目と視覚に関する豆知識
前回は「盲点」や「車の運転」に関する情報をお話ししましたが、今回もその続きをいくつかご紹介させて頂きます。
もちろん知らなくても運転は可能ですが、運転に必要な情報の90%以上は眼に頼っていると言われていますので、安全運転を心掛けるなら是非、知っておいて頂きたい目と視覚に関する豆知識です。
運転に必要な情報の90%以上は眼に頼っています
動いている物を見分ける能力を「動体視力」といい、一般的な視力(静止視力)が良い人でも動体視力が悪い場合があります。また、静止時の「視野」に対して動いている時の視野を「動体視野」といい、高速走行になればなるほど狭くなります。
例えば通常視力1.0、両眼視野が200度ある人が100km/hで走行した場合、視力は0.6、視野は40度となり、極端に狭くなります。
また、ご存じの方も多いと思いますが、危険を察知してブレーキを踏むまでの反応時間は、一般的に0.7秒位かかります。100 km/hでの高速走行時には、反応するまでに20mも走行することになります。
スピードの出しすぎには十分にご注意ください。
近づく車が止まって見える「コリジョンコース現象」
視野の問題から起こる事故のお話が「コリジョンコース現象」です。
コリジョンコース現象とは、白昼、田畑が広がるような一見、見通しが良くて安全に感じる場所で起こる事故で、田園型交通事故とも言われています。
「はぁ~、そんな訳ないだろ~」という声が聞こえてきそうなので、コリジョンコース現象の条件をご説明します。
・昼間
・田畑の中の見通しが良い直角に交わる交差点
・『同じ速度』で交差点に向かう
この条件が揃うと相手の車は常に斜め45度の位置をキープしながら交差点に進み続けますが、この時、相手の車は止まっているように見えてしまい、注意を払うことが出来なくなってしまうのです。
では次に、コリジョンコース現象の原因をご説明します。
人間の視野には、物の色や形をはっきり認識できる「中心視野」と、色・形・動かないものは認識しづらい「周辺視野」があります。
「中心視野」は正面から左右35度以内の範囲に限られており、「周辺視野」は「中心視野」の外側36度~100度の範囲となります。
コリジョンコース現象が起こりうる条件下では、相手の車は常に斜め45度の位置をキープしながら交差点に突入してきますので、中心視野の外側36度~100度の範囲にある周辺視野で見続けることとなります。
周辺視野は色・形・動かないものは認識しづらいですので、相手の車が中心視野に入るまで危険を察知することが出来ないのです。
因みに中心視野に入るのは交差点の直前か、交差点の進入時になりますが、相手も同じようにあなたの車に気が付いていない可能性が強いので非常に厄介であり、お互い突然目の前に車が飛び出してきたという感覚に陥ります。ノーブレーキで突っ込んでしまうこともあるようですが、お互いに気づくのが遅れたという証拠でしょう。
回避するには見通しが良い交差点でも速度を落とすか、顔を動かして中心視野で確認するか、道路脇の標識や停止線等を意識して確認するかになるでしょう。
尚、コリジョンコース現象が発生しやすい場所には、一時停止を強く訴える標識等が設置されている場合があるようです。
トンネルに潜む「ブラックホール現象」&「ホワイトホール現象」
トンネルの先は異次元に繋がっているのではないかと考えたことがある方もいると思いますが、実際にトンネル付近では不思議なことが起こりえます。
先ずは「ブラックホール現象」、ブラックフレーム現象とも言われていますが、昼間の明るい状態で走行している車が照明の不完全なトンネルの入り口に差し掛かった時、トンネルが黒い穴、もしくは黒い枠に見えてしまうことからついた名前です。トンネルが真っ黒に見えて内部を識別できなくなることから、前を走っている黒系の車がトンネルの黒さ同化して消えてしまう事があります。
ブラックホール現象の逆が「ホワイトホール現象」。昼間の明るい状態でトンネルから抜けると瞳孔の調整が追いつかず、前が白っぽく見える現象です。
人間の目は、明るい色の物にさらに明るい色を重ねた時に、その物の形が識別できなくなることがありますが、前を走っている白やシルバーなど明るい色の車が強い太陽光線にさらされると、全体的に太陽の光に包まれたように見え、車の形が見えなくなってしまうことがあるのです。
