「跳ね上げメガネ」とは?
メガネのレンズが入っているフロントのブリッジ部にヒンジ(蝶番)が付いていて、メガネを掛けた状態でフロントが跳ね上がる機能を持ったメガネのことを言います。一部、ブリッジ以外にヒンジが付いているものもあります。
また、単式と複式の2種類があり、単式はフロントを跳ね上げた時に目の前のレンズが無くなるメガネ。複式は跳ね上げた時に内側にもう一つのレンズが残る形で二重になっているメガネのことを言います。用途によって使い分けが必要となります。
跳ね上げメガネ①遠近両用メガネ+裸眼
元々の目の状態が近視系の方で、遠近両用レンズをお使いの方にお奨めの方法です。
遠近両用レンズは遠くも近くも一本のメガネで見ることができる大変便利なアイテムですが、近くの凄く細かいものまで見えるように度数を調整してしまうと、ゆれや歪みが強くなってしまうという欠点があります。
そんな時は、近くを見る度数(老眼の度数)を普通の文字が読める程度に合わせ、さらに細かいものを見る時は遠近両用レンズが入ったフロント部分を跳ね上げてみて頂く方法があります。
また、スマートフォンの普及により、一昔前と比べると細かい文字を見る機会が増えていますが、たまにメガネをおでこにずらして細かいものを見ている方がいらっしゃいます。いわゆる「おでこメガネ」という仕草ですが、いかにも老眼という仕草の為、実年齢より老けて見られてしまいます。これを防ぐためにも「跳ね上げ式メガネ」がお奨めです。
ただし、近視の度数や老眼の度数によってはお奨めできない場合もありますので、是非、遠近両用プロショップにご相談ください。
跳ね上げメガネ②近視用+裸眼(老眼鏡)+破損防止+紛失防止
元々の目の状態が近視系の方で、45歳を超えても単焦点レンズを使いたいという方、もしくは遠近両用が苦手な方にお奨めの方法です。
近視の方で、普段からメガネを掛けて遠くを見ている方が、最近、近くを見る時にメガネを外して見ているという場合は、単式の跳ね上げメガネがお奨めです。
近くを見たいときはフロントを跳ね上げれば良いので簡単です。この方法なら遠近両用が苦手な方にも対応可能です。
メガネの掛け外しは面倒ですし、何よりも掛け外しの回数が多くなるとメガネが歪んで掛け心地が悪くなったり、最悪の場合は長持ちしなくなる事があります。さらに、外したメガネをどこに置いたか忘れてしまうという事もあります。
実は、メガネの買い替え理由の上位には必ず破損や紛失が入ります。外したメガネの上に何か物を載せてしまったり、外したメガネを踏んづけてしまったという事例が多くありますので、これらの防止にも役立ちます。
跳ね上げメガネ③老眼鏡+裸眼+破損防止+紛失防止
遠くはメガネ無しでも良く見えるけど、近くは年齢と共に老眼鏡が必要となってきたという方がいらっしゃいます。こういう方は若い頃から目が良かった方で、元々の目の状態が正視、弱度の遠視、弱度の近視の方だと思います。
こういう方には必要な時だけ老眼鏡を掛けて頂ければよいのですが、掛け外しの回数が多くなってしまう事と、若い頃からメガネを使っている近視系の人と違ってメガネの取り扱いになれていないという事が合わさって、破損や紛失の確立が高くなります。
こういう場合にも単式の跳ね上げ式メガネがお奨めです。フロント部に老眼の度数を入れれば、掛け外しではなくフロントの上げ下げで対応可能ですので、破損や紛失防止にも役立ちます。
跳ね上げメガネ④遠近両用メガネ+サングラス
度付サングラスの新しい利用方法をご提案します。
遠くが見えない、もしくは見づらいという近視系の方が度付サングラスを作った場合に起こる現象なのですが、地下駐車場やトンネル、建物内に入った時に普通の度付サングラスだと暗すぎて困る。しかも外すと視力が不足してもっと困るという経験がある方も多いと思います。そういう時には複式の跳ね上げ式メガネが役立ちます。
跳ね上げるフロント側に色のみを入れ、度数は内側のもう一つのレンズに入れておきます。こうすれば暗所に入る前にフロントを跳ね上げるだけで、色なしのメガネに戻ります。
地下駐車場から脱出するときは、フロントを戻すだけでサングラスに戻ります。
ただし、運転中にハンドルから手を離すことは大変危険ですので、一時停止してからフロントを上げ下げしてください。
また、観光地を散策中にカフェに寄った時も、フロントを跳ね上げるだけで済むので手荷物が減らせますし、外したサングラスの置き忘れも無くなります。どちらもとても便利な使い方です。
跳ね上げメガネ⑤遠近両用メガネ+拡大鏡
極まれにある特殊な使い方ですが実話です。
これも複式の跳ね上げフレームを使う方法ですが、跳ね上げる側のフロント部分に追加する老眼の度数を入れて拡大鏡のような働きをさせる。内側のもう一つのレンズには普通に使える遠近両用を入れる。お仕事やご趣味で細かい作業をされる時は2枚のレンズを重ねて遠近両用+拡大鏡として使い、休憩でトイレに行くときはフロント部分を跳ね上げて普通の遠近両用として使うという方法です。
このお客様はお仕事の関係で近くを見る作業時間が長いことから、このような方法で使われるようになったとの事ですが、同じ方法で何回もご購入いただいていました。
