老眼対策

中近両用と遠近両用、どっちが良いのか?

「中近両用は見やすいと聞きましたが、今、遠近両用を使っている私にはどっちが良いのですか?」とご質問を頂くことがあります。そこで今回は、実際に日々、中近両用と遠近両用を使い分けている筆者の経験談を交え、どっちが良いかをお伝えしていきましょう。

中近両用と遠近両用、どっちが良いのかの答え

一般的な回答としては「ご自身の眼の状態や使用目的や利用時間、遠近両用を使っていてどう感じているか等によって答えが異なりますので、単純にどっちが良いかをお答えすることは難しいです」というのが正論だと思います。気が利く店員さんなら、この後に「ですので、もう少し詳しいお話をお聞かせ頂けますか?」と付け加えることもあるかもしれませんが、詳細が分からない時点では、明確な答えを避けるのが普通でしょう。

しかし、それでは参考になりませんので、毎日、中近両用と遠近両用の両方を使っている筆者の個人的な感想を申し上げます。

答えは「どっちが良いかではなく、どちらも良い」です。そして「利用するシーン(場面)と使用時間によって異なる」というのが正直なところです。

では、その理由を順番にご説明していきましょう。

中近両用と遠近両用、どちらも良い理由

「どっちが良いかではなく、どちらも良い」と答えた理由は、今、遠近両用を使っている方は、筆者も含め近視等で“遠く”が見えていない状態で、しかも、老眼で“近く”も見づらくなっていることが予測されます。

この場合、“遠く”“近く”の両方が見えないといけない訳ですので、自ずと1本のメガネで遠くから近くまで見ることが出来る「遠近両用メガネ」が第一候補となり、日々生活をするうえで絶対的に必要なメガネとなるでしょう。

しかし、遠近両用はその構造からメインとなる距離は“遠く”となり、“中間”“近く”はサブ的な作りとなっている為、お仕事等で“近く”を見る時間が長い方からは「近くが見づらい」という反応が出ることがあります。

遠近両用 中近両用 どっち

そこで「中近両用メガネを使ってみては?」という話になると思うのですが、中近両用は“中間”“近く” がメインとなる距離となるメガネの為に、お仕事等で“近く”を見る時間が長い方には最適なメガネとなりえます。

しかし、中近両用のデメリットとして“遠く”はサブ的な作りとなっている為、車の運転には使えませんし、外を歩いている時も看板や標識の文字はボケてしまいます。

結果、遠くが見えない近視系の人には、1本のメガネで遠くから近くまで見ることが出来る「遠近両用メガネ」が非常に有り難い存在になりますし、お仕事等で“近く”を見る時間が長い場合は、楽な姿勢と目線で“近く”を見ることが出来る「中近両用メガネ」があると大変便利となりますので、「どっちが良いかではなく、どちらも良い」となり、そして「利用するシーン(場面)と使用時間によって異なる」という答えになるのです。

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因みに、「遠近両用」と「中近両用」の設計の違いからくるメインとサブの関係は、上図のレンズ内の大きさ(面積)と位置(高さ)の違いを比較してみると分かりやすいと思います。

また、目線の角度(上げ下げ)を比べても、見たい距離に対して、どちらが楽で自然な目線で見やすいかがご理解いただけると思います。

中近両用と遠近両用の使い分け例

参考までに、筆者が「中近両用」と「遠近両用」を普段どのように使っているかをご説明させて頂きます。

平日で出社する日は、朝起きて身支度を済ませ、バス・電車・徒歩で通勤し、会社に着くまで「遠近両用メガネ」を使っています。

会社に着いたら「中近両用」に掛け替えて仕事をし、慣れた環境であれば「中近両用」でも歩くことは出来ますので「中近両用」のままランチに出かけ、仕事を終えて帰り支度する時に「遠近両用」に掛け替えて帰宅。その後、夜寝るまで「遠近両用」を使い続け、枕元のハードケースにしまって寝ています。

休日は朝起きてからずっと「遠近両用」で過ごすことが多いです。

理由は、平日に一日中パソコンを使っているせいか、休日にパソコンを使いたくないからと言うのもありますが、外出する時は車の運転をしますので「遠近両用」じゃないと遠くが見えないからというのがリアルな話です。