因みに、ホワイトホール現象は目が疲れているときの方が発生しやすいようですから、目が疲れないようこまめに休憩をとったり、早めのライト点灯などで対処してください。
また、後続車にも同じ現象が起こりうることを考慮し、自分の車が白系・黒系を問わずテールランプを長めに点灯させたり、車間距離を長めに取るなど、追突される危険を減らすことも心掛けてください。
薄暮時が要注意の理由は「溶け込み現象」
「溶け込み現象」は前記のブラックホール現象と似ていて、黒色系の車が周囲の暗さと同化する現象の事を言います。日中の明るい時は問題が無いのですが、日没直後の薄暗くなり始めた時が要注意です。早めのライト点灯や車間距離を長めに取るなどの対処を心掛けてください。
目が釘付けになる「視覚吸引作用」
好みのタイプの女性や雑誌から出てきたようなイケメンとすれ違う時、思わず見とれてしまい“目で追ってしまった”という事があると思いますが、運転でも同じようなことが起こります。それが「視覚吸引作用」です。
ただし、運転時の視覚吸引作用は非常に厄介なので注意が必要です。
と言うのも、人は興味を惹かれたものや関心のあるものに視線が集中してしまい「危ない!」と思いながらもどんどん近づいていくことがあるからです。
実際に、障害物が無いような場所でポツンと立っている看板に車がぶつかるということが起きるのは「視覚吸引作用」が原因のようです。
視線が釘付けになるとそこに近づいてしまうことがあると意識し、周囲に目を配り視線を一点に集中させすぎないよう心がけてください。
40代以降のドライバーは意識して休憩を!
運転中は凝視した状態が続くことから、まばたきの回数が減少し目が乾きがちです。平常時は1分間に15回から18回もまばたきをしていると言われていますが、何かを凝視しているときは7回から12回に減るそうです。
また、年齢を重ねると涙液の分泌量が減少して行く為、さらに乾きやすくなってしまいます。40代以降のドライバーは意識して休憩を取るように心がけましょう。
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いかがでしたでしょうか?参考になりましたでしょうか?
では最後にメガネとサングラスに関する情報を付け加えさせて頂きます。
もしもの事を考えて予備メガネを持ちましょう
万が一「ネジが緩んでレンズが外れた」、「ハーフリムの糸が切れレンズが落ちた」、「手がぶつかってメガネが歪んだ」、「暑くなったので上着を脱いだら、メガネに引っかかって壊れた」というようなことを考え、運転するときは予備のメガネを持参することをお奨めします。
今使っているメガネを作る前に使っていた古いメガネを予備メガネとして、グローブボックスに入れておくことをお奨めします。
冬場の運転こそサングラスは必需品です
特に秋から冬、そして春までの間は日光が通る位置が低くなることから、朝夕の運転に影響が出やすい季節になります。眩しさ対策としてサングラスは必需品となります。
雪道の安全運転のために(偏光レンズ)
雪道の運転に関して、北海道にある遠近両用プロショップ「メガネの石岡」様にメガネ・サングラスで出来る雪道対策をお聞きしました。
調光レンズのデメリットと注意点
調光レンズは紫外線を浴びると色の濃度が変化する特殊機能を持ったレンズですが、色が薄くなるには数分間かかってしまうことから運転には向いていません。
遠近両用メガネで車の運転をするときの注意点
遠近両用メガネの初心者にありがちな「遠近両用を作れば若い時と同じように見える」という勘違い。遠近両用は今までと違う見え方をしますので、理解と細心の注意が必要です。
夜間運転用の疲れ目対策レンズ「ナイトアシスト475」
LEDの増加により夜間運転にて疲れ目を訴える方が増えております。「対向車のヘッドライトがまぶしい」という方に向けた夜間運転用のレンズ提案です。
「まぶしさ」を訴える方にはネオコントラストがお奨め!
ネオコントラストは人が最もまぶしさを感じる585nm付近のイエローライトをピンポイントでカットすることが可能なので、まぶしさだけを減らし、赤・緑・青・白・黒などの色彩感覚はアップすることが可能なレンズです。
メガネやメガネレンズにお困りの方はお近くの「遠近両用プロショップ」へ。こちらの「ご相談・お問い合わせフォーム」からお気軽にご相談ください。