実はこの方法の方が遠近両用+市販の拡大鏡の2本を同時に掛ける方法より軽くなりますので、耳や鼻に掛かる負担は減らせるのです。
他にも、ご自分のライフスタイルやお仕事に合った使い方があると思いますので、是非、遠近両用プロショップにご相談ください。
跳ね上げ式メガネの一例をご紹介
DUN(ドゥアン)は福井県鯖江市にある眼鏡フレーム製造メーカーのオリジナルブランドですが、磨き・溶接・表面処理などその作りは最高級であり、さらにゴムメタルのテンプルは掛け心地も良く、眼鏡店の販売員にもファンが多いメガネフレームです。
正面から見た時にヒンジ(蝶番)が出っ張らないような一体型の作りで、跳ね上げ方も無段階調整が可能です。
さらにDUN(ドゥアン)は、昔ながらのオジサンが掛けるようなメガネとは違い、非常にスポーティーなデザインの為、40代前半の方も使われるなど幅広い層に人気です。
ゴルフではスコア記入時に跳ね上げたり、釣りで糸を結ぶときなどのシーンにも役立ちます。
スレンディーはDUN(ドゥアン)と同じメーカーで作られたオリジナルフレームですが、その歴史は古く30年近く前から続いている跳ね上げ式メガネです。昔使ったことあるよ~という方がいらっしゃるかもしれませんね。
スレンディーには単式と複式の両方があり、デザインも豊富ですので、用途に合わせて選べます。
ちょっと変わった跳ね上がり方をするグライダーも人気です。その見た目からガルウイングとも呼ばれビジュアル的に魅了されてしまいます。
ブリッジの後ろに隠されたヒンジは横方向に回転し、左右のレンズはブリッジを軸に跳ね上がります。この形状により単式のみの発売となっています。
20~40代の方に人気のマッキントッシュ・フィロソフィーにも跳ね上げ式のサングラスとフレームがあります。
跳ね上げ式のサングラスは度数を入れずに街中ではサングラスとして、室内や建物に入る時には跳ね上げて使う事が出来ます。
跳ね上げ式のフレームの方はクラシカルなデザインが故にお洒落で掛けていると思われることが多く、周りの人から老眼鏡を掛けていると思われにくいことから、遠近両用メガネを初めて使う50歳前後の方にも人気があります。
アウトドアブランドで知られているAIGLE(エーグル)にも跳ね上げ式メガネがあります。少しカジュアルな印象ですので跳ね上げ式のサングラスとしてもお奨めです。価格的にもお求めやすいです。
丸メガネの代表として名高いジョンレノンの跳ね上げは、単式フレーム、複式フレーム、複式サングラスと種類も豊富ですが、フロントサイズが小さいものが多く、実用的なサングラスというより、どちらかというとファッション性が優先といった感じのメガネです。
とは言え流石ジョンレノンといった感じで作りは良く、日本製のしっかりしたメガネフレームです。是非、丸メガネファンにお奨めしたい逸品です。
比較的にお手頃価格で手に入れることができるのがDECENT(ディセント)の跳ね上げ式メガネです。中国製のPBフレームの為にお求めやすい価格となっていますが、単式・複式の両方が揃っています。初めて跳ね上げ式のメガネを使うので試したいという方にお奨めです。
遠近両用プロショップからのアドバイス
1.歴史と流行
跳ね上げ式メガネの歴史は古く、40~50年前には既にあったと思います。筆者の祖父が使っていたのをなんとなく覚えています。当時は今のように便利な遠近両用は無く、跳ね上げ式メガネの上げ下げで遠くと近くを見ていました。遠近両用の登場により、老眼のイメージが強すぎて廃れていったメガネでした。
しかし、その後、ファッションの一つとして跳ね上げ式のサングラスが流行しました。芸能人が掛けていた、跳ね上げるとネズミのキャラクターの耳みたいに左右上方に開くサングラスです。ここでイメージが変わったのかもしれません。その後、サングラスだけでなくメガネフレームの種類も増えていきました。
もちろん、その機能の便利さを気に入っていただける方が増えたのも確かですが、デザイン的にもスポーティーなものや、カジュアルなものが発売されたのも理由のひとつかもしれません。最近では20代、30代の方でも使う方が出てきて、徐々にですが広まりつつあるフレームです。
2.フィッティング(掛け心地の調整)
跳ね上げ式はフロント部が二重になっている為、どうしても普通のメガネより重たくなってしまいます。また、フロント側に比重が偏りやすいことも上げられます。さらに下を向いて使うことも多くなりますので、フィッティング(掛け心地の調整)が非常に重要になります。
また、上げ下げを繰り返すことでフレームが歪む可能性も高まります。
再調整は何度でも行いますが、基本的にお顔のサイズと合っているフレームを選んでいただくことが重要です。
3.作り方
跳ね上げ式メガネは、お客様の使いたいシーンに合わせていろいろな作り方が出来る大変便利なメガネですが、単純に重くなるなどのデメリットもございます。
お客様が感じているお困りごとや使う時間、使うシーンなどをお聞かせいただいた上で、デメリットよりメリットが高いと判断された時に、遠近両用プロショップの店員と一緒に作り上げていくようなイメージで作製頂くことをお奨めします。
メガネやメガネレンズにお困りの方はお近くの「遠近両用プロショップ」へ。こちらの「ご相談・お問い合わせフォーム」からお気軽にご相談ください。