっと続きます
――「行きたい場所に合わせて選ぶ」 と、どんないいことがあるのでしょう?
里和 例えば、顔の輪郭タイプで「丸顔の人はスクエアのメガネが似合います」という診断結果が出たとします。旅行やキャンプなどリラックスモードで過ごしたい日に、カチッとした四角いメガネをかけたら気分とフィットしないですよね。しかも顔の輪郭タイプで選ぶと、選択肢の幅が狭くなりますし、いつも同じようなメガネを選びがちです。
「こどもといっしょにどこいこう。」というホンダのミニバン「ステップワゴン」のCMをご存じでしょうか? 1990年代後半に大ヒットしたCMです。それまで、車のプロモーションは機能一辺倒。そんななか「車と一緒に、家族で思い出を作ろう」というホンダのメッセージはたくさんの人の共感を呼び、車がステイタスを表現したり人や物をのせて走る道具だけではなく、人の想いや思い出も一緒に乗せることができるということに気づかせてくれました。(その結果、ステップワゴンの売り上げを大きく伸ばしました。)
「メガネと一緒に、思い出を作ろう」
ホンダのメッセージは、メガネ選びにも当てはまると思います。
「このメガネは、旅先の雰囲気に合うだろうか?」
「このサングラスをかけて、海沿いを運転したらテンション上がるかも・・・」
行きたい場所で選ぶと、メガネやサングラスを選んでいる時から旅行が始まります。心が動いてワクワクしますよね。色々想像をふくらまし、楽しみながら選んだメガネやサングラスなら、お出かけ先でも自信をもってかけられるでしょうし、お出かけした後はそのメガネやサングラスを見るたびに楽しかった思い出がよみがえってきて、ワクワク感がずっと続きます。そのメガネやサングラスでどこかへ行くことでさらに楽しい思い出が積み重なっていき、ただ見るための道具ではなくかけがえのないものに育っていきます。
どんなメガネを選んでいいか分からない時は、メガネ屋さんを味方にする
――「行きたい場所で選ぶ」といっても、メガネ屋さんに行ってからどんなメガネがいいか悩みそうです・・・。
里和 行きたい場所で何をする予定か? どんな過ごし方をしたいか? 皆さんそれぞれ、そこに行く目的をなんとなく思い描いていると思います。どんなメガネを選んだらいいかわからないときは、メガネ屋の店員さんに行く場所やその場所でどう過ごしたいかなどを伝えてみてください。そうすることで、イメージに合ったメガネを、色々提案してくれます。
<店員さんに伝えるコト>
●行く場所
●目的
●メガネをかけてどんな風に過ごしたいか
里和 メガネ屋さんでどの店員さんに声をかけることも重要です。「この人、おしゃれだな」とか「あの人の着こなしをマネしたい」という店員さんに声をかけて相談してみてください。イメージを共有するためには、感性や好みが合っていることも大切です。女性の店員さんに、女性目線でのアドバイスを聞くのもおすすめですよ。
――最後に、海外旅行やドレスコードのある食事会、アウトドアなどそれぞれのシーンにあったメガネ選びのポイントを里和さんに教えていただきました。
行きたい場所で選ぶ①海外旅行用のサングラス
里和 以前、スタイリングをお手伝いしたお客さまで「アメリカに行くので、サングラスを選んで欲しい」という依頼があった時は、日本では派手かなと思うくらいの少し大きいサイズのサングラスを選びました。その場の雰囲気にあったメガネを選ぶことで、不慣れな場所でも安心して過ごすことができ、理想的な過ごし方も実現しやすくなります。
里和 ちょっと話はそれますが、私は最近ある芸人さんのファンになり、初めて劇場に足を運びました。その日は「大好きな芸人さんをナマで見られる!」というワクワク気分を高めるために面白みを感じさせる丸メガネをチョイス。出かける先の雰囲気や自分の気持ちにフィットしたメガネを身に着けることで、その空間と自分が一体化して楽しみがより膨らみますよ。
行きたい場所で選ぶ②ドレスコードのある食事会など
里和 洋服、時計、靴がフォーマルなのにメガネだけ普段のままでは、顔だけ浮いてしまって全体のバランスが崩れてしまいます。そういった意味でも、メガネ選びはとても大事です。
ドレスコードがある場合、かけていて安心なのはフレームにロゴが入っているような有名ブランドのメガネですね。ロゴが入っていることについては好みもあると思いますが、わかりやすいですからね。全体のバランスが合っていれば、ブランドロゴが入ったメガネでなくても良いと思いますが、モダンの部分がシリコンだったり、安っぽく見えたりするメガネをかけるのは控えた方が良いと思います。周りの人たちからは、顔の正面だけでなく横顔も見られていますので、テンプルやモダンの素材にも気を配りましょう。
\ワンポイントアドバイス/
全体のバランスを崩さない、主張し過ぎないフレームでも良いのですが、あまりにも主張が無いのも残念な印象になってしまいます。太過ぎず、細過ぎず、適度なボリューム感のあるセルフレームで、フロントに鋲などの装飾があると、高級感もあり程良い主張もあっておすすめです。
行きたい場所で選ぶ③キャンプやアウトドア用のメガネやサングラス
里和 アウトドア用のメガネやサングラスの場合は、足場が悪い場所等でも、動きやすく、軽量でズレにくい、など機能性を重視した方が良いと思います。特にサングラスでは、目に不必要な光を抑え、暗くなり過ぎない「偏光レンズ」がオススメです。釣りをされる方には、水面のギラツキを抑え魚がよく見えるなどのメリットあるそうです。どんなレンズが最適かはメガネ屋さんに相談してみましょう。
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行きたい場所でメガネを選ぶと、選択肢が増えますし、オンとオフの切り替えがしやすくなってメガネをかけただけでリラックスモードに気持ちも切り替えやすくなります。メガネ選びの方法のひとつに「行く場所で選ぶ」も加えてみてはいかがでしょうか?
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カラーレンズで職場での印象が良くなるお話/メガネスタイリスト・里和さん連載⑥
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