では、休日は「中近両用」を使わないのか?と言われると、自宅で映画を見る時や、スマホで長時間、動画を見る時に疲れ目対策として使っています。

遠近両用 中近両用 違い 遠近両用 中近両用 どっち 掛け替え生活
手前が遠近、奥が中近。同じ枠で色違いなのは掛け心地を同じにしたいからです。

このように、筆者は「中近両用」と「遠近両用」を掛け替えながら生活していますが、個人的には“見やすさ”や“楽な姿勢”で物が見えることを優先して、基本、屋外では「遠近両用」を使用し、室内で長時間、近くを見る時は「中近両用」を使用し、室内でも短時間しか近くを見ない時はそのまま「遠近両用」を使用するというように、シーンと使用時間の長さに合わせてメガネを掛け替えながら生活しています。

中近両用と遠近両用の管理方法

ちょっと余談になりますが、筆者はある理由から「中近両用」、「遠近両用」、「サングラスにもなる遠近両用」の3本を常に掛けるか持ち歩いています。

その理由は、仕事終わりに掛け替えを忘れてしまい「中近両用」のまま帰宅してしまうからです。

慣れた環境であれば「中近両用」でも歩けることはお伝えしたと思いますが、事務所内は慣れているので“遠く”が見えなくても全く気にならないのですね。外に出て初めて「中近両用のままだ」と気づいて、駅についてから「遠近両用」に掛け替えることが多いので、机の上に置きっぱなしにはせず、常に鞄の中に入れて持ち歩くようにしています。

また、眩しさに弱いことから、予備メガネの代わりに眩しさ対策の「サングラスにもなる遠近両用(調光レンズ)」を持ち歩くようにしている為、下記のような2本入るメガネケースを利用しています。

2本入りケース
中敷きを倒すと2本入るメガネケース

もし、「中近両用」と「遠近両用」を掛け替えながら生活をしてみようという方で、予備メガネは持ち歩かないという場合は、1本用のハードケースを鞄に入れて、外したメガネを持ち歩くことをお奨めします。

サングラスにもなる遠近両用(調光レンズ)体験記はこちらをご参照ください →

中近両用と遠近両用の掛け替えが面倒という場合は?

筆者のように「中近両用」と「遠近両用」を掛け替えるのは面倒と言う場合は、ハイグレードの遠近両用レンズを使うという方法もあります。

これはあくまでも一例ですが、大手レンズメーカーのHOYA様からご提供いただいた写真を比較しながらご説明します。

ハイグレードレンズとスタンダードレンズの比較 ハイグレードレンズとスタンダードレンズの違い

色は付けていませんが遠近両用の場合、レンズの上半分が“遠く”を見る場所、その下が“中間”、一番下が“近く”を見る場所というのはどんなレンズでも同じなので、ハイグレードのレンズとエントリーモデルを比較すると、“中間”“近く”のクリアに見える幅の違いを認識頂けると思います。

この違いが“中間”“近く”の見やすさに繋がりますので、セット商品等に使われることが多いエントリーモデルを使っている方が、オーダーメイドのハイグレードレンズを使っていただくと、“中間”“近く”が見やすく感じると思います。

ただし、オーダーメイドのハイグレードレンズはレンズの価格が高くなりますので、ご予算を高めにして頂く必要がありますが、筆者のような「中近両用」と「遠近両用」の掛け替えを行う場合は2本分のご予算が必要になる事から、店頭でお選びいただくフレームの価格次第では、ハイグレードレンズの方がお手軽になる事も考えられます。

ご予算に関しては、眼鏡専門店でレンズの見え方・使い方体験をする時にご相談いただくことをお奨めします。

ハイグレードレンズが気になる方はこちらの記事をご確認ください →

中近両用と遠近両用、どっちが良いのか?のまとめ

1本のメガネで“遠く”から“中間”“近く”まで見ることが出来る「遠近両用レンズ」は、大変便利なレンズであると共に、“遠く”が見えない近視系の方にとっては必要不可欠なメガネとなるでしょう。

ただし、あくまでも“遠く”を見る事をメインとしたメガネとなりますので、“近く”を見る時間が長い場合は、“中間”“近く”の距離をメインとした「中近両用レンズ」の方が見やすくて楽に見えると思います。

要は「見たい距離」と「時間の長さ」に合わせたメガネの方が使いやすいという事ですね。

いかがでしたでしょうか、ご参考になりましたでしょうか?

「中近両用」と「遠近両用」の実際の見え方や使い方は、遠近両用プロショップでサンプルレンズを使って試すことが可能ですので、是非、店頭でお気軽にご相談いただければと思います。

尚、今回は“遠く”見えない方で、“近く”も見づらくなってきたという方に対する一例です。“遠く”見えるけど“近く”が見づらくなってきたという方は、その旨を遠近両用プロショップに伝えてご相談ください。